35 / 52
第35話 恋人に対する十の質問 伊織編
「ねえねえ伊織さん、ネットでこんなの見つけたんですけど、やってみません?」
雪翔が見せたスマートフォンの画面には、『恋人に対する十の質問』というタイトルの画像があった。
「なあに、これ?」
「俺が今から質問するから、それに答えてください。全部俺に……恋人に関する質問です」
「雪翔くんに関する質問かあ……うん、いいよ。やってみよう」
どんな質問が来るかわからないが、なんだが面白そうだ。伊織はこくりと頷いた。
「じゃあ行きますね。一問目、『恋人の紹介をしてください』」
「ええと……橘雪翔くん、二十三歳で……IT系のお仕事をしてて、食べるのが好きでとてもかわいい、ポメラニアンみたいな子です」
「……ちょっと一部不服なんですけど」
「え、どこが?」
「なんですかかわいくてポメラニアンって! 俺そんなちっちゃくないですよ!」
「だって雪翔くんかわいいから……」
「後できっちり異議申し立てしますからね。……じゃあ二問目、『恋人の好きなところは?』」
「好きなところかあ……うーん……いっぱいあるけど、優しいところと、僕のこと大事にしてくれるところ……かな?」
雪翔の好きなところを全部挙げたら、きっと夜が更けてしまう。それくらい、伊織は雪翔に惚れ抜いているのだ。
「俺からしたら、好きな人に優しくするのなんて当たり前なんですけどね」
「そう思う時点で、雪翔君は優しいよ」
「次、三問目です。『恋人の嫌いなところは?』」
「嫌いなところ……」
そう言われて伊織は困ってしまう。一緒に暮らして随分経つが、雪翔を嫌いだと思った時は一度もない。
「ない……かなあ……」
「……すみません、俺今顔緩みまくってダサいかも……」
「え、なんで?」
「今、最大級の愛もらったんで。四問目は……『恋人に直してほしいところは?』」
「……汗かいてるのに舐めてくるところ」
雪翔の影響で運動を習慣にし始めたはいいものの、雪翔が毎回汗をかいているのに首筋を舐めてくるのだ。
「だって汗かいた伊織さんがエロいんですもん」
「ばっちいでしょ! とにかく駄目!」
「善処しまーす。えーと五問目、『恋人を好きになったきっかけは?』……これ、俺も知らないっすね」
「ええっと……その……鍛えてる雪翔くん見てるときに、男の人なんだなあって意識し始めたかな……」
「……伊織さんの筋肉フェチ」
「その言い方やめてよぅ……変態ぽい……」
「次、六問目。『恋人は物や概念で例えるとなに?』」
「……太陽、だなあ」
雪翔はいつだって眩しくて、伊織を照らしてくれて、あたためてくれる。例えるなら太陽がぴったりだ。
「俺、そんなに熱血ですか?」
「熱血っていうより、あったかい感じかな」
「へー……。じゃあ七問目。『恋人の好きな身体の部位を教えて』」
「ぶ、部位!? うーんと…………腕……?」
「筋肉ついてるからですか?」
「違うよ! 僕のことぎゅーってしてくれるのが好きだから!」
「なんすかその回答可愛いなあ……こうですか?」
雪翔はぎゅう、と伊織を抱き締めてくれる。それだけで幸せな気分になるのだから不思議だ。
「うん、えへへ……」
「じゃあこのまま八問目。『恋人に着てほしいコスチュームはある?』」
「あの、この前テレビで見た、アイドルが着てるひらひらの衣装……」
「え、あの王子様みたいな服ですか?」
「絶対雪翔くん似合うもん……王子様の雪翔くん、見たい……」
「……伊織さん、意外な趣味ですね……。九問目『恋人はかわいい? かっこいい?』」
「かわいい」
「即答しないでください!」
「……けど、かっこいいところもいっぱいあるから……ずるいなあって……」
「……これからもかっこいいって思ってくださいね」
雪翔はちゅ、と伊織の額に口づけを落とした。
「最後、『恋人にひとこと』ですって」
「えっと……大好きです、これからも末永くよろしくお願いします……」
「はい、ずーっと一緒にいましょうね。愛してますよ。これ面白いですね。次伊織さん俺に質問してくださいよ」
「う、うん……えっとぎゅーってしたままして、いい……?」
「はい、もちろん」
雪翔はふっと微笑んで、伊織を強く抱き締めた。
ともだちにシェアしよう!

