83 / 92

正しい選択の弊害 3

「呼んだのはオマエ達だ。 ボクはスキな格好をしているだけだ。スキ?違うな キライかもしれない。でもスキとキライは大体同じだ 選べといわれて選んだだけに過ぎない」 「何を言っているんだ…!」 「ボクはあいつがキライだ。だがオマエ達はヒツヨウなはずだ。 なのに何故だ?何故人間はヒツヨウなものを排除しようとするんだ?」 レンシアと同じ顔の存在は、自分の頬を片手で抓っている。 支離滅裂な発言に、人間では無い、とローラは直感した。 「まさか……精霊…か?」 「精霊?あんなのと一緒にするな」 「何故俺を待っていたんだ…!」 「うん?そうだなぁなんだったか… ああ、そうだ。あいつらを誑かすな。」 「あいつら…?」 「オマエはいろんな人間を誑かしているよなぁ? 誰も気付いていないが、ボクには分かっているんだ オマエの“選択”は実に正しく、世界を導いている。 だからこれはサービスだ。 でもボクはアレが欲しい。それをくれると言ったのはオマエ達だろう?」 全くもって意味がわからない内容だったが、ローラはなんとなくまずいような気がして その存在から距離を取ろうとした。 しかしレンシアの姿をしている存在は、凄まじいスピードで廊下を駆け抜けローラに手を伸ばしてくる。 ローラは反射的に逃げようとしたが、足がもつれて廊下に倒れ込んでしまう。 「っ!!」 レンシアと同じ綺麗な顔はすぐ目の前にあったが、身体を押さえつけられているわけでもなくなんの感触もなかった。 しかしローラはその場から動けず、呆然とその紫色の瞳を見上げてしまう。 「ああ、オマエには触れないんだったなぁ 本来は口だって聞けないはずだ。 だからこれはサービスだと言っただろう? 本当に、殺せれば楽しかっただろうに」 「…っ、何故俺を…」 「でもそのうちだ。そのうち。 どうせ人間は簡単に、死ぬ… そして放っておいても、勝手に愚かな道を辿るんだ。 取るに足らないよなぁ オマエ一人ではどうせ何もできやしない…」 レンシアの顔で、その薄気味の悪い存在はくすくすと笑いながら ローラから離れていった。 そして人体構造を無視したあり得ない動きで廊下を駆け抜けて去っていってしまう。

ともだちにシェアしよう!