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第28話 全部、あなたがいい
膝をついたルベルが、腰掛けたリュノの顔を見上げて、小さく首を傾げたまま、じっと、答えを待っていた。
こうして、少しかわいい聞き方をしてくれるところが、好きだと思った。
すぐに、リュノの頭にキスをして、そのくせ変に恰好つけないところも、好きだと思う。
いつも、ルベルの魔力はルベルの心に素直で、でも、心さえリュノのことを尊重して、遠慮がちに近づいてくれるところも、好きだった。
いつのまにか。
どこもかしこも、ルベルのことが、好きになっていて。
「……ごめん……。ごめ……、っん、ルベル」
しゃくりあげる息では、うまく言葉を紡げなくて。
指先で、ルベルの手を、きゅっと握り返した。
「ルベルの、ことが、——す、好き」
喉の奥がわなないて、肩まで震えてしまっても、
今、ルベルに、伝えなければならなかった。
「まだ、……ルベルの願いの答え、……間に、合う?」
「……うん……」
柔らかい色をした、ルベルの魔力。
その魔力が、ふわふわと揺れながら、ゆるゆるとリュノを包み込んでくれた。
この、優しい色を、ずっと見ていたかった。
「ルベルの、——恋人に、なりたい……」
「……っ、——ん。……うん」
つかんだ指先を、少しだけ引っ張ると、
ルベルが腰を上げて、リュノに手を差し伸べたから。
リュノも立ち上がって、ルベルの腕の中に体を寄せた。
あたたかかった。
「——ね、ルベル」
しばらくの間、そうして二人、体温を分け合ったままじっとして。
呼吸の落ち着いたリュノは、ルベルの顔を見上げて、その名を呼んだ。
「うん。なあに?」
ふわふわと、柔らかく揺れる魔力はなんだか嬉しそうで、
その様子がまぶしくて、少し目を細める。
「ルベルの、恋人にしてほしいけど。——俺、番いにもしてほしい」
ぱちぱちと、まばたきをしたルベルに、祈るような気持ちで言葉を続けた。
「番いの相手なんて、誰でも構わないなんて思ってたけど」
背中に回した腕に、少し力を込める。
「あの時、ルベルに断ってほしい俺と、——ルベル以外とだなんて、いやだなって思う俺が、いた」
ぎゅうと、抱きすくめられて、
耳元で、ルベルが「うん」と、かわいく頷いたから。
リュノも、ルベルに顔をすり寄せて、素直に気持ちを言葉にした。
「恋人も、番いも。……どっちも、俺にして」
「うん。……うん」
夏の夕暮れ。
窓の外には、草原に咲く白い花が、夕闇の色に染まって、小さく風に揺れていた。
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