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罠
「エドワード殿下。カインさ……ルベール公が面会を希望してる……ますが、どうしますか?」
控えめながらも、しどろもどろでなまりの強い声が、ベッドの天蓋から降ろされた帳の向こうから聞こえてくる。
声の主は、最近新たな従僕となったオトマーだ。
オトマーはヴァルトシュタイン辺境伯領へ視察に出向いた際、俺たちを襲った賊の一味だった。カインを襲おうとしていたところを俺が背後から足に切りつけ、怪我を負わせた青年だ。
賊の他の者たちはその土地を治める領主に預けたものの、オトマーは俺がアキレス腱を切ったせいで労役刑につくことも難しい。
「どうせここにいても何もできずに死ぬのを待つだけだ。毒見でも何でもいいから、使用人にしてくれ。それができないのなら、今すぐ殺してくれ」と涙ながらに懇願されたため、カインの許しをもらって、都に連れて帰って来た。
アキレス腱を切ったと思っていたが、傷が浅く、都に帰り着くまでの二週間ほどの間に足首を動かせるようになっていたため、今は現代で言うところのギブスのような添え具で固定し、松葉杖を使って歩行している。
従僕としての言葉遣いや礼儀作法はまだまだだが、足の不自由さを感じさせないほどにちょこまかとよく動き、身の回りの世話をこなしてくれていた。
ゆっくりと目を開け、自身の体の状態に神経を巡らせる。ずっとみぞおちの不快感は続いていて、体を起こせば吐き気が増しそうだった。
都に帰って来てから既に二週間が経つ。体調不良の原因は流行り病ではないことはわかっているので、「横になったままでもよければ」という条件つきで面会を許可した。
賊に襲われた翌日、視察を中止して都に帰ることも検討したが、どちらにしても、隊長のカインを含めて生き残った騎士たちは負傷している者が多く、すぐには動けない状態だった。
その場所から国境近くにある第七騎士団の駐屯地までは、馬を走らせれば一日で着く。そのため、カインの反対を押し切り、土地の領主に騎士たちの治療を頼んで、〈影〉の者たちだけを連れて俺が単独で駐屯地まで出向いた。国境の現状を視察し、宮廷へ報告するために文書にもまとめたので、必要があれば、視察の目的であった王太子の巡幸のための警備計画についても、それを元に作成すればよい。
負傷者多数だったため、視察団と合流した後、都に帰るまでは、再び馬車で移動することになった。
往路よりも時間がかかったが、その分、体への負担は少なかった。
そのため、都に帰り着いて二週間も経つのに、「旅の疲れが抜けない」なんてことはありえない。ただ、不調の本当の原因を人に知られるわけにいかないので、「旅の疲れが抜けない」という理由で、公文書庫への出仕も休んで寝込んでいた。
その間、カインはほぼ毎日、面会の申請を出してくれていた。
「オトマー、カインと二人にしてくれ」
「か、かしこまりました」
松葉杖をつく足音が遠ざかり、ややあって、再びドアが開き、靴音が近付いて来る。
帳がそっと捲られ、長身の男が姿を現す。俺の顔へと視線を落とし、あからさまに表情を曇らせた。
「顔色はあまり変わらぬな。大丈夫か?」
「日が薬という。毎日来たところですぐに良くなるものでもないだろうから、毎日顔を出す必要はないぞ」
「毎日ではない。昨日と一昨日は、お前が寝ていたため遠慮した」
昨日と一昨日は、今日より吐き気が酷かったため、寝ていることにして面会を断った。
カインにすら、本当の理由は話していない。
「旅の疲れがこれほど長く続くわけないだろう? 流行り病でもないのなら、何か重い病ではないのか? ちゃんと医者に診てもらっているのか?」
カインが床に跪き、顔を覗き込んでくる。仰向けに寝ていた俺は、おもむろに寝返りを打ってそちらを向いた。
「誰もが君のように不死身ではない。どうしようもないときはちゃんと診てもらっているから大丈夫だ」
賊に襲われた際、利き腕である右腕に深手を負ったはずの彼は、俺が駐屯地から戻ったとき、傷を縫った腕で素振りを始めようとしていて、セルペンスに全力で止められていた。
カインは俺の説明に納得していないのか、眉根を寄せた不安そうな面持ちで、俺の額に手を伸ばしてくる。
大きな掌を額に当てられると、なんだか身の置き場のない心持ちになる。
「熱はなさそうだな」
「起き上がれそうにないから、すまないが、君だけでもベッドに腰かけてくれ。何か新しい情報はあったか?」
カインがベッドに腰を下ろし、足元の寝具がわずかに沈み込んだ。
表情から察するに、あまりよい報告ではなさそうだった。
「クラウス家を見張らせていたら、ヴィオラらしき女が薬屋に行くのを確認できた。店の主人を問い詰めたところ、令嬢が買ったのはやはり毒薬のようだ。少量ならば薬としても使うため、ときに医者や薬師が買いに来ることはあるらしい。12年前にクラウス家の使いの者が毒を買いに来たかどうかは……。さすがに覚えていなかった」
「やはりそうか……」
12年前の件については、予想していたことなので、がっかりはしなかった。
それよりもヴィオラがこちらの思惑通りに動いたことのほうが大きい。
12年前の王太子殺害に関わった者のうち、毒入りの茶を出したと思われる侍女は川に転落して亡くなり、そしてカインの父のポーチに毒瓶を忍び込ませたと思われる騎士は北の国境を守る第七騎士団へ配属され、戦で亡くなっていた。二人とも、事件後にまとまった金を手にしている。その金の出所は今もわかっていない。
クラウス伯爵が裏で手を引いていた可能性が高いが、伯爵を断罪できるほどの証拠は揃っていなかった。
そこで、俺たちは罠を仕掛けた。その罠に、ヴィオラがまんまとかかったのだ。
気難しい顔で、カインが説明を続ける。
「薬屋の使用人の話では、これまでにも何度か、ヴィオラ以外にも身元の分からない人間が毒薬を買っていったそうだ。そいつらもまた、クラウス家の使いかどうかはわからない。時期は、セレナが王宮に入った時期と一致する」
「だとすれば、王宮で使われた毒はおそらくそれだろうな」
花嫁修業の名目でセレナが王宮に入って以降、鼠を使った毒見で、既に3度、毒の混入が発覚している。いずれもセレナに出す予定の料理だった。
タイミングからすると、使われた毒はその薬屋で買ったものの可能性が高い。
俺たちが都に戻って以降、俺が提出した視察の報告書をもとに、宮廷議会では北の国境の防衛について、連日議論が重ねられている。第七騎士団の兵力を増強する方向に話が動いているのは望ましいことだが、問題はその内容だった。
第七騎士団に配属されれば断るか騎士を辞める者が多いため、都やその他の治安のよい場所から騎士を異動させるのは難しい。そうなると、新たに傭兵を雇うしかないが、そのためには多額の軍事費が必要となる。国庫には限度があり、王宮の運営費さえも昔に比べて大幅に削減されている現状では、軍事費を確保するのは容易ではない。
そんな中、クラウス伯爵率いる中級以下の貴族たちが、一つの案を主張していた。
北東の隣国、カスパラーダへの侵略だ。同国を我が国の辺境伯領とし、そこに新たな騎士団の軍営をおく。軍の運営費は辺境伯領主となったカスパダーラの国王に担わせる、というものだった。
理由は違えど、12年前にも起こったカスパダーラへの侵略に関する論争が、再び勃発している。
カスパダーラと北の強国であるルヴァール帝国との間には急峻な山脈が連なっているため、そちらから大軍で攻め込まれる心配はない。新たな軍営をヴァルトシュタイン辺境伯領との境界付近に置けば、山脈が途切れる西側の国境の一部を守らせることができる。
主戦派は、戦に不慣れなカスパダーラなら、騎士団ひとつで制圧できると踏んでいる。戦をするには金がかかるが、カスパダーラの国の一部を貴族たちに分け与えることを約束すれば、それを条件に寄付金を集められるという算段のようだ。
特に騎士上がりのクラウス伯爵は、自身が指揮官として出征するとまで嘯いていた。
戦を起こさなければ軍事費を捻出するために民に重税が課される、という噂まで流れていて、民意も主戦派を後押ししている。
主戦派の理論も理解はできる。だが、国境で賊に襲われたときの惨状を思い出せば、到底賛同はできない。我が国も隣国の民も、もうこれ以上、誰にも傷ついてほしくない。
それに、問題はそれだけではなかった。
クラウス伯爵ら主戦派は、俺のことをまるで英雄のように祭り上げようとする。
噂に尾ひれがついたのか、情報が操作されたのかはわからないが、辺境伯領で賊に襲われたことについて、なぜか、「騎士たちが次々と倒れていく中、エドワード王子は孤軍奮闘で賊を蹴散らした」というデマが出回っている。それだけではなく。カインたちを残して国境に出向いたことについても、勇気と責任感ある行動としてもてはやされていた。
「エドワード王子こそが王太子にふさわしい」と陰で囁く輩も出てきて、そのことも、主戦派と穏健派の溝を深くしている。
カインが短く嘆息する。表情には、逡巡が見て取れた。
「エド。本当にあの計画を実行するつもりか?」
「する。クラウス伯爵を止めるには、もうそれしかないだろう? 体調が戻ったら、ヴィオラに手紙を書くつもりだ」
下級貴族や民意を煽っているのは明らかにクラウス伯爵で、上級貴族の中にも伯爵に懐柔されるものが出始めた。王の意向は尊重されるが、この国では長い間、政治は宮廷議会に委ねられてきた。俺やカインの意見もふまえて兄上が提出した防衛に関する意見書も、貴族にも負担を強いる政策のため、今はまだ賛同者が少ない。
このままでは伯爵主導で隣国との戦が始まってしまう。
それを止めるために、俺とカインは一つの計画を実行しようとしていた。
「俺は……、どうにも胸騒ぎがしてならないのだ」
カインは眉根を寄せ、不安気にヘーゼルの瞳を揺らす。辺境伯領で、負傷したカインたちを残し、第七騎士団の軍営へと向かった日の朝も、同じ顔をしていた。
「絶対に、お前の身が危険に晒されるようなことはないのだな? 俺に隠して、何か危ないことをしようとしたりしていないな?」
「内緒で辺境伯領に視察に出かけた人には言われたくないな」
俺は疚しさを誤魔化すために、からかうような笑みを向けた。
実は一つだけ、計画において、カインには隠していることがある。言えば、絶対に反対されるからだ。
「クラウス伯爵も、ヴィオラも、俺を王太子にしたがっている。俺に危害を加えるようなことはないから大丈夫だよ」
カインは不安げな表情を崩さないまま、そっと俺のほうに手を伸ばした。
流れに沿って髪を梳き、耳の輪郭をなぞり、指先で頬を優しく撫でる。先ほどの、熱を計るために額に触れたときとは違って、どこか甘さをはらんだしぐさだった。
何かを堪えるような表情に、触られていない胸の辺りまでが痛いようなくすぐったいような気分になる。ただ心配しているのとは、少し違う気がした。
カインに触られていると思うと、緊張しないではいられない。
無意識に顔が強張ってしまい、そのせいか、無骨な指はすぐに離れていった。
カインは咄嗟に顔まで逸らせたが、こころなしかその耳がほんのり赤い気がする。
「王子を気安く触ってすまない」
「あ、いや……、二人きりのときは、俺は王子ではなくただの友だから。気にせず好きに触ってくれ」
むしろどんどん触ってくれ、とまで思ってしまい、自分の思考に顔が熱くなる。
「友、か……」
その声には、どこか含むものを感じた。
再びこちらを向いた顔から動揺の色は引いていた。耳が赤いと思ったのも、気のせいだったようだ。
注がれる眼差しは変わらず優しい。けれど、口元に浮かぶ微笑は、寂しそうにも見える。
もしかしたらカインも、俺には言えない何かを秘めているのかもしれない。
そんな予感が、ふと胸をよぎった。
都に帰ってきておよそ3週間が経つ頃。俺の体調が回復してきたのを見計らい、俺たちは計画を実行に移すことにした。
庭園のガゼポで、ヴィオラと会うことにしたのだ。
久しぶりに足を踏み入れた王宮の庭園は、木々の葉が濃く茂り、いつの間にか真夏の装いへと変わっていた。
俺の顔を見るなり、ヴィオラはひどく驚いた様子で、本当に重い病ではないのかと尋ねてきた。
無理もない。
辺境から帰還して以降、俺はある事情のせいで、ろくに食事も摂れない日々を送っていた。
元は血色よく艶やかだった頬も、今では見る影もなく痩け落ちている。
彼女の心配には、いま俺に倒れられては困る、という打算も含まれているだろう。
だが、それ以上に、純粋な心遣いも感じられた。
それに気づけば、一層罪悪感が膨れ上がっていく。
でも、だからといって、ここで引き下がるわけにはいかなかった。
流されるほどの情も、彼女に対して持ち合わせてはいない。
俺は覚悟を決め、それを気取られぬように口元に薄い笑みを浮かべて、空になったカップをテーブルに置いた。
「遠征の疲れで、しばらくろくに食べられなかっただけだ。病じゃない。――それより、会いに来たということは、例の物を用意できたということか?」
ヴィオラは憂い顔を消し、ドレスの袖口から小瓶を取り出した。
焦らすように、栓をされたそれを目の前で振って見せる。
「これを渡せば、殿下が王太子になられた暁には、必ず私を妃にしてくれますのよね?」
「こんなものを用意させて約束を反故にしたのでは、私が断罪されるだろう? それに……」
小瓶を握ったヴィオラの手をそっと両手で包みこみ、身を倒してその手の甲に口付けをした。
「私は王になりたいのではない。そなたを王妃にしたいから、王になるのだ」
自分で言っておきながら全身に鳥肌が立ちそうだが、前世で読んだ恋愛小説の記憶を引っ張り出し、苦心して考えた台詞だった。
掌を撫でるように小瓶を受け取り、顔を上げると、ヴィオラは頬を赤らめ、うっとりした瞳で俺を見つめていた。
カイン相手に何度も練習した甲斐があったようだ。あの男は、毎回微妙な顔をしていたが。
さて、ここからが本番。と胸の内で気を引き締める。
ヴィオラが俺に渡したのは、自ら薬屋で買い付けたらしい毒だ。
俺は視察に出かける前から、彼女が面会にくるたびに、王位への憧れや彼女を王妃にしたい願望があることを仄めかしていた。彼女が兄上の妻ではなく、俺の妻として王妃になる未来を夢見ている間は、セレナに危害を加える可能性が低いからだ。それに加えてもう一つ、狙いがあった。
目論み通り、彼女が王太子 の暗殺を婉曲に進言するようになるまで、さほど時間はかからなかった。そこで彼女の進言に乗ったふりをし、兄上に使うための毒の手配を依頼したのだ。
自ら薬屋に行ったということは、もしかしたらこの件については父親にも相談していないのかもしれない。
カインの手の者が彼女を尾行し、クラウス家と付き合いのある薬屋を突き止めることができた。
薬屋から、12年前にもクラウス家の使いの者に毒薬を売っていたことを聞き出せれば、断罪の証拠にできたのだが。それを暴くことができなかったため、最後の手段として2度目の罠を仕掛けることにしたのだ。
その罠は、庭園に来る前からすでに始まっていた。
庭園に来た頃から感じていた嘔気と胸の辺りの不快感が、時間と共にじわじわと悪化している。口内に唾液が増え、酸っぱさを感じるようになった。この3週間で同じ症状を何度も経験したため、この後に起こることは予想がつく。胃が痙攣しそうになるのを、腹筋に力をこめて堪えた。
「毒で間違いないのだな」
痺れ始めた指で小瓶の蓋を開け、匂いを嗅ぐ。
「殿下、危ないですわ」
薬屋の話では、ヴィオラが買って行ったのは毒草であるアズラリスから抽出した毒だった。王太子の毒殺に使われたのもおそらくそれだろうと、侍医から聞き出した兄上の症状をもとに予想を立てていた。
匂いを嗅ぐだけなら問題ない。鼻をつく苦そうな匂いはここ最近何度も嗅いだものと似ていて、アズラリスで間違いなさそうだ。
腹筋の力を緩め身を屈めると、胃が激しく痙攣し、生温かいものが喉をせり上がって来る。せめてもの情けで飛沫が彼女にかからないよう、テーブルの下に向かって嘔吐した。飲んだばかりのバラ茶が、残渣と混じり、濁った吐瀉物となって、地面に撒き散らされる。
どさくさに紛れて小瓶の中身をその上にぶちまけ、数滴分残して蓋をした。
「殿下?」
頭上で悲鳴に近い声が上がる。
俺は濡れた口を袖で拭い、いかにも苦悶様の顔で彼女を睨み上げた。
「もしや、私に毒を?」
体を支えるふりでテーブルに手を伸ばし、わざとカップを弾いて石畳に落とす。陶器の割れる音がし、少し離れたところで待機させていた侍女たちが騒ぎはじめた。俺たちのお茶に合わせて庭園を巡回しているはずのカインも、騒ぎを聞きつけてすぐに駆け付ける手筈になっている。
カインには、「毒を飲んだふりをするだけだから、何の心配もいらない」と説明してある。真実を知り、烈火の如く怒る顔が一瞬浮かんだが、走馬灯のようにすぐに意識の下流へと流れていく。
「そ、そんな!私は何もしておりません!」
ヴィオラは顔を青褪めさせ、塗り重ねた化粧の上に深い皺を刻み、顔を引き攣らせていた。
彼女が何もしていないことは知っている。
騙すことに罪悪感がないわけではない。
だが、3週間思い悩んだ末に、隣国への侵略戦争を止め、大切な人たちを守るには、これ以外に方法がないという結論に至った。
彼女が俺に毒を盛ったと疑われれば、クラウス家の屋敷や帳簿まで詳しく調べられる。王太子の暗殺や王家の財産の横領に伯爵が関与していた証拠も見つかるかもしれない。
胸が締め付けられ、呼吸も苦しくなってきた。ここひと月の無理が祟って体力が落ちていたからか、いつになく症状が酷く出ている。
楽なほうへと流れそうになる意識を、残っている理性でどうにか叩き起こす。
――駄目だ。俺にはあと一つ、やるべきことが……。
椅子から滑り落ち、地面に跪いた。戦慄し、両目を見開いて自分を見下ろす令嬢へと両手を伸ばす。
彼女の膝に縋りつくふりで、ふんわりと膨らんだドレスの袖口から小瓶を滑り込ませた。
徐々に侍女たちの声と足音が近づいてきて、続いて、間近で低く通る声がした。
「殿下!」
もう大丈夫だ。
そう思った途端、緊張がほどけ、視界が暗転していく。
意識を失う間際――。
何か柔らかいものに体を受け止められた気がした。
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