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悪足掻き④

「人数揃ってんのになにやってんだよ」  扉が開き、目の前に現れた男子生徒が立ちはだかる。その後ろにもまだ数人居るようだった。 「遅れてくるから怒ってあげようと思ったけれど、丁度よかったよ。暴れるから縛り上げちゃって。それからたっぷり可愛がってあげてよ」 「麗しの書紀様は相変わらず怖いねえ。こいつも目を付けられて可哀想にな。まあ、見た目は極上だし、俺らは楽しませてもらうだけだけどよ」  入り口を塞がれ、たじろいでいると後ろから羽交い締めにされてしまう。暴れると、腕を掴まれて、落ちていた縄で後ろ手に縛られてしまった。  その状態のまま古びた体操用マットに投げ捨てられる。縄を解こうと挑戦してみるも、上手くいかずそのまま複数人に取り囲まれてしまう。ボールペンも入り口付近の隅に落ちていて、手は届きそうになかった。  途端恐怖が湧き上がってくる。負けては駄目だ、うつむくな。そんなふうに自身に言い聞かせてみても、実際にどうしようもない状況に追い込まれてしまうと、カタカタと身体が震えてしまう。  刑を言い渡され、平民落ちした日もこんな風に震えていた。独りぼっちで、どうにもならない現実に向き合わなければならなかった。  志乃が体育倉庫を出ていく。それが合図のように、シャツの中に男子生徒達の手が一斉に潜り込んできた。ベタベタと肌に触れられて気持ち悪さが込み上げて来る。シャツを無理矢理脱がされて、蓮斗の華奢な上半身が露になった。 「ッ、触るなよ!気持ち悪い!」 「へへへ、その強気な態度がいつまで続くか見ものだな」  輝に触れられたときにはあんなにも幸せを感じられたというのに、今はただただ嫌悪感ばかりが募っていく。胸の飾りを指でこねられる。違和感に目を閉じて耐えていると、感じていると勘違いしたのか、執拗に責められて生理的な涙が溢れてきた。 (輝っ、助けてっ!)  何度も心の中で叫び声をあげる。  けれど、次の瞬間には輝は助けになど来てくれないのではないか、と絶望感が胸の中を覆ってしまう。アリステラがどれだけ救いを求めても、誰も手を差し伸べてはくれなかった。だから、もしかしたら今回も前世のように救いなどないのではないか。  スラックスを無理矢理下ろされて、そのまま下着も取り去られる。涙が出そうになるも、泣き顔など見せたくなくて潤んだ瞳で必死に男子生徒達を睨み続ける。 ──輝っ、僕は君を信じているよ。  絶望が何度も襲ってくる。けれど、蓮斗はその暗い考えを必死に振り払い、大好きな彼のことを信じ続けた。 「っ、僕のすべすべお肌に触れていいのは輝だけなんだから!!スキンケアに気を使ってるのはぜーーんぶ、輝のためなんだからね!!!」  無理矢理膝を曲げて、勢い良く目の前の男子生徒の腹を蹴り付ける。そのまま、掴んでくる腕も振りほどき、裸のままズルズルと床を這う。膝が擦り剥けて、玉のように白い肌は土に汚れてしまう。そんなふうになってまで逃げる姿は、情けなく周りに映るのかもしれない。  大勢を立て直した男子生徒達が蓮斗を捕まえようと動き出す。怒りの形相で手を伸ばしてくる彼等を、必死に交わし、ようやくもう一度扉の前まで辿り着いた。 「__っ!」  その瞬間、声が外から聞こえてきた。愛おしくて、決して離れられない、信じると決めた人の声が──

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