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ひねくれさん 1

長期休暇も明日には終わりを告げる。 ハートン学園の理事長であるウィリンスの仕事内容はさして変わらないが、それでも生徒達がほとんどいなくなった学園内は静かで 仕事が捗るような、だけど元気な声が聞こえて来ずに少し寂しいような。 それも今日で終わりだと思うと、やっぱり明日からの騒々しい日々が容易に想像出来て些か憂鬱にはなってしまうものだ。 明日からの学園の動きを教師達と軽くミーティングし、ウィリンスは理事長室へと戻っていた。 理事長室は学園の端っこにあり、寮からも遠いし、授業が行われている教室からも少し離れているため大変不便な場所である。 それなりに広いし、歴代理事長の誰かしらの趣味だったのか無駄に豪華な調度品なんかも置かれているが、押しやられている感をどうしても感じてしまって 自分にはお似合いなのかもしれないと、長い廊下を歩く度にウィリンスは苦笑したくなるのだった。 「…はぁ…」 理事長室内に足を踏み入れると、つい1人になった安心感からかドアを背にため息が溢れてしまう。 面倒で大変で忙しいが、名誉ある仕事だとは理解しているし 任せてもらっているだけありがたい事で。 だけどどうにも、睡眠くらいでは取れないような疲れを感じてしまい一人になると力が抜けてちょっと猫背にもなってしまう。 年かなぁ、などと月並みなことを考えながらもウィリンスは机へと向かおうと歩き出した。 「…うわ!?」 思わず声を上げてしまったのは、入り口に背を向けるように置いてあったソファの上で何かが蠢いたからだ。 ウィリンスはドキドキと心臓が跳ね上がるのを感じながらもソファに横たわっている黒い何かを凝視する。 どうやらそれは人間のようで、深くフードを被ったまま横向きで丸まって倒れている。 またか、とウィリンスは安堵と呆れと様々なものが入り混じった息を溢した。 「ちょっと…!起きなさい!」 ウィリンスは横たわった人物の身体を揺さぶった。 その人物はもぞもぞと動いて寝起きの顔を向け、抗議するように鋭い紺色の瞳で睨んでくる。

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