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記憶の真偽①

腕を組み唸りながら、蓮斗は輝とシリルについて考えていた。隣には珍しく都城がいる。昼休みの真っ只中の今は二人のいる食堂には、人がとにかく多い。 「ねぇ、おかしなことを言ってもいいかな?」 「いいけど。てか、香波がまともだったことってあんまりないだろ」 「失礼な!!僕はいつだって超可愛くて!超頭がキレて!最高で完璧なのに!!」  話したいことそっちのけで、反論してしまう。そんな蓮斗に向って都城は呆れを含んだ温かい眼差しを向けてきた。なぜだかその視線が蓮斗にはやけに癇に障る。けれど、気にしていてもしかたないと切り替える。 「もしもなんだけど、都城に前世の記憶があって、すっご~く好きだった人と、ものすっご~く大嫌いな人の記憶を持った人と再会しちゃったらどうする?」 「はあ?なんだそれ。ファンタジー小説でも読んだのかよ」 「いいから答えてよ!」 「答えるのは強制なのな。あ~、俺だったら他人のフリするかもしれないな」 「向こうから近づいてきたら?」 「そのときは腹割って話すしかないんじゃね?」  都城の回答に蓮斗はため息をこぼしかけた。結局、辿り着く答えは都城と同じだったからだ。正直な気持ちを伝えるしかない。それはわかっている。けれど、今の関係を壊してしまうのが少しだけ怖くもある。  それでも、アリステラはきちんとシリルと向き合うことのできる時間を持てなかった。それを考えると、アリステラに向き合う時間を、与えてあげなければならないという気持ちにもなる。 「都城君が一緒なんて珍しいね」  ますます頭を抱えていると、今まさに思い浮かべていた人物が現れて頬が引きつる。輝は当然のように蓮斗の隣に腰掛けると、両肘をつき手の甲を重ねてそこに顎を乗せるポーズをした。話していた内容が内容なだけに、輝が向けてくる視線から、事情聴取でもされているような圧を蓮斗は感じてしまう。 「なんで当然のように隣に座るんだよ」 「俺も一緒に過ごしたくて」 「それはかまわないけど……」  にこやかな笑顔を向けられてしまうと、やはりどうしても蓮斗は輝を受け入れざるおえなくなる。嫌というわけではない。ただ、前世のことを尋ねる勇気がまだ膨らみきっていないというだけだ。  もしも本当に輝が記憶を取り戻しているのだとするのならば、蓮斗に近づいてくる理由がなにであれ警戒してしまう。それほどまでにアリステラの心の傷は深かった。だからといって、悩んで二の足を踏むことを蓮斗は望んではいない。 『腹割って話すしかないんじゃね』  都城の言葉が脳裏を回り続けている。その通りなのだろう。わかっている。輝のことが大好きだからこそ、関係が壊れることを恐れて現状に甘んじることなどしたくない。

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