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第11章 未来のお義母さんと、お義父さんにご対面!?1

 店を出てからも天さんはなんだか難しい顔つきをして考え込んでいる様子で、気軽に声をかける雰囲気でなく、ためらわずにはいられなかった。  こんなことは初めだ。どうしたんだろう? 何かまずいことでもしてしまったのかな? と頭を悩ませる。この後の買い物の時間が気まずい。 「あら? 天、天じゃない」  ふと後ろを振り返る。  ふくよかな体型で背が低く口もとをほころばせたショートヘアの女性と、すらっとした長身で厳しい顔つきをした黒縁メガネで白髪まじりの頭をした男性がいた。  どちらも五十代から六十代半ばくらいの年齢だ。  天さんと同じように頭には三角の、おしりの辺りにはふわふわの白いしっぽが生えている。もしかして……。 「親父、おふくろ」  予感的中だ。天さんのお母さんと、お父さんだった。 「あら、そちらは……」  天さんのお母さんの視線が僕のほうに移り、居住まいを正す。 「社律です。初めまして、おば様、おじ様。天さんには、いつもお世話になってます」  すると天さんのお母さんと、お父さんは顔を見合わせたかと思うと正面を向き直し、僕の顔をじっと見つめた。  思わず緊張し、心臓が太鼓のような音を立てる。 「りっちゃん……りっちゃんなのね!」 「大きくなったなあ」  ふたりは昔を懐かしむかのように朗らかな笑みを浮かべた。  おば様と、おじ様の反応が悪いものではなかったことに安心し、ひそかに息をつく。 「最後に会ったのは小学校四年生のときだから……十年ぶりになるかしら!」 「いやー、立派になって、見違えたよ。今年で二十歳になるのかな?」 「はい、そうです」 「あらー、若いわね。髪はツヤツヤ、お肌もピチピチで、羨ましくなるわ。おじい様は元気?」 「二年前に他界しました」 「——そう、それは残念だわ。お悔やみ申し上げます」 「ありがとうございます」 「今はひとりで暮らしてるの?」  えっと思いながら天さんのほうへ目線をやる。 「魂の番であるαとして、オレが律を保護している最中だ」 「天の家に同棲してるってこと!?」  おば様は、目を大きく見開き、あからさまに驚嘆した。 「りっちゃん、大丈夫? うちの息子にいやなことされてない!?」 「おふくろ、オレをなんだと思ってる!? 魂の番であるΩに乱暴や無体を働くと思ったら大間違いだぞ!」  不機嫌そうに天さんが、しかめっ面をする。  おば様に手をとられ、苦笑いをする。 「あーら、子どもの頃のあんたの様子を見ていれば、心配のひとつでもしたくなるわよ」 「なんだと!」 「何よ、何か文句でもある?」  天さんとおば様の口喧嘩が始まった。ヒートアップするふたりにオロオロするばかり。  おじ様はいつものことで慣れているのだろうか? 特にふたりの様子を気にすることもなく「ここで立ち話もなんだし、どこかのカフェにでも入らないか?」  近くにあるコーヒーチェーン店のほうを指さした。  僕はどもりながら「はい」と答える。  先頭におじ様、すぐ後ろを僕、そのまた後ろを天さんと、おば様が着いていく形で店に入った。  そして、おじ様はブレンド、僕はカフェラテ、天さんはアメリカンのホットコーヒーを、おば様はアイスのロイヤルミルクティーと和栗のモンブランケーキを頼んだ。  オーダーをしている間も、おば様と天さんはあきずに言い合いを続けている。 「律くん」 「はい、なんでしょう?」  飲み物を待っているとおじ様に声をかけられ、自然と肩に力が入り、声が裏返る。 「まじめな話、天とはうまくやれているのかい?」 「天さんには、よくしてもらっていますよ。衣食住充実していて快適に過ごせています。今日もおいしいお昼をおごっていただきました」 「そうか」  先にブレンドとカフェオレができあがった。  受けとり口へ向かい、白いマグカップを手にする。窓際の4人がけの椅子へ僕と、おじ様は向かい合う形で座ることにした。 「せがれのかけてきた電話では、なんでも記憶喪失になり、昔のことをほとんど覚えていないという話だったが……天は、ひとり息子でわがままなところもあるからな、きみに無理をさせているんじゃないかと心配だったんだ」 「そんな……むしろ僕のほうが天さんの無理をさせているんじゃないか、迷惑をかけているのではないかと思います。……重い負担になっているんじゃないかと心配です」  お仕事が忙しい公安で日夜この国の人や、あやかしの安全と平和を命がけで守ってくれている。休みだってとるのが大変なのに、仕事も決まっていなければ、この世界に慣れていない僕のために時間をとってくれている。 「きみが、あいつの負担になるなんて天と地がひっくり返ってもならないだろう」 「どうしてですか?」 「息うちの子が人間に化けれるよう厳しい修行を積んだのも、警察になったのも律くんが大事だからというのが、ひとつの理由であり、きっかけだからさ」 「僕、ですか?」 「ああ、そうさ」  そう答えるとおじ様は白い湯気を立てる白いカップを口へ運んだ。 「ご両親や弟さんがうまくいってないのは、きみのおじいさんから、うちのおじいさん伝いで知っているよ」

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