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第21話 虐殺ビジネス
新宿の都庁界隈のビル街。
昔は高層ビルの走りだったが今では珍しく無い中層ビル街になってしまった。その一つにオークションが行われるビルがある。
一階の入り口前に張り付くようにC国製の電気自動車が数台停められている。全部バスだった。
不良で返品された車か?
オークションの顧客を送迎する目的だろう。
その前に停まっている一台のパトカーが目立っていた。
ビルの最上階、15階にあるオークション会場で警察官が二人、待ち構えていた。
警察官はここが人身売買の拠点だとは知らない。おめでたい頭の警察官だった。
そこにあの男が蜜と恭司を先導して入って来た。恭司の組の若いもんが数人ついて来ている。
中にチャイマの李もいる。
「お巡りさん、この蜜っていう子はキチンと雇用契約を交わして私が雇ったのだ。」
「誰が契約者ですか?」
「この金本蜜くんを私が雇うということでこちらの金本美華さんの承諾を得ている。」
契約書の写しを見せた。普通の雇用契約で、美華は保護者になっている。
「ウチの息子はもう19才ですから保護者はいらないんですが。」
本人の承諾を得ている、という。
「ところが多額の契約金を支払ったのに
こちらの方が連れて行って帰さないのですよ。
これは誘拐になりませんか?
りっぱな刑事事件だ。」
恭司を指さす。
警察ははじめ、民事不介入だ、と及び腰だったが、誘拐と聞いて立ち上がった。
「本人に聞けよ。」
オークションの世話人は蜜を睨んで
「誘拐されたんだよな? この人か?」
男が犯人は他にもいるような事を言った。リキの事だ。
「指名手配の案件ですよ。」
美華が言い張る。
「君はどうするんだ?
ここに帰って来たんだろう?」
蜜に聞く。
「僕はこの女に売られたんだ!」
この場にいた、C国人たちは、ざわめいた。
「お巡りさん、この子は美華さんのお子さんですよ。単なる親子喧嘩。」
「待てよ。俺は被害者だ。契約違反だ。連れて帰る。」
男の言い分に、美華も
「誘拐事件としてこの男を捕まえてよ。」
恭司は警察官に名前をきかれた。
名前と生年月日で身元はすぐにわかる。
無線で照会した。
「ちゃんとT警察に聞けよ。」
警察官は身元に驚き、本人の希望でT警察にも問い合わせた。顔色を変える。
恭司は現役ヤクザの組長なのだ。
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