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第9話 蜜の秘密
「何をされたんだ?」
「前に住んでた人に無理やりやられた。
僕は嫌だって言ったんだ。彼はすごく怒ってた。
リキを殺すって。猫は殺したんだろうな、って言われた。」
「なんで言いなりなんだ?
もうケリはついたのか?」
「明日また来いって。ディルド外してやるからって。」
小さい子供のように泣きじゃくる蜜を抱き寄せる。風呂に連れて行く。
身体を確認しないと不安だった。
「どこも怪我してないか?」
殴られたんだろ? 今までもやられていたのか?」
今まで、特に気が付かなかったが、確認の必要を感じた。
「うん、怖い人だった。
怖い事を言って脅かすの。どこに逃げても見つけるって。」
「大丈夫だよ。」
抱きしめて背中を撫でてやる。
力丸も不安そうに膝に乗ってきた。
「よしよし、大丈夫だよ。
俺にも知り合いはいる。聞いてみるよ。
そいつの名前と仕事はわかるかな?」
蜜から聞いたのは、その男がかなりの変態だと言う事。蜜はそいつに買われたこと。
脱がされて、犯されたこと。などだった。
リキは頭に血が上りそうだった。
(落ち着け、落ち着け、俺。)
「買われたって?」
「うん、親に売られた。」
そんな世界がある事を俺は知らなかった。
いくつの時の事だろう。
蜜は自分を男娼だと言っていた。
そんな職業は表にはない。
「裏社会、か。」
リキは恭司を思った。
(頼るのは不本意だが、他に知らない。
ミュージシャン仲間には、裏を知ってる奴もいるかもしれないがカタギに迷惑はかけられない。)
その夜はずっと蜜を抱いて眠った。寝物語に蜜の話を聞いていた。
とても眠るどころじゃない話を聞いた。
時々見せる大人っぽい顔。髪をかき上げる冷たい整った横顔。
胸で泣いている子供っぽい顔。
いろんな顔が全て愛しい。
「リキ、出て行けって言わないでね。」
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