45 / 69
可愛くない子 3
「…お前が理事長だとは知らなかったんだ
というかほぼ覚えていなくてな…記憶の魔法でどうにかお前に辿り着いたというわけだ」
「そうなのかね?僕の名前を呼んでいたようだけど」
「…ッチ…神託を受けたのか…」
生徒は何故か舌打ちするとガリガリと頭を掻いている。
ウィリンスは彼に言われたことを思い出して、じっと生徒を見つめた。
「逃げるな…って言われたけど。あれはどういう意味?」
別に怒るつもりはなかったが、単純にどういう事なのか知りたかったのだ。
しかし生徒はため息を溢し腕を組んだ。
「知るか。神託は完全に俺の意識外で行われるからな
俺は覚えちゃいないんだ。お前がピンと来た事を採用すればいい」
「ふうん……?」
なんじゃそりゃと思ったが、ウィリンスは多分魔法だろうと思い至った。
予想の魔法、というやつなのかもしれない。
「まあ…何か悪い事に巻き込まれていないのならよかったよ。
でも今後は気を付けるんだよ?」
理事長らしいことを言っておくと、生徒は何故か口をへの字に結んだまま睨んでくる。
最近は誰かに偉そうに睨まれてばかりだと思いながら、ウィリンスは彼に顔を近付けた。
「君…名前は?一年生だよね?」
「……サンイヴン・ローラだ」
「サンイヴンくんね…
とりあえず年上をお前と呼ぶのはやめたまえ?」
軽く注意して、ウィリンスは椅子から立ち上がった。
「じゃあウィリンス…だな」
「あのねぇ…」
「妙なものに入り込まれかけているぞ」
「……何?」
ローラと名乗った生徒は腕を組んだままウィリンスを見上げて、
分厚いレンズ越しの瞳で睨んでいるようだった。
ともだちにシェアしよう!

