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第11章 未来のお義母さんと、お義父さんにご対面!?2
そうだった。おじいちゃんはこの世界の出身で魔法使いだ。
僕のいた日本と、異世界の日本に通じる出入り口として稲荷神社を使い、僕をこの世界へ連れてきてくれた。子どもの頃、天さんや、あやかしのみんなと頻繁に遊んでいた。
それは、ここでならΩだからといって不用意に差別されないからだ。
天さんがやさしいのは魂の番だからっていう理由だけじゃない。「αはΩを守るもの」という、この世界の一般常識を大切にしているからだ。
だから草太くんや梅子ちゃん、豆助くんに常磐くんが遊び友だちになってくれた。
「家族や友だちすら見境亡く誘惑する下級Ω」という認識が、この世界にはない。あるのは「あやかしであるαとΩである人間の間に生まれた半妖は、強い力を持つ」というもの。
じつの両親から愛されず、上級Ωの弟・大翔ばかりが愛されている。そんな状況をおじいちゃんが危惧して、天さんのおじいさんや、おばあさんに相談していたとしても、おかしくない。
「そうだったんですか」
「おじいさんは、きみのことを常日頃から心配していたよ。『いっそ、こちらの世界で生きたほうが楽なんじゃないか』と、よく話していたそうだ」
「それは、そうですね。こちらの世界に来て、買い物をしたり、外出をしていると、すごく生きやすいなと実感するので」
もといた世界では、Ωの首輪 を着けているだけで周りの人から後ろ指を差され、行く先々でよくない噂を立てられた。運が悪ければ、その場所にいるだけでゴミを見るような目つきをされたり、舌打ちをされ、「下級Ωの分際で何様のつもりだ」「家から出てくるんじゃない」と悪口を言われる。
でも、こっちの世界では、僕がΩの証をつけていても関係ない。
まるで大多数のβになったみたいに、平穏無事で過ごせている。
——とはいっても、少数ながらΩを悪く思うあやかしや人間もいるそうだ。
カフェオレを一口飲むとミルクの甘さとコーヒーの苦さが口いっぱいに広がった。
「ところで天の年齢は知っているかい?」
カップを木製の机の上へ置く。首の後ろに左手をあて「いいえ、聞いたことがないので、わからないです」と返答する。「二十代前半くらいに見えますが……」
「人間の年齢で換算すれば確かに、それくらいかな。ただ、ああ見えてあやかしの類だから百年は生きているんだよ」
「百歳……!」
衝撃の事実だ。まさか天さんがそんな長生きだなんて夢にも思わなかった。
「ああ、そうだ。かくいう私や妻も三百を超えている」
「おふたりもですか……」
「突然こんなことを言われて戸惑うかもしれないが、要するに何か困ったり、悩むことがあったら、ぼくたちを頼ってほしい」
「そう! その通りよ」
アイスロイヤルミルクティーと和栗のモンブランを手にしたおば様が、おじ様の横に腰かけた。
「まだ大人になったばかりなんだから。何かあったら迷惑だと思わずに、なんでも言ってね。そしたら相談に乗るから」
「でも、いいんですか……?」
「当然よ。だって息子同然だもの。天とりっちゃんが相思相愛になったら家族になるんですもの」と、おば様はちゃめっ気たっぷりにウインクをしたのだ。
目頭が熱くなり、胸がうれしさで込み上げる。
そこへアメリカンコーヒーを手にした天さんが遅れてやってくる。
「親父も、おふくろも、何か余計なことを律に話してんじゃねえだろうな!?」
「あら、それってあんたが子どもの頃に、どんなに横暴でわがままな態度をりっちゃんや、みんなにしていたか話してもいいってこと?」
「はあ? オレは、いつだって誰にでも親切なきつね妖怪だっつーの! そうだろ、律?」
「はい、そうですね」
天さんの焦った反応がおかしくて笑みがこぼれた。
この人たちと本当の意味で家族になれたらいいなと思いながら、子どもの頃の話で花を咲かせた。
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