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衝突衝突②
「そんなの許さない。君がしたことを忘れたとは言わせない!」
「忘れてなんていない。シリルはルキナを傷つけた。アリステラを愛していたのに、君を婚約者に引き立てたのは俺だ。だから、恨まれても仕方ない」
「そうだよね。君は僕を傷つけたんだ……。まるで愛おしい相手に接するように甘い言葉を吐くくせに、全部紛い物だった!君はっ、シリルは覚えていないのかもしれないけれど僕はちゃんと覚えているよ。君は一度だって僕に愛しているとは言ってくれなかっただろう!!」
「……ごめん。君なら……君のことなら愛せると思ったんだ。本当に最低で軽率なことをしたと後悔している」
シリルはアリステラを忘れたかったのだろう。そんなときに天真爛漫で誰からも好かれるルキナと出会った。シリルが男爵令嬢であるルキナを選んだ理由を、きっと本人たちも理解できていないのかもしれない。けれど、アリステラがずっと見つめてきた二人の間には、たしかに絆が存在していた。
嫉妬するあまりそういうふうに見えていただけなのだろうか……。
「っ、後悔なんてっ……後悔なんてするくらいなら、始めから選ばれたくなんてなかったっ!期待なんてさせないでよ!!そんなことをするから……だから、君は大切なものをなに一つ守れなかったんだ」
「……そうなのかもしれない」
輝が苦しげな表情でうつむく。蓮斗は彼にそんな表情をしてほしくなどない。
たしかに前世で過ちを犯したのかもしれない。アリステラもシリルもルキナも、誰だって過ちを犯さない人間など存在しないのだ。けれど、幸運なことにこうしてやり直す機会を与えられた。だから、蓮斗は前を向く。進む。再び過ちを繰り返す前に、気持ちも思いも全部ぶつけてしまわなければ。
「うるさいうるさい!!僕のことを放って話を進めないでよね!」
「蓮斗……」
「輝。僕は香波蓮斗だ。アリステラのように居なくなったりしない。気持ちを押し殺したりなんてしない。僕は輝のことが好きだし、ずっと隣に居るってもう決めてるから。志乃も、変な嫌がらせなんてしてないで自分がやらないといけないことをしてよね」
腰に両手を当てて胸を張ってみせる。うじうじと悩んで沼にハマっていくことは誰にだってできる。けれど、それじゃあなにも変わりはしない。
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