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*第35話

「誰かと比べてるわけじゃない。綾太、機嫌直せよ」 「すいません、俺ガキですね……なにもかも初めてで、岳さんと経験の差があるのは分かってるんですけど、でもどうしても妬いてしまう」 「ごめんって。つーか俺だってめちゃくちゃ嫉妬するよ。菜帆ちゃんもそうだし、あと、えっと倉本くんだっけ? あの子とも綾太仲良いだろ? イベントの打ち合わせの時からべったりだったし、すげーモヤモヤした」 「……岳さんも嫉妬とかするんだ」  ムスッとしていた表情が崩れて自然と口角が上がっていく。  本心か知りようもないのに岳の口から「嫉妬」という言葉が出たというだけで嬉しくなってしまう。 「なに笑ってんだよ。俺だって嫉妬もするし、独占欲もあるよ」 「心配しなくても俺は岳さんのものですから」 「……ならもっと分からせて。俺の男なんだって」  岳の腕が伸びて来て誘われるように上体を倒すと綾太の後頭部とうなじに彼の手が回ってくる。下になっている岳に引き寄せられてキスをする。 「ん!? ふ、っ、ぅ」  体がくっ付きあうほどに上半身を深く倒していると岳の手がいつの間にか綾太の股間をまさぐっていて、ボクサーパンツの上から撫で上げられるだけで鼻から間抜けな息が抜けていく。 「岳さ、ぁ、触ったら、やばい」 「パンツの中で出ちゃったら大変だな」  揶揄いの言葉と共に岳の指が綾太のボクサーパンツのウエストゴムに掛かる。  脱がそうとしているのだと分かり、綾太も岳の下着の腰元に指を引っ掛けた。  岳が足を動かすとスルスルと下着が脱げていく。綾太のボクサーパンツも岳の手によって引き下げられ、狭苦しい場所から解放された陰茎が勢い良く飛び出し上向きに反り返る。 「……やっぱデカいな……入るかな」  岳が頭だけを起こしてローションとコンドームの箱が放られた場所に手を伸ばす。 「綾太ぁ、ゴム着けて待ってて」  箱の中から小袋を取り出し岳が手渡してくる。  手間取りながら装着している最中、視界の端に岳の指が映った。自分のことが済んだあとでしっかりと目をやると岳が自分自身の尻の穴を弄っていて思わず「えっ」と声を上げてしまう。  岳は綾太の反応に驚くことなく、指を動かし続け頬を上気させる。 「ん、ぁ……風呂、入って慣らしてはいるんだけど、綾太のチンコ想定以上だったわ」  陰毛の薄い岳の下半身はローションによって艶やかに濡れ、細く長い指が尻を出入りする度にぬちぬちと粘着質な音が立つ。 「俺、俺も、したいです。指、入れたい」 「は、やじゃないの? 人のケツとか」 「全然。岳さんの中、触れたい」  許可を得る前に岳の後ろに指を添わすとローションの水音が耳を刺激してくる。 「ぁ、ぁ、待て、りょ、う、ゆっくり、っ」  岳の指が入っているにも関わらず、中に指を押し込むと思っていた以上に熱く、触れた先からその熱が伝って綾太の体温を押し上げる。 「すごい、中、とろとろ」 「りょ、りょうた、ぁ、も、浅いとこ、掻いて」 「どこ? ここですか」  尋ねながら二本目の指を差し入れて浅い所で関節を曲げ腹側に押し付けてみるが場所を外しているようで岳がもどかしそうに腰を揺らす。 「はっ、ぁ、あっ、あっ」  好い場所に当てようと岳が腰を上下に動かす。するとすぐに綾太の指がそこに触れたようで岳の口から高い声が出る。 「ん、ん、ぅ、あっ! あ、あ、そこ、っ」  肉壁の柔らさとは違うこりこりとした感触を指に覚えさせる為、綾太はしつこく見つけた場所を擦る。  後ろに指を突っ込んで中で動かす度に岳の陰茎は震え、先端から涎を垂らすみたいに透明の液体が漏れている。綾太はそれも構ってやらねばと空いた手で岳の亀頭を刺激した。 「んあぁっ、イッ、イキそ、ぁ、出ちゃ、あ、あっ」  岳の体が揺れて、触れたばかりの亀頭から白濁の液が飛び散る。射精と連動するように中が収縮して綾太の指をきついくらいに締め付ける。 「はっ、あ、はぁ、はぁ」  岳の呼吸が落ち着いてくると今度は中がきゅうきゅうと切なそうに指に吸い付いてくる。 もっと中を掻いて岳の好きな所を指の腹で潰したり擦り上げたりしたい。けれど今は自分の欲をぶつけたくて余裕がない。  何も喋っていなくとも余計な息が漏れて自分の呼吸が五月蠅く感じる。 「挿れたい、岳さん、中に入りたいです」 「……うん、いいよ」  綾太は岳の尻から指を抜くと芯を失い掛けた彼の陰茎に欲を溜めて硬く反った自身を擦り付ける。 「全部欲し、です。岳さんの全部」  綾太は岳の膝裏を抱え込む。 「いいよ、俺ごと全部やる。だから綾太も全部くれ」  岳の指がガチガチに張った亀頭に触れてくる。誘導されるように後ろの穴に先端が当たると綾太はゆっくりと腰を進めた。 「ぁ……はー……っ、入った、先っちょ」 「んう、う、りょ、う、た」 「岳さん、痛くない?」 「ん、ん」  こくこくと岳の頭が上下に振れる。痛くないとは言うが、苦し気に眉を寄せているから綾太は出来るだけ時間を掛けて陰茎の中ほどまでを収めてしまう。  これ以上は進めず、一旦動きを止めると深く息を吸う。 「うぅ、中、やばいす」 「……動いていいよ」  慣らすために時間を取ったからか岳の眉間の皺は薄くなり、とろんとした目を向けてくる。 「動いたらすぐ出そ」 「いいって。嬉しいよ」  岳が言ってくれるから綾太は緩々と腰を動かし始める。岳にも良くなって欲しくて浅い部分に先端が当たるようじっくりと腰を使う。 「ぁ、い、いいって、俺はぁ」  綾太が何をしようとしているのか腰の動きで察して、岳が声を上げる。遠慮してはいるが言動とは裏腹に岳の体は反応し、萎えていた陰茎は頭を擡げ息が上がり出す。 「は、はっ、あ、あ、綾太、ダメッ、また、っ」 「あぁ、気持ちい、岳さん、岳さん」  緩かったはずの動きは段々と速いものに変わり、岳の好む場所を通りながら今入る所までを夢中で突き上げる。 「はぁ、はっ、はぁっ、岳さん、俺、イキそ、出そう」 「う、うっ、おれ、も、出そ、あっ、出る、出る」  短く、細かい息を吐き、岳を見る。涙の滲む目が細められ、綾太と同じく熱を孕んだ荒い呼吸を繰り返している。  岳は達するために自分の手で陰茎を扱いていて、その手を取って綾太が代わりに扱いてやればすぐに精を吐き出した。  岳の絶頂で中が痙攣し始め、綾太は小さく呻く。彼の腰を掴んで最後に強く腰をぶつけると綾太も射精した。 「はぁ、はぁ、あー……」  息を上げて岳の上に倒れ込む。 「岳さん、キス。キスしたい」  唇を寄せると岳が重そうに頭を動かし綾太の方を向いて唇がくっ付きあう。 「岳さん好きです。大好き」 「んん、俺も」  二度の射精で疲れてしまったのか、眠そうに答えた岳の髪を何度も撫でる。 「離れても俺だけ見ててね。俺も岳さんだけ見てる」  意識を手放す直前で殆ど目が開いていない岳に言うとコクッと頭が動いた。  愛おしくて堪らない。  欲を吐いてもなお止めどなく溢れてくる想いをキスに乗せて、岳に届けるべくもう一度だけ口付けた。

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