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魔法じゃないもの 1

昨日起きた事件の所為で、ウィリンスはまたしても皇帝家から圧をかけられていた。 まず食堂で“何か”が起き、その後医務室で“何か”が起き、 結果的には生徒二名が原因不明の昏睡状態にある、という事だ。 食堂での事件は人為的なもので、本来禁止行為とされている魔法を人に向けて放つというものだった。 被害に遭ったのは次期皇帝“現”婚約者のジョルシヒン・リウムで、医務室での事件にも彼は巻き込まれ リチャーデルクス・イオンと共に意識不明となっている。 学園では既に手に負えない事態の為、本来ならば 大きな病院への移転や関係各所そして保護者への報告などが行われるはずだったが よりによって現場に次期皇帝も、“元婚約者”も居合わせており 更によりにもよって医務室での事件は“精霊絡み”という疑いがかかっていた。 精霊の降霊は黒魔術に該当する為、例え明確に意図していなくとも禁忌とされる事だった。 ただでさえ婚約者の鞍替えでざわついている皇帝家周りにおいては、本人の禁忌行為など当然公表出来ることではなく 今は学園内に情報を留めておき、余計な憶測で世間を混乱させるなとウィリンスは口酸っぱく言われてしまった。 次期皇帝に、その“元”婚約者に、“現”婚約者に、 社交界で話題沸騰の十家の嫡男。 この四人組が精霊を降霊したという情報はあっという間に世間に知れ渡り、そんなのを面白おかしく非難的に書いた新聞は飛ぶように売れるだろうから。 そんな事件を他の生徒にも知られるわけにはいかず、仕方なく今日明日はそれぞれ自室待機でティが回診するようになっている。 幸い医務室での事件は現場に居合わせた彼らの友人数名くらいだったが、その友人と言うのもいわゆる“いつメン”であり ローラもそこに含まれている。 あの子達は一体どうなっているんだと思いながらも、対応に追われて 気が付くと窓の外は夕暮れ時になってしまった。

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