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余韻01話 俺だけの太陽
「——っ、ん。……ルベル」
何度も唇を触れ合わせながら、互いの服のボタンを外していく。
リュノを抱き寄せたルベルの腕は、背中から腰まで降りてきて、その指先が腰履きの隙間から尻へと侵入していた。
「——ここ。少ししめってる」
谷間の奥、柔らかくした入り口を指先でつつかれて、思わず尻に力が入った。
逆に、つま先立ちしていた足先からは力が抜けて、唇が離れる。
「……じっ、準備、——してきたから……」
「準備?」
ルベルに問い返されて思わず顔を伏せた。
なんだか、すごく抱かれたがっていたみたいだ。
いいや、そのことは否定はしないけれど。
「俺のために、準備してくれたの?
——俺が、アルバはリュノだって、わかってないと思ってたんだよね?」
耳元で低くささやかれた言葉に首をすくめると、ルベルはリュノの体を抱き上げて、寝台へ背中を押しつけた。
「ひゃっ」
「ねえ、どうやって俺に抱かれるつもりだったの?」
リュノを押さえつける腕は揺るぎなくて、ルベルの目はまっすぐにリュノを射抜いていた。
「どう、って……」
「物慣れないフリをするつもりだった?
俺に、アルバを抱かせるつもりだったんでしょう?」
その目線に射すくめられて唾を飲み込むと、ルベルの顔が眼前に迫ってきた。
「……どうするつもり、——って……」
「頭おかしくなりそうだった」
ぎゅ、と力の入った眉間に皺がよって、ルベルの目が細められた。
「リュノは、俺がリュノじゃない人を抱いて平気なのかって思ったら。
頭がどうにかなりそうだった」
「——俺……、だよ……」
そう、言いながら。
そんな覚悟、これっぽっちもできていなったことに気付かされた。
ただルベルが、自らを投げ出すようにして交渉を決めたことだけが、気にかかっていて、
ルベルに、他の人を抱くようにして抱かれるはずだった未来が、
今さらになってリュノの体を固くさせた。
「俺、アルバのこと、大切に抱いたと思うよ」
リュノの耳元に唇を寄せてルベルが言う。
「優しくキスして、アルバがとろけるまでキスして、アルバの弱いとこをゆっくり開いて。
——ここも」
後ろの入り口を、その指がまたそっとなでる。
「アルバは、慣れていないから。
リュノにしたことがあるよりも、もっとずっと、しつこく丁寧に」
その声に、指に、体の芯をぞくぞくとした痺れが走り抜けた。
「愛情こめて、大切にしたよ」
「——っ、や」
思わずルベルの胸を押し返すと、ルベルは軽く体重を乗せてその手を押さえ込み、耳元を舌先でなぞり上げた。
——こんなふうに、ルベルの重みを、体温を、アルバも感じたはずだ。
「リュノ。……そしたら、妬いてくれたかな……?」
自分ではない、アルバが……?
ルベルが顔をずらせて、その唇が頬をすべる。
唇に触れる、その刹那。
「……アルバ」
リュノの顔は少し横を向いて、二人の唇は触れなかった。
「——あ……」
「キスさせてよ。今日、するはずだったみたいに、俺に抱かれて」
ルベルの顔がリュノを追って、その吐息が唇に触れた。
「俺に、アルバを、見せて」
見上げたルベルの目が、リュノを逃してくれなくて、
触れ合った唇に、思わず歯を食いしばった。
その舌先が、閉じられた唇を割り開こうと隙間をなぞり、
腰のあたりを熱い手のひらがなでる。
「——お口……、あけて。アルバ、俺を受け入れて」
少し離れたルベルが言って、背後に回った手が、その指先で背筋をとんとんとつついて、背筋を駆け上る。
「——っ、……ぁ」
「うん」
思わず声が漏れた瞬間、ルベルが唇を塞いで、その舌が咥内に割り入った。
「——んっ」
追われた舌が口の中で縮こまると、ルベルの舌はそれを何度かなであげて、それから仕掛ける先を上あごに変えた。
上を向かされて、ゆるゆると上あごをなでられて、ぞくぞくがリュノの首をすくめさせると、背中をまたなぞられる。
もどかしい快感が体の中に溜まって、追い出せなくて、鼻の奥がぎゅうっと痛くなった。
——ルベルが今、追い詰めているのは、誰……?
「……アルバ……」
「——や、やだ」
唇が解放された瞬間、顔を背けて寝台に頬を付けると、次はルベルの舌が首すじ、耳元に這わされた。
「——っ、っん」
「アルバ、——感じやすいんだね」
舌の動きに合わせて吐息が跳ねて、押し殺した声の分、体の緊張が高まっていく。
低く地を這うルベルの声が、寝台に震え広がる魔力とともにリュノの体に沁みる。
「……っ、——かわいいよ」
「や……だっ!」
溜まった快感も、熱のこもる鼻先も、それから、ルベルの声に引き絞られた胸の奥も、
全部が痛かった。
「やだ、ルベル。……俺を、……俺を見て」
ルベルの胸に添えた両手を滑らせて、ルベルの頬を挟む。
その目は、力強い眼差しのまま、涙を湛えていた。
「ごめん、……ごめん。全然、平気なんかじゃなかった。
だけど」
ルベルの頭は簡単に引き寄せられて、リュノと額を触れ合わせた。
「ルベルにそんな顔させるのは、もっと違う」
ルベルの目からこぼれた涙が、その鼻先を伝って、リュノの顔に落ちた。
「——ルベル、……俺の名前、呼んで」
二人、すぐ近くで、目が合う。
「俺を、……俺だけを、抱いて」
鼻先に唇を触れさせて、少し冷たい涙を吸い取る。
「お願い」
ルベルの手のひらが背中を這って、その腕がしっかりとリュノの体に回された。
「————リュノ……」
「……うん」
「リュノ……っ」
二人、唇が重なって、お互いの舌先で、相手を確かめ合った。
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