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第7章 異世界に来て最初の発情期2※

 軽々と抱きかかえられ、天さんが部屋の出入り口横にあるガラス戸を片手で開けた。  ひんやりした床へ座らされる。  彼はシャワーヘッドを手に、お湯の温度を調節し始めた。  部屋の近くで警察の人たちが待機しているかもしれないから、多分大声で呼べば、すぐに来てくれるはずだ。  でも彼らを呼ぼうとは毛頭思っていなかった。——期待していたからだ。  ここにいるのは異形の存在である天さんに恐れをなし、恐怖で身動きが取れないからじゃない。僕自身が魂の番である彼のそばを離れたくなかったからだ。キスのその先を今すぐシたくて自らの意思で留まっている。  温度確認が終わり、シャワーヘッドを立てかけた天さんは、獲物を(ねら)う肉食獣のような目つきをした。 「てめえが何も覚えてねえのに無理やり、うなじを噛んだりしねえ。だが、」  細くしなやかな指が、胸もとの真ん中にあるリボンの先をつまんだ。慎重に解かれ、両肩の肩紐を二の腕のところまでずらされる。 「この身体はおまえのもんでもあり、オレのもんでもあるって、少しは自覚してもらわねえとな」  シャワーのお湯が流れる床にベビードールが落ち、上半身を隠すものがなくなると、唇をついばまれた。  砂糖菓子のように甘い口づけを受け、彼の首へ腕を回す。  角度を変えて唇をはまれているうちに息が保たず、口を開いた。  肉厚で温かい天さんの舌が口腔内に侵入する。驚いて舌を奥へ縮こまらせようとしたら絡めとられ、ザラザラとした舌で丁寧に()められてしまう。  全身がゾクゾクして、紐パンの中が窮屈になり、奥のすぼまりが()れた。  くぐもった声が漏れて力が自然と抜けていく。  唇を解放され、酸素を求めて胸を上下させていたら――「なあ、これも店のやつにやられたのか? それともヤクザ?」  赤く()れた突起を指先で軽く弾かれた。 「お店の人です。爪を立てられ、洗濯バサミで挟まれました……」  話しているうちに、研修の内容がありありとよみがえる。身体を弄られたときの気持ち悪さを思い出し、歯がガチガチと鳴り始める。  プラチナ色の頭を乱暴に()いた天さんが「すまねえ、嫌なことを思い出させたな」とバツの悪い顔をした。「おまえがほかの男に触られたって聞いて()いてるんだ。もちろん合意の上で行われた行為じゃねえってわかってる。夜の仕事につくとなったら性的なサービスをするのも頭で理解してる。律がそんな場所で働くのを阻止できなかったことを悔いていると同時に、おまえの身体を最初に触れて気持ちよくさせるのがオレじゃなかった事実が受け入れられないんだ。マジでガキだよな」 「……いえ、大丈夫です。僕だって、もし天さんの服に口紅やファンデーションがついていたり、ほかのオメガのフェロモンやキスマークがついていたら、同じような態度をとったと思います。でも、よかった」 「何が?」 「天さんが初めての人です。貞操は死守できました。だから、僕、処女なんです。あなたが初めての人になります」  すると天さんは喉仏を上下させてから震える声で「ほんとか?」と不安げな様子で尋ねてきた。 「はい、本当です」と僕は力強く返答した。「あなた以外のアルファや何人もの男に抱かれたり、うなじを噛まれずに済みました」  すると彼は頬を赤らめ、唇を(とが)らせながらシャワーヘッドを手にした。 「バカ言ってんじゃねえよ」  ぶっきらぼうな口調で悪態をつき、温かいお湯を肩にかけられる。  天さんは拾ってきた子猫や子犬を相手するみたいに、僕の全身を手速く洗った。  これで終わり?  (くすぶ)る身体を持て余していると、突然彼が身をかがめ、ふわふわした頭が胸もとに来る。 「……ひあっ!」  乳首を、あのざらついた舌で舐められ、裏返った声が出る。  左の乳首を軽く何度も吸われ、右の乳首はいたわるように指の腹で転がされる。  目の前にある手触りのいい髪を()で、彼のピクピク動く耳に指を()わせたら、尻尾がおもしろいくらいにピンと立った。 「次、こっちな」  低く(かす)れた声がすると今度は右の乳首を口に含まれ、左の()(えき)がついた乳首を指先でつままれ、撫でられる。  背を反らしながら息を吐き、(うち)(また)を擦り合わせていると「下着のとこから顔出してんぞ」  楽し気な様子で喉をくつくつ鳴らした。  羞恥(しゅうち)を感じて、切っ先から透明な先走り液が、こぼれ落ちる。 「だって……天さんが気持ちいいことをするから我慢できなくて」  オメガの男性器は小ぶりで、大人になっても子どものときと大して変わらない。だからといって女性用の面積が少ない下着を履かされれば、はみ出しそうになる。ましてや発情状態で魂の番に触れられたら言わずもがなだ。  紐を解かれ、彼の顔がさらに下がる。 「……やだ、ああっ!?」  固くなった自身の切っ先を舐められ、重くなった(こう)(がん)をやわく()まれる。  店長に手で触られたときは心も、身体もどんどん冷たくなって(よど)んだ水の中に沈んでいくような感覚がした。  相手が天さんというだけで、心臓が壊れそうなくらい大きな音を立て、全身を火で焼かれているみたいに熱くなる。

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