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憂い多き理事長 6
学園では立場や家柄は関係のないという決まりになっているものの、やはりそこには当て嵌められない問題もある。
次期皇帝ともなれば国の超重要人物で、エルメーザが入学してくるという時点で例年通りにはいかないとある程度覚悟はしていたのだ。
しかしウィリンスはあくまで理事長的な目線でもいなければと、ありえないくらい思考を回転させて言葉を考える。
「……学園では、なるべく他の生徒と同じように扱うよう心掛けております。
重要なのは、殿下がよりよく魔法を学べる環境だと学園は考えておりますから」
ローザレックはソファから立ち上がり向かい側に座っていたウィリンスの元までやってくると、上から睨み下ろしてくる。
「“理事長”としてはそれでいい。だが、あくまでお前はハートン家の人間だという事を忘れるな」
睨まれているだけで上手く呼吸ができなくなるくらいの威圧感だった。
別に怖くなくても勝手に身体が震えてしまうような。
魔法使いだったらもっとそうなのだという。
ウィリンスはどんな顔をしていいか分からず彼を呆然と見上げていて
その間にローザレックに顎を掴まれてしまった。
「お前のことを快く思っていない連中も多いだろう。
だが私はお前が“その立場”にいるのも神の導きだと思っているんだ、ウィリンス」
「神の…導き…?」
「魔法使いではないお前だからこそ出来ることがある…という事だ。
お前は魔法を持たない人間の代表、とでも言うべきかもしれない…」
ローザレックはウィリンスの顎を掴んで無理矢理顔を上げさせたまま、その冷たい視線を存分に注いでくる。
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