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第3章 ラトゥリオとアントス 第5話
ラトゥリオは意識を取り戻した翌日から寝床を出て、がむしゃらに働いた。その二日後に王座を譲り受け、父は安堵の笑みを浮かべて眠るように息を引き取った。母は、父の葬儀の最中に命の火が消え、同じ棺に納められた。
相次ぐ悲しみの中にあっても、新しい王は、立ち止まってはいられなかった。各地の視察、負傷者の見舞い。行方不明者の家にも足を運んだ。罪を罪と認め、詫び、力を貸して欲しいと請う。行動で、真摯な言葉で国を立て直していくしかない。皆、一言も詰ることなく親身に話を聞き、協力してくれた。両親と祖先、各地のこれまでの統轄者たちが、ラトゥリオたちに残してくれた財産だった。
アリシアは、南半球に居を移した。ゆくゆくはアントスを妻として支えていくためだ。ピンクのドラゴンに乗り、北半球をひとめぐりしてから旅立っていった。
妹を見送った日、ラトゥリオは西の塔から夕暮れを眺めた。
あの宝箱は、南の城の、枯れることのない木の根元に埋まっているだろうか。貝殻でいっぱいになって。
(恋の抜け殻、か……)
アントスは思い出の真っ白な城を離れ、ラトゥリオから最も遠いところ――星の裏側へと移り住んだ。秘めた想いが露わになった密林は、今となっては誰も足を踏み入れることはないだろう。
日が沈む。星の裏側に、朝が来る。
(生きろ、アントス。俺も生きる)
それだけは、まだ二人に残されている。
月日は流れ、アリシアは十八でアントスの妻となった。ラトゥリオは祝いの品を贈ったが、南半球を訪れることはしなかった。二度とあのような災厄を起こしてはならない。
行方知れずとなった者は、見つかっていない。
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