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第12話 酔いの願い
「……っ、ん、はぁ……」
吐き出したばかりの熱の余韻で、俺の身体は指先ひとつまでまともに力が入らない。
シーツに転がったまま何度も息を吐き出す。
視界が涙で潤んで、目の前にいる宵の顔がぼんやりと歪んで見えた。
宵は口元を手の甲で拭うと、そのまま俺の身体を抱き起こした。
宵は俺を自分の膝の上に正面から向かい合わせるようにして囲い込み、そのままお互いの身体をぴたりと密着させた。
「凪音、中、もうすっかり柔らかいね」
ずっとこね回されてた中は過敏なほどに宵の指の形を拾ってしまい、きゅうきゅうと勝手に収縮を繰り返す。
「ひ、あ……、よい……っ、ま、っへぇ……」
「待てない。なおがあんな風に踊るから悪い。ねぇ、ここ、どうしようか?」
いつも貼り付いているあの喰えない笑顔は、もうどこにもない。
どうしてほしいって。
じりじりと熱を孕んで脈打つ中は、さっきから宵の指をこれ以上ないくらい締め付けて、もっと奥の、手の届かない場所を抉ってほしそうに疼き続けている。
酒のせいだ。
頭も身体もおかしくなっている。
絶対にそのせいに違いない。
「……い、れて……っ」
「どこに?何を?」
宵の息が耳にかかって、それだけでぞわぞわしてくる。
お前も余裕無いじゃん。
ナカを執拗に弄っていた指が、ずるりと一気に引き抜かれた。
「ひぅ」
「もういらない?ごちそうさま?」
急に内側が空っぽになった喪失感に、身体がびくりと震える。
息を整える間もないまま、今度は指とは比べ物にならない硬さと熱を持った宵のそれが、割り開かれた尻の隙間にじりじりと擦り付けられた。
「……っ、ひ……、ぁ、」
お互いの顔が、呼吸が、逃げ場のない距離でぶつかり合う。
「……よい、の、やつ、……なかに、挿、れて、ぇ……っ」
お酒と気持ち良さのせいでくたくたになった頼りない身体を支えるように、俺は無意識に宵の肩に両手を回していた。
もう、そうしていないと座ってられない。
熱くて重い頭を、そのまま彼の鎖骨のあたりへと、すり寄せるようにして預ける。
その瞬間、下から、容赦のない熱量が一気にせり上がってきた。
「い゛、っ……あ゛、ぁ……っ!!」
内側の狭い粘膜をじりじりと割り開いて、宵の猛り立ったそれが、根元まで一気に圧し込まれる。
奥を抉るみたいに突かれて、頭の芯ががくんと揺れた。
胸を合わせ、互いの心音が鼓膜のすぐ近くで重なり合うなか、宵が下から腰を突き上げてくる。
「く、っ、ふ、あ、……ぁ!」
「ん、なお……きもち、いい、ね……」
背中に回された宵の手が、俺の腰をさらに自分へと強く引き寄せる。
宵の息遣いはひどく荒くて、なんか必死で、愛おしくって。
——なんでだ。
頭の片隅で、涙で滲む視界のまま、必死に思考を巡らせる。
前回来られたときは、あんなに痛くて、怖くて、ほぼ無理矢理みたいにされて最悪だったはずなのに。
なんで今日のこれは、こんなに、頭がおかしくなりそうなほど気持ちいいんだ、俺。
……さては、お披露目会の飯に、こいつ、惚れ薬でも盛ったな。
絶対にそうだ。そうに決まってる。
男の俺の身体が、こいつの質量を受け入れて、こんなに奥まで締め付けてるなんて、絶対に薬のせいだ。
だけど、下から突かれるたび、そんな瀕死の言い訳すら、溢れ出す喘ぎ声と一緒に口から全部溶け出していってしまう。
「ふ、ぁっ、ん、あ、……っ、よい、……っ」
「なぁに、なお…ッ」
「……き、も…ひぃ…‥っあ、あ」
「ん……腰、動いてんね…っ」
腰を激しく揺すられ、内側の甘い場所を何度もごつんと潰される。
肩に回した腕に、ぎゅっと力を込める。
額を預けたまま、自分でも耳を疑うほど甘ったるい声を絞り出した。
「よい、……ちゅー、した、い」
その瞬間、俺を突き上げていた宵の腰の動きが、ピタリと止まった。
至近距離で、宵が一瞬だけ、驚いたように眼を丸くする。
いつも余裕たっぷりに俺を翻弄する男が、完全に呆気にとられている。
「……いいよ」
甘い声音でそう呟いた直後、強引に顎を持ち上げられ、塞がれるようにして唇を合わせられた。
ちゅう、と唇に吸い付く音が耳元で鳴り響き、宵の舌が俺の口内へと深く滑り込んでくる。
「ん、んん……っ、ふ、ぅ……」
お互いの舌を絡ませ合い、貪り合うみたいに、何度もキスを交わす。
口内を狭く擦り合わされる刺激と、再び下から激しく突き上げ始めた宵の腰の動きが堪らなく気持ち良くて、俺の脳内は今度こそ完全に飽和して真っ白になった。
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