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第13話 「好き」

「い……、言えない……」  こうなったのは、自分のせいだ。  浮かんだ涙で視界が揺れて、泣いてしまいたくなくて、目をぎゅっと閉じる。  いつか、こうなることがわかっていたから。  恋人は作らなかったし、特定の誰かと寝ることも、してこなかったのに。  ルベルの優しさに甘えて、楽しさにかまけて、ずるずると関係を続けてしまった、自分のせいだ。  泣いてしまう資格なんて、ない。  脚を伸ばして、震える体をひねってルベルの下から抜け出そうとすると、両腕を取られて、寝台に押し付けられた。 「逃げないで」  首を振る。 「俺のこと見て」  また、首を振る。  ルベルの顔が寄せられて、耳元にその吐息を感じた。 「リュノ、お願い。——目を開けて……」 「……む、り……」  取られた腕に力を入れて、でも、逃げることなんてできそうになかった。 「離して……」  なんとかそう口にすると、耳たぶに舌を這わされた。  ぞくぞくと首筋をつたい落ちる感覚に首をすくめると、ルベルの熱がリュノのそれをぐりっと押さえ込んだ。 「ぁ、っや」 「……逃げないで……」  耳元で繰り返される言葉にまた首を振ると、ルベルに唇をふさがれた。  いつの間にか噛み締めていた唇をあやすようになぞられて、ルベルの舌に唇をノックされて、  最後に、ルベルが喉を鳴らすのにうながされて、あっさりと口元から力を抜いてしまう。 「——ん、……ん、ん」  侵入してきた舌を迎え入れて、舌をこすり合わせて、お互いをなぞりあっている間に、目を閉じていられなくなって、薄く開く。  その拍子に、大きく開いた口でかぶりつき直されて、呼吸を奪われる感覚に、目の前の体にしがみついた。  ルベルはリュノと目を合わせたまま、リュノの口の中を犯し尽くして、  いつのまにかリュノの腕は解放されて、ルベルに体を抱き込まれていた。 「入れさせて……」 「——ん」  促されて、両方の脚を持ち上げる。  ルベルの腰に膝が触れて、そのまま、太腿をおさえつけられた。  再び、ルベルの熱がリュノの入り口をノックして、  次は、そのまま離れてはいかずに、ゆっくりと体重をかけてその熱が中に潜り込んできた。 「——ぁ、……あ、っふ、ん……」  先ほど十分に柔らかくされたそこは、大きな抵抗なくルベルを飲み込んで、丸い頭を嬉しそうに抱え込んだ。  先っぽを迎え入れただけで、嬉しがるように腰が浮いて、それをなんとか押し留める。 「動いていいよ。……リュノのしたいようにして」  ルベルの声に体が震えて、中もきゅんと収縮する。  その分入っているものの質量を強く感じて、喉の奥がひきつれて、腰が震えた。 「——っ、く」  小さくうめくルベルが、少し腰を進める。  その拍子に弱いところが押し込まれて、リュノの喉から悲鳴がほとばしった。 「————っ、っ!——っん!」  目の前がぐらぐらと揺れて、腰の奥が溶けてしまいそうに痺れる。 「リュノ……。ね。これ——、好き?」  ひくつくリュノの中、同じところをその熱でくいくいと押し込みながら、ルベルが言う。  その度に、張り詰めたペニスの先が痺れるように疼いて、鼻から声とも悲鳴ともつかない音がこぼれ落ちていた。 「……好き……?」  もう一度。ルベルがリュノに問いかけながら、強めにそこを擦り上げる。  リュノは、しがみつく腕に力を入れて、ルベルの肩に頭をなすりつけた。 「す——、っき!」  小刻みに震える腰をよじって、ルベルの熱から逃れようとしたのに、  ルベルの熱は再びリュノの弱いところをかすめて、次はもう少し奥へ向かって進んだ。  ルベルの熱の先が、弱いところをかすめていくのがたまらなくて、鼻から甘えるように息が漏れる。  なのに、ルベルは熱をまた引き抜いて、それから同じように弱いところをかすめて中を突く。  ——たまらない。  首を振って、その刺激から逃れようとすると、ルベルがまたリュノの唇を塞いだ。  すぐに唇は解放されて、ルベルがまたリュノに聞いた。 「……ん、ね。——これは?」 「あ、あ……、ぁ、好き、それ、——好き……!」  もう一度、唇を塞がれる。  すぐ離れていく唇を追いかけると、また中をこねられて体が跳ねる。 「これは、好き?」 「ぁ、っ——!す、好き」  寝台に頭をこすりつけるように首を振ると、ルベルが喉の奥で笑って頬を寄せてくれた。  思わずそちらに顔を向けると、唇が重なる。    同じように、繰り返し、繰り返し……。  その度、ルベルは「これは、好き?」「これは?」ときいてきて。  リュノは、もう最後、好き、好き。と繰り返しながら、中で何度も甘く達して、その度にまたルベルにキスをされた。 「……ね、——好き……?」 「ぅあ、——好き。……す、……き!」  もう。  なにが好きなんだか。  わからなかった。 「好き、——好き……、っ」  わからなかったけれど、好きを口にしながら体を重ねることは信じられないほど暖かくて、——幸せで。  これが。  リュノが、これまで手に入れようとしてこなかったもので。   「……ルベル、——ぁ、好き……!」  今まさに、  捨てようとしているものなんだ。    ——ああ。  そうか。  好きに、なっちゃってたのか……。    

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