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第9章 甘い夢と悪夢2

 LIMEでやりとりをしてお互い仕事の休みのときには、ご飯を食べに行ったり、夢の国に出かけたり、日帰り旅行をした。  今までおじいちゃん以外の家族や他人からまともに人として扱ってもらえなかった僕にとって蜜のすべてが青天の霹靂だった。  いつもやさしい言葉をかけてくれて、親身になって寄り添ってくれる。デートの最中もエスコートしてくれるし、温かい笑顔で笑いかけてくれる。いつだって僕の味方でいてくれたんだ。  彼を好きになるのは——恋に落ちるまで——時間はかからなかった。そう時間がたとえ運命で結ばれた魂の番(つがい)でなくても、ずっとそばにいられたらいいのにと願わずにはいられなかったんだ。  目を開けると真っ黒な空間でひとり、ポツンと突っ立っていた。おじいちゃんもいなければ、蜜や天さんもいない場所で不安と焦燥感を覚える。 「律」  背後から蜜の声がして僕はとっさに振り返った。  そこは白いチャペルだった。  天井にはシャンデリアが飾られ、眼前には美しいステンドグラスがある。真ん中の太いには大きな十字架がかけられ、道の両サイドには白い百合の花が飾られている。  道の先には黒のタキシードをまとった蜜が微笑みを浮かべ、手を差しのべてくれる。  僕はその手を取ろうと手をのばした。 「……蜜」 「ごめん」 「えっ?」と思っていれば、横からさっと大翔が出てきて、蜜のもとへ走っていった。  白いタキシードに白いヴェールを合わせ、ウェディングブーケを持った弟が、恋人の隣に立つ。ふたりは手と手を取って、ゆっくりと真紅の絨毯の上を踏みしめ、出入り口に向かって歩き始めた。  いつの間にか僕は参列者席に立たされていた。  お父さんや、お母さん、親戚や大翔の友だち、蜜の仕事仲間や上司がみんな「おめでとう」と祝いの言葉を口にして花びらの雨を降らせる。  何がなんだかわけのわからない状態でぼうっとしていれば、大翔が申し訳なさそうに眉を八の字にして近寄ってきた。 「ごめんなさい、お兄ちゃん。でも僕の魂の番は蜜さんだったんだ。どうか許して」  美しく咲き誇る白百合に白バラ、かすみ草をサーモンピンクのサテン生地のリボンで結んだ花束を渡される。  大翔との横にいた蜜と目が合う。 「律、悪いのは全部、俺なんだ。近くに魂の番がいたことを見抜けず、運命の人を諦めていた俺に責任がある」 「待って、蜜。いきなり、そんなことを言われても困るよ頭がぜんぜん整理できてないんだ」 「ねえ、どうして……?」と訊きたかった。  僕たちの過ごしてきた日々は半年とちょっと。決して長い年月ではない。  だとしても一緒に過ごしてきた日々は無駄なんかじゃなかったはずだ。 「律には律の魂の番がいるだろ」  ふと肩に温かい手が触れ、美しい花々に集まっていた目線を上にやる。 「……天さん」  僕の左横には着物を着用した天さんがいた。  目をぱちくりさせていると天さんが見るものを甘くとろかし、魅了させる笑みを浮かべた。  「大丈夫だ、律。律にはオレがついている。ひとりじゃない」  

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