37 / 42
憂い多き理事長 2
今年からは皇帝家の嫡男であるスカイ・エルメーザが入学した為特に注目度が高く
パーティへの参加人数は例年よりも多く感じる。
更には“大天使の生まれ変わり”を始め、癒しの魔法の所有者が2名もいるとあって
普段は寄り付きもしないような上位貴族達も様子を見に来ているという話でもあった。
とにかく気が気ではなくて、隙を見てちょっとだけパーティを抜け出していたウィリンスは
人があまりいなくて新鮮な空気が吸える場所を探し、反野外になっている二階の渡り廊下へと赴いてしまった。
そこで蹲っている人物を発見し、今に至るというわけだ。
「参ったな…」
黒髪の少年は、恐らくは学園の生徒だろうと予想されるが
錯乱した様子で訳のわからない事を口走り、そのまま気絶してしまった。
ウィリンスは仕方なく少年を抱え上げて、医務室まで運ぼうと歩き出した。
逃げるな、と言われた。
それがどういう意味かは分からないし、何故そんなことを言われたのかも不明だった。
流石に倒れている人間を放置するほど非情ではないと思っているが、そんな風に思われているということだろうか、と邪推してしまう。
面倒だし誰かに見つかりたくなくてなるべく人の少なそうな道を通って医務室まで辿り着く。
しかし、灯りは点っておらず部屋の中は真っ暗だった。
「ティ……?いないのか?」
医務員を呼んでみるが返事はない。
パーティに行っているのだろうか、それともサボっているのか。
多分後者だろうと当たりをつけ、仕方なく勝手にベッドに少年を横たえた。
ともだちにシェアしよう!

