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#13 「……もう戻れないんだからな!?」〜死なば諸共!ラビニアの狂った支配と歪んだ執着〜
第二章 地下に囚われた元プリンスの没落! 〜泥水の洗礼とOLパンスト姿の恥辱〜
ロンドン支社の頂点に君臨し、「ダイヤモンド◇プリンス」と称えられた完璧な男が、一瞬にして地獄の底へと突き落とされた。インドの鉱山開発を巡る父親の巨額横領嫌疑と、それに続く突然の自死。すべての資産は凍結され、セーラは一夜にして地位も財産も、輝かしい未来も失った。
セーラ・クルーが警備員に両脇を固められたまま強引に連れてこられたのは、陽の光すら入らない地下の薄暗い「資料室」の片隅だった。巨大なサーバーの低い駆動音と、厳重に管理された書類の古いインクの匂いが漂う無機質な空間に、ポツンと一つだけ古びたデスクが置かれている。
「今日からここがお前のオフィスだ。似合ってるじゃないか、元・エリート様?」
冷ややかな嘲笑と共に、コツ、コツ、と硬い革靴の足音が近づいてきた。振り返ったセーラの瞳が、わずかに見開かれる。
「……ラビニア」
そこに立っていたのは、かつて自分が激しく抱き、愛し、使い捨てた元恋人。そして、クルー家の失脚に伴い、セーラの後任として「新課長」の椅子に収まった男だった。
「まずは手始めに、15階の便所掃除からやってもらおうか?」
セーラは冷徹に拒絶した。
「誰が貴様の命令に従うか」
ラビニアは待ってましたとばかりに、嫌らしい笑みを浮かべながらセーラの胸元から覗く「制限付き社員証」を、指先でパチンと弾いた。
「拒むのは自由だ、セーラ。どこへでも行けばいい。……だが、親切で教えてやるよ。その社員証は一度外のゲートに通したら、二度とこの会社には戻れないからな」
そこから、ラビニアの声が徐々に熱を帯び、歪んでいく。
「……お前のあの、眺めのいいペントハウスだって、もうお前のものじゃない。あのみっともない大きなガラス窓から見えるロンドンの夜景も……あのベッドも、シャワーも、全部……」
ラビニアの脳裏に、かつて毎夜のようにそのペントハウスで交わした激しい記憶が鮮やかに蘇った。セーラの腕に押し倒され、奥の奥まで深く掘られながら、何度も達してしまう自分。汗まみれの肌が激しくぶつかり合い、荒い吐息と淫らな水音が「ぬちゃ…ぬちゃ…」と部屋中に響いていたあの夜々。あの大人の余裕たっぷりの、容赦ない愛撫と、絶頂の瞬間に見せるセーラの獰猛な表情。
しかし、セーラはもう自分を抱いてくれない。この男は、二度と自分をあの部屋に連れ込み、貪 るように犯してはくれない。
悲しさと嫉妬と、抑えきれない未練が綯い交ぜになり、ラビニアはポロリと本音を零した。
「……お前はもう、あの部屋で俺を抱いてはくれないんだ。そうだよな? なら、お前はここで死ぬまで泥に塗れて便所掃除でもしてりゃいい。お前も、俺も……もうあの場所には戻れないんだからな……!」
吐き捨てるように言いながら、ラビニアの瞳には一瞬、泣き出しそうなほどの深い絶望と、歪んだ執着が浮かんだ。自分が幸せになれないのなら、かつて心も体も捧げたこの男も、一緒に地獄へ引きずり下ろしてやる——そんな、死なば諸共の狂おしい心理が、声の端々に滲み出ていた。
ラビニアはハッと我に返ると、己の弱さを隠すように一転して激しい高笑いを上げ、セーラをなじり始めた。
「あははっ! 地下の駐車場に逃げたって無駄だからな。お前の愛車 なんて、もうどこにも置いてないよ。一銭も持ってない、携帯もスマホもない。外は凍てつく寒さだ。温室育ちのお前が、耐えられるわけないだろう?」
ラビニアは資料室のドアへ歩きながら、冷酷に言い放つ。
「ここにいれば、とりあえず雨風だけは凌げる。そのちっぽけな社員証を握りしめて、せいぜいよく考えるんだな。……俺の犬になるか、それともこの地下で腐るか」
バタン、と重々しい音を立ててドアが閉まり、ラビニアが去っていった。残された地下室には、静寂と凍えるような冷気、そしてラビニアのコロンの香りが微かに残っていた。
ラビニアの言う通り、一文無しで外に出れば死活問題になりかねない。だが、「ラビニアの犬」になることだけは、セーラのプライドが絶対に許さなかった。
スマホも財布も、コートすら奪われ、手元にあるのは制限付きの社員証が一枚だけ。
セーラはこのオフィスという名の檻の中で、ラビニアの慈悲に甘んじずに生き抜くと固く決心した。
「資料室」を出て、暗い地下の廊下を最奥へと歩き始めたセーラは、やがて夜間警備員たちが使う「仮眠室」のドアに辿り着いた。
そっとドアを開けると、そこには見覚えのある顔——夜警の制服を着たベッキーがいた。
「え……セーラ課長!?」
ベッキーが驚愕して目を丸くする。それは、かつて自らの手で契約を打ち切った派遣の少年との、皮肉で奇妙な再会だった。
セーラはプライドから思わず「人違いだ」と顔を背けようとするが、ベッキーはセーラ失墜の噂を知ってのことか事情を察し、裏表のない優しさで自分のポットから注いだコーヒーをセーラにそっと手渡した。湯気が立ち上る紙コップ越しに、微かな温もりが伝わってくる。
「ここ、少し寒いでしょ? 地下エリアはケチって暖房が弱いんですよね……。どうぞ、飲んでください」
セーラが一口すすると、確かな熱が体へ染み渡っていく。
「これ、そこの給湯室ならタダで淹れられるんです。……このエリア、意外とタダで使える裏ワザが多いんですよ」
ベッキーは、そんなセーラを気遣うように、「社内サバイバルの裏ワザ」を教え始めた。
その社員証があれば、地下の警備員用シャワー室はタダで使えること。そして社員食堂の「ミールディール」なら、福利厚生枠として社員証をかざすだけで無料で食べられること——。
ベッキーに生存ルート(寝床、無料の食事、シャワー)を分け与えられたセーラは、じっと地下の暗闇で牙を研ぎ始めた。
ラビニアに屈しないため、そしていつかこの泥沼から這い上がり、再び頂点に立つための、孤独で苛烈な地下サバイバルが今、始まった。
つづく
—
【次回予告】
——ガッ、
——ガッ、
——ガッ、
引き抜かれるティッシュ。白昼のベッドの上、激しい情事の余熱のなかで交わされるのは、セーラをさらに深い地獄へと叩き落とすためのどす黒い企み。ミンチン支社長の絶対的な寵愛を盾に、ラビニアの残忍な『しつけ』が幕を開ける。
次回
#14 「お前の手で徹底的にへし折ってやれ」〜支社長の寵愛を背にセーラを甚ぶる新課長のラビニア〜
「少々『手荒なこと』をしても、会社は文句を言いませんよね……?」
お楽しみに!
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