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第2話 一人の部屋

 猫を連れて帰って来た。途中コンビニで猫の食べるものを買った。猫は上着のポケットの中。  おとなしい。まだ仔猫なのか。2ヶ月くらいか。  一人暮らしのマンションの鍵を開ける。猫がゴロゴロと擦り寄って来た。  その温もりが思いのほか、嬉しい気持ちになる。 「このマンションはペットオーケーだけど、昼間は一人だ。留守番ばかりだぞ。  寂しいだろう。ここで飼うのは無理か。 明日は何か必要な物を買って来よう。  トイレ、とか、いま流行りの、ほら、チュールとか、な。」  ベッドで掛け布団に潜り込んでいた小さな生き物は、潜っていた布団から出て来た時には、少年の姿になっていた。 「えっ? マジか? 俺、そんなに飲んだか?」 「ニャーオ。僕、蜜って言います。 拾ってくれてありがとう。」 「妖怪か何かか?」 「ううん、僕は人間。 さっきドアを開けた時、力丸(りきまる)と 一緒に入ったの。」  ニャア、と啼く猫を抱いている。 入った事に気が付かなかった。  リキは、猫が人間になったのか、とバカなことを考えた。 「おじさん、僕の好きなタイプ。」  そう言って首に抱きついてくる。 サラサラの髪が顔に触れてくすぐったい。 「力丸って猫の名前? で、君は蜜?」 いつの間に入ったんだろう。全く気配がなかった。 「蜜はこの猫の飼い主なのか?」 「ううん、一緒に捨てられちゃったの。 一緒に暮らしてた彼は、僕を愛してるって言ったのに。力丸を捨てろって言うから離れたくないって言ったら,連れて出ていけ、って。」  蜜は誰か、男と暮らしていたようだ。 リキは気になってしまう。 「俺の事、知ってるのか。 犬遠藤力(いぬえんどうりき)だ。  猫の力丸って蜜が付けたのか? まるで俺と縁がありそうな名前だな。  何も持っていない自分の身体一つで猫を連れて現れた少年。年齢不詳。 (犯罪になるほど子供では無いだろうな。)

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