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可愛くない子 2

せめて少しでも、ほんの少しでも魔法があれば。 そんな事は生まれてこの方何度も何度も思って来た事だ。 魔法は神から授かったもの。 自分は神から選ばれなかった。 ただ、それだけの事なのに この世界ではそれがあり得ないほど重要だから。 ウィリンスは考えても無駄なことだとどうにか割り切って、椅子に座り直し、もう少しだけ事務関係の処理を進める事にした。 するとドアがノックされたので、顔を上げる。 「はい?」 返事を返すとドアは静かに開き、ひょこりと誰かが顔を覗かせる。 黒髪に分厚い眼鏡をかけていて、彼はまるで小動物のようにドアの影から顔だけを覗かせ ウィリンスの姿を発見すると、ふむ、と眼鏡を押し上げている。 「……何か?」 「やはりお前だったか」 「ん…?」 眼鏡の人物は理事長室に入ってくると、腕を組んで仁王立ちしている。 老人しか着ないような長いローブの下にはハートン学園の制服が見えた。ネクタイの色からすると一年生のようだった。 「昨日は世話になったようだな」 「……きのう?」 「俺を医務室まで運びやがっただろ」 生徒の証言に、あー…、とウィリンスは疲れた脳を動かして思い出そうとした。 そして渡り廊下で拾った少年のことを思い出す。 目の前にいる生徒と同じ人間かどうか微妙なところだったが、ウィリンスは首を傾けた。 「その様子からすると元気になったのかな…」 「まあな…昨日は“預言酔い”してたんだ…」 「預言酔い…?」 よく分からず苦笑していると、生徒はつかつかと近付いてきた。 そしてウィリンスが向かっていた机の上に両手を乗せて睨んでくる。 「すまなかったな。手間をかけさせた」 「……それで、わざわざ…謝りに………?」 謝っている割に何故か偉そうな態度の生徒に、ウィリンスは疲れていたせいもあって 怒る気にもなれなくて変な顔をしてしまう。

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