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ドレス03
Aomi屋さんで見つからなかったレースを他のお店で探したりした。けれど、見つからなかった。淳さんは「もう少し時間をください」と言っていたがどうなんだろう。とりあえず原型の写真とデザイン画を作って行く。襟元は首まで覆い、胸元にはレース生地とフリルを。そこまで作ってなにか寂しいなと感じた。ボタンかなにかを飾ればいいのかもしれない。ボタンと言えばAomi屋さんにあったから、今度行ったときにでも見てみよう。そして襟元にはレースをあしらいたいな。これは今探しているレースとは別のレースが欲しい。そこまで作って、ようやく上半身の原型はできた。
上半身ができたので下半身に行くまでにまずは腰のところに飾る蝶が2段の大きなリボンを作っていく。これはふくらはぎ辺りまで届く大きさにしたいから、リボンだけ先に作っておかないとと思ったのだ。とリボンを作っている最中に蝶が2段では足りないかなと思い3段にした。これでいいかもしれない。これはスカート部ができたら最後につける。次に白のサテンとレース生地を合わせる。サテンを上げて止めるとレース生地が見えるようにするのだ。まずは正面の1段目のサテン地をサイドで止めてレース地を出す。その下にもサテン生地を足すけれど、これはバックにだけ。レース生地は使わない。そしてこの先は正面とバッグで別々の段になる。正面は下にサテン生地を足し、ピンクのサテンでぐるりと巻いて、段を作ったかのように見せる。少しギャザーを使ったようにするといいかもしれない。そして足首辺りからはピンクのサテン生地が見える。これはバックの裾にも使う。裾はもちろん長めにする。
正面の原型ができたところでコーヒーが飲みたくなり、近所のチェーン店のカフェへと行く。世間では美味しいと言われているけれど、正門さんや湊斗くんのコーヒーの味を知っている僕にはさほど美味しいとは思わない。それでも飲みに行くのはインスタントよりは美味しいから。やっぱりコーヒーメーカーでも買おうか。チェーン店も結局はマシンで淹れているわけだし。店員がハンドドリップで淹れているわけじゃない。つまり、コーヒーメーカーを買えば同じような味がでるんじゃないか。コーヒーを飲みながらそんなことを考えて、スマホでコーヒーメーカーを探す。そうか、コーヒー豆をセットするとその先は全てやってくれるのがあるのか。そうしたら豆をセットするだけで済むから楽だ。そう考えるとわざわざ美味しいと感じないコーヒーを飲みに来るよりいいかもしれないと思い、買ってしまった。本当は湊斗くんや正門さんのお店に行きたいけれど、今の僕ではダメだ。湊斗くんのことを考えても、顔を見ても大丈夫にならなければ。それまでは行かれない。そして今の自分を顧みるとまだまだダメだ。いつになったら行けるのか。つまり失恋の苦しみからはいつ解放されるのか。そんなことを考えると悲しくなり、コーヒーを一気に飲んでアトリエに戻った。
アトリエに戻ったあとはスカートのバックを作っていく。バックは4段。レース生地は見せない。段の下部と端にはピンクのサテンを巡らす。それを4段。段の上には薔薇のコサージュもライン使いにする。そしてウエストに3段にした大きなリボンをつける。これでスカートの原型もできた。つまりドレス全体の原型ができたことになる。あとはピンクのサテンをライン状につけていき、薔薇のコサージュを張り巡らせて行く。そして段の下部にはまだ見つからないレースをつければ完成になる。ピンクのサテンをライン状につけるのもコサージュを張り巡らせるのは根気よくやっていけばいいだけだ。問題はレースだ。レース専門店でも見つからなかったし、Aomi屋さんでも見つからなかった。それならどこで見つかると言うんだろう。お手上げ状態だ。それともいっそ問屋街を抜けて、一般の手芸屋にでも探しに行った方がいいんだろうか。
レースのことを考えながら原型のできたドレスを見る。あとはレースをつけるてコサージュをつけるだけだ。ここまで何日かかっただろう。毎日朝から晩までアトリエに籠っていた。提携しているブランドの洋服がデザイン出来なかったことを考えると、よくドレスをここまで作れたなと思う。自分の好きなものを作っているからだろうか。このドレスを完成させることができたら洋服もデザイン出来るようになるだろうか。そう考えているとスマホがメッセージの着信を告げる。誰だろうと見るとAomi屋さんの淳さんだった。
『新しいレースを仕入れたので、良かったら見に来てください』
1週間ほど前にレースの見本を見せて貰ったばかりだ。あれでもう終わりだと思っていたのに、また仕入れてくれたのか。ドレスの原型も出来たし、この写真を撮って見て貰おうか。そうしたら胸元に何を飾ればいいかもわかるかもしれない。そう考えて、さっそく明日Aomi屋さんに行くことにした。
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