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第10話 友達も、ダメかぁ

 ルベルと寝た日は、そのままそこに泊まるから、  リュノがその通知に気づいたのは、出勤前の朝のことだった。  ローブを取りに立ち寄った自室、視界の端にふとした違和感。  室内をぐるりと見回して、それを、見つけた。 「——あ……。」  昨日、ルベルには言えなかった、リュノが恋人を作らないもう一つの理由。  管理課と魔法で繋がる扉の下。  封書が一通、顔を覗かせていた。 「来ちゃったか……」  タイミングが悪いなあ、と思う。  恋人にならないか、と言われて、それを断った昨日。  それでも、ルベルのおかげで、まだ関係は続けられそうだったのに。  封書を取り上げる。  中には一通の通達。  リュノの魔力と相性の良い相手が見つかったこと。  このため、一度面会を設定したいとのこと。  魔力のやり取りをする、番い。  恋人になるわけでも、夫婦になるわけでもない。  ただ、魔力のやり取りをする、唯一無二の片割れ同士になるから、  ——番い。  番うために、セックスがいる。  それから。  一度誰かと番ったら、——リュノはもう誰にも抱かれない体になる。 「……友達も、ダメかあ……」  恋人を断って、セックスも断ることになって。  それで、そのまま友達でいさせて欲しいと望むのは、虫の良すぎる話だとわかっていた。  だけど……。 「タイミング悪いなあ……」  こんなふうに、立て続けにルベルを失望させたかったわけじゃないのに。  通達を封筒に戻して、机の引き出しにしまう。  それでも、この話を断る気はなかった。  騎士団が拾ってくれなければ、リュノの今はない。  些細な特技を活かした得難い経験を経ることも、  与えられた仕事より上を目指そうと思える野心を持てることも、  ——こうして、自分のことを自分で決めようと思える、ごく当たり前の今日だって。    だから。    自分ができることは、なんであれやる。  制服を手に取ってメガネをかけ、本部付き書記官補佐、リュナス・バークレイになる。  しょうがない。  しょうがないんだ。  紙を二枚出して、一枚に承諾の旨を書きつける。  そのまま扉の下に差し込むと、書き付けは魔法の光と共に消えていった。    もう一枚には一言だけ書き付けて、日付けと署名を書き添えた。  折りたたんで簡単に封をする。  騎士たちの宿舎に立ち寄り、ルベル宛のポストへと書き付けを放り込んだ。  ルベルは今日は非番だけど、一度宿舎には戻るはずだ。  試験の結果を団に提出すると言っていた。  少し気重な心を抱えたまま、リュノは本部へと足を向けた。      昨日は、あんなにも楽しかったのにな。

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