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7 そして逃亡へ(2)

 湿潤な吐息が、絶え間なくアレクサンドラの口から溢れる。  背後から力強く抱えられ、脚で脚を押し開かれて、あられもない姿になっていた。  手首を縛られ、マッシモの片手で頭上に引っ張られている。片方の人差し指と親指で、マッシモは執拗にアレクサンドラの乳嘴を(もてあそ)んでいた。  かわるがわる摘ままれ、無体に爪弾かれて、先端の柔い部分を意地悪く引っ搔かれる。時に無体に乳暈ごとぐるぐると回される。  アレクサンドラは身を激しく揉み、首をのけぞらせて、頭をぶるぶると振ってマッシモの胸にこすりつけなくてはならなかった。すでに汗ばんだ髪は、頬へまとわりついて乱れていた。  たまらなくなって目を閉じれば、視界が白み、呼吸さえままならくなった。強烈なアクメは腹の底で熱いとぐろを巻いて、暴れ始めていた。  尻にあたっているマッシモの男根は岩かと思うように固い。アレクサンドラのそれもつらいほど()っていて、ぽたぽたと滴りをシーツへと垂らしている。淡い下生えもとっくりと濡れていた。 「ぁあ……」  切ない声が漏れる。  一度も触れられていないために、強い射精感は行き場がなくて、酷くもどかしい。その鈴口ははくはくと開いたり閉じたりしている。自分で(いじ)ることが叶わないアレクサンドラには酷く苦しい時間で、ひたすら腰を振るうしかできなかった。 「で、…で、る――――」  あまりにも切なくて泣きそうになる。もう、勘弁してくれ――――と。 「この程度で泣き言か。まだ早いぞ。まだ、勃ったばかりだろうが」  ひっくり返されて、腋を激しくリッキングされた。 「ひあっ、ぁあああっ!」   電流がすり抜けてゆくような刺激に、とぷんと白濁が溢れる。ペニスへの触覚なしに達したのは、これが初めてだった。 「なんだ、こんな所が弱いのか」  意地悪く嗤われても気にする余裕などなく、アレクサンドラはうねうねと蛇のように身を揉むしかない。  マッシモの舌が下方へおりてゆく。その道程すら切なく感じた。  それから臍を舐られる。 「んう!」 「ここも、性感帯か?」 「はっ、…やめ、て、そこは、――――はあっ、――――ああぁっ、」  感じ過ぎてつらい。  同時に乳暈をこれでもかと虐げられ、舌を使って臍を可愛がられて、快楽神経が焼ききれそうになる。まるで拷問のようだった。  やがて両足を持ち上げたマッシモは、アレクサンドラの股座(またぐら)へと顔を沈める。 「ここも、可愛がってやらんとな」  陰茎の裏筋のところをするりと舐めあげる。アレクサンドラは思わぬ刺激に、「あっはぁ!」とはしたない悲鳴をあげてしまった。  それまでさんざん触ってもらえず、そのせいであまりに敏感になっていてしまっていて、少しの刺激でもつらくてたまらなかった。  だというのに、舌での繊細な愛撫をまんべんなく施されてしまい、アレクサンドラは身も世もなく喘いで身をよじり続けた。  先端の敏感な切れ目までをほじられては、たまらない。  ぶるぶると両膝が笑い、アレクサンドラはそのまま、射精を伴わぬエクスタシーに入り込んで全身をぴんとひきつらせた。  腿をぶるぶると震わせながらアレクサンドラはかぶりを振り、嬌声をあげる。 「はあッ、ふうぅんっ」  アレクサンドラが半狂乱に陥るのを横目に、マッシモはアレクサンドラの猛りを口に含み、カリのくびれを激しくしごく。薄い皮膜のそこは、快楽を受ければ受けるほど熱く爛れていった。 「――あ、ぁ、あ…!」  脳天まで焼くような途轍もない享楽が、何重にも連なってアレクサンドラを襲う。  そんな責め立てを口淫で行いながら、マッシモはさらに手を使って双袋を揉みしだく。たわわになったそこもつらいほどの快感をアレクサンドラに引き興した。  アレクサンドラはいよいよ激しく見悶え、淫らに腰を振るった。尾骶骨の奥の熱い塊は、今にも暴れて爆発しそうだった。 「イ…イク――――! また、イク、からっ…」  だから口を離してくれと言いたいのに、あまりに責めだてが強烈すぎて、言葉もまともに出せなかった。  もはや理性的なこと自体が、全て怪しくなっていた。陰茎の中心を熱いものが立ちのぼってゆく。 「はあッ、ああぁ…っ」  腰を激しく振るいながらアレクサンドラは達した。どくどくと大量に出てくるのが恥ずかしいくらいに射精は長くかかった。マッシモが何度も嚥下するのが分かった。 「随分、溜まっていたようだな」  口を離した後で、陰茎の先端をピンと爪弾く。 「うううっ」  敏感過ぎるそこを虐げられて、アレクサンドラはあられもなく泣いた。 「手下どもと派手に遊んでいるんだろうに」  半ば呆れるようにからかわれて、悲しかった。 (ほんとはずっと、あんたに愛されたかったんだ)  永遠の片想いという悲しみを、他の男で紛らわせていただけだ。  だがぽっかりとあいた心の空洞は、マッシモとこうなってみても全く塞がりそうになかった。  仰向けの姿勢を再度、うつ伏せにひっくり返される。それはマフィアの頭領らしい、実に手慣れた尊大さと乱雑さの混じった、巧みな動作であった。  マッシモは甘噛みを肌に施しながらアレクサンドラの秘所をほぐしにかかる。時に荒々しく、時に婀娜な指使いで確実に拓いてゆく。  指が良い所を突く。  わざとかすったり、かすらなかったり。  揉んだり、叩いたり。  その都度、甘く濡れた喘ぎがアレクサンドラの喉からすり抜ける。再び陰茎が反り返った。  次の瞬間、かさだかな怒張の侵入を受けた。一気にずぶずぶと根元まで入れられ、そのままたっぷりとゆすられて、その衝撃に悲鳴がアレクサンドラの喉を貫く。  アレクサンドラはたちまち射精し、タタタタと、ザーメンがシーツを汚した。 「なかなかの器だ。言っておくが、私は達するまで長いぞ。お前も愉しめ」 「…知ってる、さ! さんざ、ん、フェラしてやった、ろ!」  冷酷な響きにアレクサンドラも目一杯の虚勢で答えたが、その声は抽挿の衝撃で変に弾む。 「恐ろしいほどヘタクソだったな」  マッシモが背後で低く嗤う。  形勢は一目瞭然だ。  容赦のない大ぶりな抽挿に、アレクサンドラの肺は出したくもない「はっ、はっ、はっ」という喘ぎをたて続けに吐く。あまりの激しさにアレクサンドラの肉筒は塞がる暇もないほどだった。  下半身の皮膚がしたたかに当たるパンパンという卑猥な音が、荒々しく室内に響いた。重く大きなマッシモの双袋が腿のあたりにぶつかってくるたびに、アレクサンドラは淫靡な喜びを感じた。  どんなに乱暴にされたっていい。  がんがん、やってくれ。  こんなつらさも、慣れればすぐに淫蕩な快楽に変わるから。  愛する男から乱暴に犯されているという被虐的な悦楽に、アレクサンドラはひとり酔っていた。  今、このときだけはこの男に快楽を与えているのだという現実が、嬉しかった。  誰にも邪魔されない時間へと、アレクサンドラは歪んだ相貌で妖しい笑みを投げかける。  それでも逃れられない「片想い」という痛みに、涙が一筋、零れた。

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