28 / 34

第28話 全部、あなたがいい

 膝をついたルベルが、腰掛けたリュノの顔を見上げて、小さく首を傾げたまま、じっと、答えを待っていた。  こうして、少しかわいい聞き方をしてくれるところが、好きだと思った。  すぐに、リュノの頭にキスをして、そのくせ変に恰好つけないところも、好きだと思う。  いつも、ルベルの魔力はルベルの心に素直で、でも、心さえリュノのことを尊重して、遠慮がちに近づいてくれるところも、好きだった。  いつのまにか。  どこもかしこも、ルベルのことが、好きになっていて。 「……ごめん……。ごめ……、っん、ルベル」  しゃくりあげる息では、うまく言葉を紡げなくて。  指先で、ルベルの手を、きゅっと握り返した。 「ルベルの、ことが、——す、好き」  喉の奥がわなないて、肩まで震えてしまっても、  今、ルベルに、伝えなければならなかった。 「まだ、……ルベルの願いの答え、……間に、合う?」 「……うん……」  柔らかい色をした、ルベルの魔力。  その魔力が、ふわふわと揺れながら、ゆるゆるとリュノを包み込んでくれた。  この、優しい色を、ずっと見ていたかった。 「ルベルの、——恋人に、なりたい……」 「……っ、——ん。……うん」  つかんだ指先を、少しだけ引っ張ると、  ルベルが腰を上げて、リュノに手を差し伸べたから。  リュノも立ち上がって、ルベルの腕の中に体を寄せた。  あたたかかった。 「——ね、ルベル」  しばらくの間、そうして二人、体温を分け合ったままじっとして。  呼吸の落ち着いたリュノは、ルベルの顔を見上げて、その名を呼んだ。 「うん。なあに?」  ふわふわと、柔らかく揺れる魔力はなんだか嬉しそうで、  その様子がまぶしくて、少し目を細める。 「ルベルの、恋人にしてほしいけど。——俺、番いにもしてほしい」  ぱちぱちと、まばたきをしたルベルに、祈るような気持ちで言葉を続けた。 「番いの相手なんて、誰でも構わないなんて思ってたけど」  背中に回した腕に、少し力を込める。 「あの時、ルベルに断ってほしい俺と、——ルベル以外とだなんて、いやだなって思う俺が、いた」  ぎゅうと、抱きすくめられて、  耳元で、ルベルが「うん」と、かわいく頷いたから。  リュノも、ルベルに顔をすり寄せて、素直に気持ちを言葉にした。 「恋人も、番いも。……どっちも、俺にして」 「うん。……うん」  夏の夕暮れ。  窓の外には、草原に咲く白い花が、夕闇の色に染まって、小さく風に揺れていた。  

ともだちにシェアしよう!