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プロローグ②
部屋につくなり、厳重に包装されている段ボール箱を開封していく。
なかなか、ガムテープが剥がれない。
そして、男は数日前のことを思い出していた。
ソシャゲで大爆死した日のことだった。
それ自体はいつものことなのだが、珍しい環境キャラで、ビジュアルも良かった。
早くもランカーたちは、主戦力をそのキャラに切り替え、インターネットの掲示板では盛大なマウント合戦が始まっていた。
しかし、男はなけなしの石を費やしたにも関わらず、キャラを引くことができなかった。
これではインターネットの住人たちに馬鹿にされる。
よりによってあんな底辺の連中に。
そう思うとむかっ腹が立って、安酒片手にネットサーフィンをした。
ムカつくから無断転載のエロ画像で抜こうと思ったそのとき、ぱっとディスプレイの表示が切り替わった。
黒字の背景に、赤い文字。
シンプルで悪趣味なデザインだ。
男が学生だった頃のゼロ年代とて、ここまでお粗末なウェブサイトはなかったように思う。
そのサイト名にはこう記載してあった。
『美少年カタログ』
画面をスクロールすると小学生あるいは中学生……高校生くらいまでの少年の写真が大量にリストアップされている。
「これ、さすがにAIだよなぁ……いたずらにしたってやりすぎだって」
ぐびりと酒を飲みながら、大量のサムネイルを眺める。
日本人(もしくはアジア人)の少年もいれば、外国人と分かる少年もいた。
証明写真のようなものと盗撮写真が連なっている。
少年の名前の類はない。
ただ、モノのように美少年たちがナンバリングされているだけだ。
「……冗談にしたってやべーだろ……あっ、変なとこ、クリックした」
……飛んだリンクは購入者のレビューだった。
簡単に目を通す。
概ねのユーザーが届いた商品……どうやら、美少年らしい……に満足しているようだった。
この時点で興味を惹かれた。
次にクリックしたのはユーザー同士の交流掲示板。
「まじかよ……やばいな……」
知らず、感嘆の声をあげていた。
そこには美少年たちの淫靡な写真がのっていた。
卑猥なコスチュームに身を包んだ……一見して性奴隷と分かる美少年。
全裸に首輪姿で尊厳を貶められたらくがきを身体中にされ、土下座をしている子。
肥大調教を行っているという乳首の写真に、もう何日も射精を許されていないという拘束具をつけられたペニスの写真。オナホ穴と題された使い込まれたアナルのアップの写真……とともに調教の過程が記録してあった。
お互いにお互いのコレクションである美少年を自慢しているのだ。
(女に相手にされないし……これくらい、かわいいなら男でもアリじゃね? 男の娘でも抜いたことあるし……イケるんじゃねー……あー、セックスしてぇ、セックス)
男は、交流掲示板の調教日記をオカズに、肉棒を扱き始めた。
ガチャで大爆死していたのと加虐心を煽る画像の数々に無性にチンポがイライラしていた。
あの横暴な配達員の男も、過干渉のババアに対するストレスだって、日々、溜まる。
性のはけ口にできる自分より弱い存在がいたら、どんなにいいか。
男はふーっ、ふーっと荒い呼吸を繰り返しながら、美少年カタログのリストを眺めた。
ナンバー1441。
年齢は17歳。
黒髪の少年に目がいった。やや大人びた少年だった。だが、途方もない美貌の持ち主だった。白い肌に――外国人の血でも入っているのだろうか。
アレキサンドライトのような緑の瞳を持つ少年。
表情は冷たく、気だるげ。
身長は173cm……体重は58kg
華奢な子なのだろう。
この少し生意気そうな美少年をエロ同人のように嬲れたら気分が良いだろう。
ナンバー1441には備考が添えてあった。
※状態C 難あり商品につき、30パーセントのお値引きをいたします。
難あり商品につき、返品不可になります。
ご了承のほど、よろしくお願いいたします。
これほどの美貌の持ち主なのに、難あり商品とはどういうことだろうかと思いつつ、安易にポチった。
どうせ、金を払うのは親なのである。
もう、爆死したソシャゲのことは頭になかった。
(つまんねーし、そろそろやめようと思ってたしなー……)などとうそぶきながら。
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