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【番外編 どっちが格好よかった?】記者会見の波紋
記者会見が終わった翌朝。
テレビをつけた瞬間、夏目は思わずリモコンを落としそうになった。
『速報です。人気俳優ユニット・モトヤガの八神大河さん、本宮宗次郎さんが、昨日の新作舞台記者会見で「同じ人を愛している」と発言したことが大きな話題となっています』
画面には昨日の会見映像が何度も繰り返し流されている。
『俺達には大好きな人がいます』
『うっかり同じ人を好きになっちゃいました』
その言葉だけが何度も切り抜かれ、スタジオでは司会者やコメンテーターが口々に推測を始めていた。
『これは大ニュースですね』
『お二人とも人気絶頂の俳優ですから』
『恋愛を公表したわけではありませんが、『同じ人を好き』という発言はかなり衝撃的でした』
『ネットでは朝から大騒ぎですよ』
画面が切り替わると、SNSの投稿が次々と表示される。
『えっ!? 二人とも同じ人が好きなの!?』
『相手は誰!?』
『共演女優さん?』
『いや、劇団関係者じゃない?』
『まさか一般人!?』
『続報まだ!?』
ニュースサイトを開けば、どの記事も一面にモトヤガの写真が載っていた。
『恋のライバルは相方だった!?』
『大河&宗次郎、爆弾発言』
『"大切な人"の正体とは』
夏目は思わず額を押さえた。
「こんなことになるなんて……」
もちろん、二人は名前を出していない。
だから自分だと知られる心配はない。
それでも、自分がその『大切な人』なのだと思うだけで胸が苦しくなった。
学校へ向かう途中も状況は変わらない。
駅前の大型ビジョンでは昨日の会見映像が何度も流れ、通勤途中の人達が足を止めて見入っている。
「絶対、女優さんだよ」
「でも同じ人を好きになるなんて漫画みたい」
「続報が気になる!」
そんな会話を耳にするたび、夏目は帽子を少しだけ深く被った。
(お願いだから、それ以上騒がないで……)
けれど騒ぎは日に日に大きくなる一方だった。
週刊誌は『極秘交際か』という特集を組み、ワイドショーでは専門家まで招いて恋愛心理を分析し始める。
芸能記者はモトヤガの事務所前に集まり、大河と宗次郎が姿を現すたびに無数のカメラのフラッシュが光った。
「大河さん! お相手は女優さんですか⁉」
「宗次郎さん! 同じ方を好きというのは本当ですか⁉」
「交際宣言は近いんでしょうか⁉」
しかし二人は顔を見合わせて笑うだけだった。
「大切な人なのは本当です」
大河が穏やかに答える。
「でも、その人が安心して笑って暮らせることが一番大事なんです」
宗次郎も優しく微笑んだ。
「だから今は、どうか見守ってください」
その言葉は、その場にいた誰よりも、テレビの前で見守っていた夏目の胸に深く届いていた。
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