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想っているだけで… 5

エルメーザには恋愛的な好きとか、愛とかよく分からなかった。 そもそも何かを選ぶ基準に多くの人が用いているような、“これがいい”とか“これが好き”みたいな感覚が分からないのだ。 どれがより利益になるかとか、より多くが救われるかとか、或いは皇帝家として相応しいかとか、エルメーザの判断基準はそんなようなものばかりだったから。 それでいい、というか、寧ろそれが普通なのだと思っていた。 だけどハートン学園に入学し、皇帝家の余計な柵やルールや、いつも監視の目を光らせていた上級魔法使いや使用人達から離れ 同じ年代の人間達と関わるようになって、エルメーザの感覚は“ふつう”とはかなりかけ離れているのだと思い知ることになり それにはどこか、恥ずかしさのようなものを感じていた。 こんなこともわからないのか、と 言われているみたいで。 皇帝家としての過ごし方がそもそも普通とは違う事くらい分かっていたが、それにしたって周りの子達が出来て当たり前のように理解していることが自分には何もわからなくて。 勉学の成績も魔法も優秀で、礼儀作法が完璧で、それだけでは良くないのだと毎日のように思い知る。 一般的な貴族であるローラやイヴィト達はもちろん、上位貴族であるイオンや、孤児院出身であるリウムにさえ分かっていることが 自分には何一つ理解できていないと打ちのめされてしまうから。

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