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第35話 恋人に対する十の質問 伊織編

「ねえねえ伊織さん、ネットでこんなの見つけたんですけど、やってみません?」  雪翔が見せたスマートフォンの画面には、『恋人に対する十の質問』というタイトルの画像があった。 「なあに、これ?」 「俺が今から質問するから、それに答えてください。全部俺に……恋人に関する質問です」 「雪翔くんに関する質問かあ……うん、いいよ。やってみよう」  どんな質問が来るかわからないが、なんだが面白そうだ。伊織はこくりと頷いた。 「じゃあ行きますね。一問目、『恋人の紹介をしてください』」 「ええと……橘雪翔くん、二十三歳で……IT系のお仕事をしてて、食べるのが好きでとてもかわいい、ポメラニアンみたいな子です」 「……ちょっと一部不服なんですけど」 「え、どこが?」 「なんですかかわいくてポメラニアンって! 俺そんなちっちゃくないですよ!」 「だって雪翔くんかわいいから……」 「後できっちり異議申し立てしますからね。……じゃあ二問目、『恋人の好きなところは?』」 「好きなところかあ……うーん……いっぱいあるけど、優しいところと、僕のこと大事にしてくれるところ……かな?」  雪翔の好きなところを全部挙げたら、きっと夜が更けてしまう。それくらい、伊織は雪翔に惚れ抜いているのだ。 「俺からしたら、好きな人に優しくするのなんて当たり前なんですけどね」 「そう思う時点で、雪翔君は優しいよ」 「次、三問目です。『恋人の嫌いなところは?』」 「嫌いなところ……」  そう言われて伊織は困ってしまう。一緒に暮らして随分経つが、雪翔を嫌いだと思った時は一度もない。 「ない……かなあ……」 「……すみません、俺今顔緩みまくってダサいかも……」 「え、なんで?」 「今、最大級の愛もらったんで。四問目は……『恋人に直してほしいところは?』」 「……汗かいてるのに舐めてくるところ」  雪翔の影響で運動を習慣にし始めたはいいものの、雪翔が毎回汗をかいているのに首筋を舐めてくるのだ。 「だって汗かいた伊織さんがエロいんですもん」 「ばっちいでしょ! とにかく駄目!」 「善処しまーす。えーと五問目、『恋人を好きになったきっかけは?』……これ、俺も知らないっすね」 「ええっと……その……鍛えてる雪翔くん見てるときに、男の人なんだなあって意識し始めたかな……」 「……伊織さんの筋肉フェチ」 「その言い方やめてよぅ……変態ぽい……」 「次、六問目。『恋人は物や概念で例えるとなに?』」 「……太陽、だなあ」  雪翔はいつだって眩しくて、伊織を照らしてくれて、あたためてくれる。例えるなら太陽がぴったりだ。 「俺、そんなに熱血ですか?」 「熱血っていうより、あったかい感じかな」 「へー……。じゃあ七問目。『恋人の好きな身体の部位を教えて』」 「ぶ、部位!? うーんと…………腕……?」 「筋肉ついてるからですか?」 「違うよ! 僕のことぎゅーってしてくれるのが好きだから!」 「なんすかその回答可愛いなあ……こうですか?」  雪翔はぎゅう、と伊織を抱き締めてくれる。それだけで幸せな気分になるのだから不思議だ。 「うん、えへへ……」 「じゃあこのまま八問目。『恋人に着てほしいコスチュームはある?』」 「あの、この前テレビで見た、アイドルが着てるひらひらの衣装……」 「え、あの王子様みたいな服ですか?」 「絶対雪翔くん似合うもん……王子様の雪翔くん、見たい……」 「……伊織さん、意外な趣味ですね……。九問目『恋人はかわいい? かっこいい?』」 「かわいい」 「即答しないでください!」 「……けど、かっこいいところもいっぱいあるから……ずるいなあって……」 「……これからもかっこいいって思ってくださいね」  雪翔はちゅ、と伊織の額に口づけを落とした。 「最後、『恋人にひとこと』ですって」 「えっと……大好きです、これからも末永くよろしくお願いします……」 「はい、ずーっと一緒にいましょうね。愛してますよ。これ面白いですね。次伊織さん俺に質問してくださいよ」 「う、うん……えっとぎゅーってしたままして、いい……?」 「はい、もちろん」  雪翔はふっと微笑んで、伊織を強く抱き締めた。

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