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憂い多き理事長 5
「昨夜のことはすまなかったな」
ローザレックは口では謝っていたが、腕を組んでソファの上で踏ん反り返っており
全然謝られているような気がしないウィリンスであった。
「殿下にとっても…皇帝家にとっても、大切な事だとは心得ておりますが…
この学園内においては、何よりも優先すべき事は生徒の安全です。
幸い怪我人は居ないようでしたが、生徒を含めた魔法使い達が混乱してしまうような事は…あまり…」
相手が国を統べる一族だとしても、学園を守る立場上言わなければならない事はきちんと伝えるべきだと、ウィリンスは大層言葉を選びながら進言していった。
ローザレックは腕を組んだまま眉間に皺を寄せてウィリンスを睨んでいる。
「“国に関わる事”だ。時には知らしめておかねばならん事もある。
だが、配慮に欠いていた事は事実だ。
だからこうして謝罪しているだろう」
本当に偉い人なので仕方がないが、偉そうな態度にはウィリンスは苦笑しながらも許容する他ないのだった。
貴族は、そして特に十家は皇帝家直属の家だといっても過言ではない。
皇帝家が絶対の権力を持っているというわけではないが、それとほとんど等しい存在ではあるので
謝っていると言われたらそれ以上は何も言い返せないのであった。
「ウィリンス。お前が非魔法人でありながらよくやっている事は分かっている。
学園の運営は並大抵の力ではできない事だ。例え魔法使いであっても、な」
「……恐縮で御座います…」
「だがエルメーザにとっては重要な時期なのだ。
それは、国にとってもそうだという事だ。」
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