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第31話 怖いのはおばけ?
それは、まだ伊織が小学生だった頃のこと。本家の大きな屋敷に泊まった時だった。
夜にふと目が覚めて、水を飲もうと広い廊下を歩いていた。
すると、廊下の端にうずくまっている誰かがいる。恐る恐る見てみると、それは泣きじゃくっている雪翔だった。
「雪翔くん……?」
「い、いおり、にいちゃ……」
「どうしたの?」
「め、めがさめたら、おとうさんもおかあさんもおねえちゃんもねてて……だれもおきてくれなくて、こわくて……」
えぐえぐと泣いている雪翔の背中をそっと撫でる。
「ほんけのおうち、ひろくてこわいぃっ……」
「確かに、夜はちょっと怖いよね。僕が部屋まで一緒に行こうか? 眠れそう?」
「やだ、ぜったいおばけでる! こわい!」
「うーん……」
伊織は悩んだ末に、雪翔の頭を撫でながら提案をしてみた。
「僕と一緒に寝る? 雪翔くんが寝るまでお話するよ」
「ほ、ほんとう……?」
「うん。本当。おばけが出たら僕がやっつけてあげる。そしたら怖くないでしょ」
「いおりにいちゃぁんっ……!」
雪翔はひしとしがみついてくる。雪翔を見ていると、守ってやらなければという気持ちが湧いてくる。
「じゃあ、一緒にお部屋行こう?」
「うんっ!」
雪翔と手を繋いで歩き出す。小さなふたりは、仲良く寄り添っていた。
「……ってことがあったの、覚えてる?」
「伊織さんとの思い出は全部覚えてますけど……俺が泣いてたのなんて覚えてないでくださいよ……」
伊織はベッドに入りながら、ふふっと笑みを零す。
「だってあの時の雪翔くん、すっごくかわいかったんだもん」
小さな雪翔は無垢で、伊織が教えるもの全てに喜んで、たくさん甘えてくれた。一人っ子だった伊織からしたら、初めてできた弟のような存在だったのだ。
伊織はぽんぽん、と自分の隣を叩く。
「ほら、雪翔くん。一緒に寝よ? おばけ出たら僕がやっつけてあげるから」
昔と同じことを言うと、雪翔は伊織に覆いかぶさった。
「……伊織さん、あんまり俺のことガキ扱いすると、痛い目見ますよ」
「へ……んんっ!?」
雪翔に唇を奪われる。舌が入り込んできて、伊織の咥内を侵していく。
「ん、んんー! ふぁ、んっ……!」
くちゅりと水音が鳴る。甘くて背徳的なそれに、身体中がじいんと痺れる感覚があった。
「ほら、もう五歳のガキじゃないでしょ? これでもわからないんだったら、伊織さんの身体に俺は大人の男だってわからせないといけないんですけど」
雪翔は伊織の太ももをそっと掴む。
「あっ、待って、二日連続は流石に……!」
雪翔とは昨日、精が尽きるまで愛し合ったばかりなのだ。まだ腰のダメージが回復していない。
「ご、ごめんなさい、僕が悪かったですっ……雪翔くんはちゃんと大人ですっ……」
素直に謝ると、雪翔はふっと微笑んで、軽い口づけをひとつ落とした。
「わかってくれたならよかったです、次またガキ扱いしたら、ドロドロになるまで抱くんで」
そう言って微笑む雪翔は、どこからどう見ても、伊織の好みの大人の男で。
「雪翔くんずるいぃ……」
伊織は顔を真っ赤にして、悶えるしかなかった。
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