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6 光の裏側(3)

「おい、ふざけているのか」  エドアルドは後部座席から運転席の背もたれへ蹴りを入れた。 「すみません。なにぶん、個人的なことですから。あなた様にお伝えするのが良いことなのかと」  エドアルドは一笑に付した。 「ずいぶん殊勝なことを言い出すじゃないか。お前が俺に伝えるのは、たいてい当人にとっては暴かれたくないような個人的なことばかりだろう」  ロレンツォが広い肩をすくめる。 「おっしゃる通りですな。つまり、サンティのことなのです」 「分かっている。だから、サンティがどうしたというのだ」 「なぜ、彼がプローディーの勤める病院の世話になったのか、という話でして」  ロレンツォが周囲の車を追い越しつつ、速度をあげる。  運転に自信のある人間がたいていそうであるように、猛スピードを出しているにもかかわらず危険だという自覚がない。しかもこれはスポーツカーの走りであって、セダン向きではない。車体が妙な揺れ方をしていた。 「調子に乗って事故るなよ。それで、病院がどうした。風邪でもひいたら誰だって世話になるだろうが」 「それが、問題でして。病気ではなかったそうです。症状は、失神、創傷、それに化膿、時には、発熱も――――お分かりになりませんか」  ロレンツォがフロントミラー越しにエドアルドの表情を窺う。  エドアルドはすぐにあることに思い当たった。  その状況が俄かには想像できかねるほど、今のアンドレア・サンティにはそぐわないのだが――――。 「本当か」 「ええ。時には週に二、三回、運ばれたそうです。しかし誰にやられたのかをまったく言わなかったそうで――――周りの人間も見当がつかなかったとか。とにかく、数ヵ月にわたって繰り返されていたそうです」 「もしくは病院に運び込んだ奴らがしていた可能性も高いな。工房の仲間だったらアンドレアが訴えられない事情もあるだろう。いずれにせよ、相手が一人だったら失神して病院に運び込まれるほど重症にはならないぞ」 「さすがによくご存知で。今日来る相手は、その際にサンティの手当てをしたはずです」  エドアルドは小さく吐息し、後部座席にもたれた。  思いがけない話に不快感を覚えた。つまりアンドレア・サンティが工房にいた期間、数カ月わたって複数の男達から輪姦されていたという話だった。

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