4 / 9

第4話 友達

 一人が好きだ。リキは若い頃からそう思って来た。群れるのは苦手だ。  いつもギターがそばにいた。ガキの頃からいつも音があった。  母親が好きだったジャズ。そしてブルース。 母は歌謡曲の中のブルースを聴かせてくれた。  子供心に哀愁のあるブルースという音楽に惹かれた。  周りはアイドルブームで可愛い女の子たちが歌って踊るテレビはほとんど見なかった。元気な若者が苦手だった。  暗いやつ、と言われたが、それが好きな奴も一定数存在した。  高校生になったら、ますます暗いやつばかりが集まってくる。それが友達という物だろう、と受け入れていた。類友?  愛想のない無口な男にも友情を感じて親しく寄ってくる奴がいた。  友達といえば真っ先に浮かぶのは永田恭司。 なぜか気が合っていつもつるんでいた。 「リキ、おまえ大学に行くんだな。 俺は組に入る事にした。就職だ。」  リキは地元の入りやすい大学に入った。 恭司は地元のヤクザに就職(?)した。  表向きはヤクザのフロント企業だ。 高3 になると行き先を決めなければならない。 学校がうるさい。  卒業の日、式が終わってみんな打ち上げに浮かれていた。 「リキ、中々会えなくなるから 今日はウチに来いよ。」  ギターケースを持って、初めて恭司の家に行った。北関東の田舎町。そこはいかがわしい雰囲気で賑わっている場末の繁華街だった。  リキはその場所を知っている。街で唯一のジャズ喫茶があった。  誰にも言わず、誰も誘わず、一人でよくそこに行った。同級生は恐れて近づかない。  その場所はリキの隠れ家だった。 (はやく大人になりたい。 ガキはどこに行ってもダメだ。)  ジャズ喫茶は夜はバーになる。小さな店でも夜になるとライブがある。 「子供はダメだよ。酒を出す時間だ。」 リキはライブを聴きたい。 往年のジャズファンがプロ並みのライブをやるのだ。生で音楽に触れたい。  学校ではこの繁華街をうろつく事は禁止されていた。  リキは目立たない地味な生徒だったから、そんな店に出入りしているのはバレなかった。  恭司の家はその繁華街の裏手にあった。 「俺、カタギの友達、おまえしかいないからおふくろに紹介したいんだ。」

ともだちにシェアしよう!