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3 悩ましい関係(5)
再びトラムの警笛が聞こえる。
バスタオルを腰に巻いただけのフィオーリがシャワールームから出てきて、アンドレアはぼんやりと考え込んでいた頭を現実に戻した。
ゆっくりと近づいてくるフィオーリが黒い短髪を無造作に搔きあげる。それだけでもぞくっとするほどの色気があった。口元には冷笑的な微笑が刻まれていて、アンドレアに皮肉っぽい視線を注ぎかけてくるが、それも彼をなんとなく知的に見せている。
ウイスキーが効いていたアンドレアはそんなフィオーリをぼんやりと眺めた。
「もう酔っているのか」
「⋯⋯」
俯いて首を振った。肩まで伸びたアンドレアの髪は乾きかけていて、さらさらと揺れる。
ソファの肘掛けに手を突いたフィオーリがアンドレアの唇を盗む。
後方へと強く圧を受けたアンドレアの首はのけぞり、そのままゆっくりと丹念なキスを施されて、やがて唇の吸いあう隠微な音が響き始める。すぐにそれは熱度を増し、昂った吐息が互いの喉から漏れ、濡れそぼつ唇から唾液が滴った。
唇の間から舌を侵入され、激しく触れ合わせた。フィオーリのキスは巧みにアンドレアの情欲を煽る。フィオーリの唇がアンドレアの肌をたどって鎖骨へ届く頃には、アンドレアの中心は劣情に熱くなってつらくなっていた。
抱きかかえられてベッドへと押し倒される。
上半身のバスローブを開 けられ、腋を持ちあげられて執拗なリッキングをされれば、自分でも驚くような甘い声が喉をすり抜ける。
容赦なく股を広げられ、フィオーリがその間に入り込んで屈む。バスローブが開けられたせいでアンドレアの陰茎は丸見えだ。思わず手で隠そうとしたが、難なく遮られ、両手首をシーツに圧し留められてしまう。
「隠すな」
ククッと嗤ったフィオーリがからかう。
「恥ずかしい、から⋯」
「今更なにを言う?」
酷薄な笑いで一蹴されてしまう。それもよくあることだ。アンドレアの羞恥などフィオーリにとって軽く扱える程度のものなのだろう。
それでも胸元に痛いほどのキスマークを付けられればそんな歯がゆさもどこかへ吹き飛んで、固く勃ち始めていたアンドレアの陰茎はさらに猛ってしまう。
「あ…ッ」
鼠径部に顔を埋めたフィオーリの舌先が先端の切れ目をくじく。そんなことをされればもう、切ない、重い電流がしたたかに腰を貫いたようになってアンドレを酷く苦しめるのだ。
熾烈な苛 みを執拗に受け、強烈な至精感に襲われて声をあげてアンドレアは悶える。
思わずシーツを掴んだ手に力が籠った。首をのけぞらせていやいやと振る。浮かした尻たぶが震え、膝は無様に笑い、みっともなく腰が振るえる。
フィオーリの舌が笠のくびれを丹念になぞれば達したくなってたまらなくなった。
「嫌だ⋯⋯! もっと――――」
「もっと――――何?」
「欲しい⋯!」
「何を、だ?」
意地悪く問いかけてくる。湿った視線でフィオーリに懇願する――――もっと確かな刺激が欲しい、と。
「分かったよ」
冷たく喉を鳴らし、口内にすっぽりとアンドレアを含む。その衝撃だけでアンドレアは達しかけたが、根元を押さえられたせいで叶わなかった。
巧みな口淫を施される。空いているほうの手で乳嘴をきつく弄ばれ、時に乳暈ごと無体に揉みしだかれる。そのうえ先端を爪で搔き嬲るから、そのたびにアンドレアは身も世もなく全身を揉んで乱れるしかなくなる。
「んああ…、あっ、ぁあ、――あ、ぁあんっ…、」
己の口から、耳を塞ぎたいほどの嬌声が止め処なく漏れた。
じゅぶじゅぶと卑猥な水音が室内に響き、途方もない快楽の嵐に溺れ、藻掻き、泣き喘いで、フィオーリからの享楽に酔う。
気の遠くなるような快楽を与えられて幾度もドライ・オルガスムを味わわされた。
根元を解放された時には、溜まりに溜まった欲望がしたたか腹へと吐き出された。それを伸ばすように広げられて「久しぶりだったのか?」と辱めを受ける。
「――僕の相手は、あなただけだから⋯」
泣きたい気持ちでアンドレアが答えると、満足そうに目を細める。
さらにゼリーを使って丹念に秘所を解きほぐされれば、すっかり熱情を帯びたアンドレアのそこは背後でフィオーリがスキンをつけるのすらもどかしく、彼の目の前に尻を突き出し、ヒクヒクと開閉する穴を見せつけて、腰を振って彼のセックスをねだるのだ。そんなはしたない痴態に羞恥を感じる余裕すらなくなっているまま。
フィオーリがその長大なもので押し入ってくる。
最初はゆっくりと、やがては本能の赴くまま、互いに、勢いに任せて抽挿を繰りだす。
長時間にわたる激しいインサートは苦しくありながらも途轍もない快楽をアンドレアに与える。フィオーリとのセックスは甘美で刺激的だ。満たされない精神的な平穏を、アンドレアは肉体の享楽で誤魔化していた。
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