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#14 「お前の手で徹底的にへし折ってやれ」〜支社長の寵愛を背にセーラを甚ぶる新課長のラビニア〜

カーテンの隙間から昼の光が差し込む中、荒々しい吐息がようやく整い始めたベッドの上、ミンチンは重い体をゆっくり起こし、ベッドサイドのティッシュボックスに手を伸ばした。——刹那、その手をラビニアが素早く掴んで止める。 「いいよ……ワタシ(・・・)がやる♡」 ——ガッ、   ——ガッ、    ——ガッ、 ラビニアはティッシュボックスから何枚も紙を重ねて引き抜くと、ミンチンの胸板に汗ばんだ裸身を寄せたまま、少したるんだ下腹部にべったりと残った白濁を、そっと優しく拭き取っていく。 ロンドン市内の高級ホテル、最上階スイートルームのキングサイズベッドは、激しい情事の余熱でまだ熱を帯びていた。 ミンチンは煙草に火を付け、紫煙をゆっくりと吐き出しながら、低く冷たい声で問いかけた。 「……なぁ、ラビニア。セーラのしつけの方はどうなってるんだ? お前が『たっぷり躾けてやる』と言ったから、わざわざお前の課の下に預けてやったんだぞ」 ラビニアは、まだ温かい精液が染み込んだティッシュをゴミ箱に投げ入れると、悔しそうに唇をきつく噛んだ。 「それが……平社員に落として、まずは便所掃除を命じたんだけど……あいつ、まるで言うことを聞かなくて」 「口ほどにもないな、お前」 ミンチンは冷たく笑うと、太い指先でラビニアの顎を掴み、顔を上げさせた。熱い吐息が唇にかかるほどの距離で、囁くように続ける。 「お前のお手並み拝見だと思っていたのに。ちゃんとしつけろよ」 「ええ、もちろん……でも、少々『手荒なこと』をしても、会社は文句を言わないわよね……?」 ラビニアが上目遣いに甘くおねだりすると、ミンチンは満足げに口の端を歪めた。 「好きにしろ。お前が多少手荒な真似をしても、役員会には俺がどうとでも言い訳をつけてやる。あの傲慢な元御曹司の心を、お前の手で徹底的にへし折ってやれ」 会社トップからの絶対的な後ろ盾を肉体と共に再確認したラビニアは、満足そうに瞳を細めた。 「うふふ、ありがと♡ ……じゃあ、ワタシ(・・・)ちょっとシャワー浴びてくるね」 ラビニアはベッドからしなやかに抜け出すと、鏡の前で艶やかなウィッグをするりと外した。そのままバスルームへと消え、しばらくして激しい水の音が響き始める。 やがて、湿った熱気と共にバスルームから戻ってきたのは、髪を短く整え、すっかり「男の顔」に戻ったラビニアだった。ベッドの脇に用意されていたバリッとした高級ワイシャツに腕を通し、手際よくネクタイを締め上げていく。 その様子をベッドから眺めていたミンチンが、煙草の煙を吐き出しながらフッと笑った。 「随分とがらりと変わるもんだな。だけど、お前のその姿も俺は好きだぞ」 ラビニアは鏡の前でネクタイの結び目をキュッと整えると、鏡越しにミンチンを振り返り、不敵な笑みを浮かべた。 「おや? では今度は支社長が猫ちゃんになります? メイクしたら結構似合うかもしれませんよ」 「ははっ、そいつは遠慮しておくよ」 ミンチンが低く笑うのを背中に受けながら、ラビニアはすでに「猫ちゃん」の甘さは微塵もない、冷徹なビジネスパーソンの声で締めくくった。 「では、私はまだ仕事が残っていますのでオフィスに戻ります。例のナフサ不足の件で、色々と立て込んでいるんですよ」 「そうか。またゆっくりな」 ミンチンの低い声を背中に受けながら、ラビニアはホテルを後にした。唇の端には、冷たい微笑みが浮かんでいた。 ◇ 午後 ミンチン・コーポレーションのオフィスフロア。ラビニアが戻ってくるなり、取り巻きのジェシーたちが血相を変えて駆け寄ってきた。 「ラ、ラビニアさん! どこ行ってたんですか! 例のナフサ不足の案件で、川下のクライアントへの引き継ぎデータに目詰まりが起きてて、僕たちじゃもう完全にお手上げなんです!」 「チッ……うるさいな、分かってるよ。お前ら、それくらい自分たちでなんとか出来ないのか」 ラビニアは苛立ちを隠さずジェシーたちをあしらうと、自身のマネージャー・ブースへと逃げ込み、デスクのパソコン画面に向かった。平社員に落とされたセーラが、今どこで何をしているかを突き止めるため、社内のセキュリティカメラのモニターをスクロールする。 地下の、夜間警備員たちが使う仮眠室の映像を開いた瞬間、ラビニアの指先がピタリと止まった。 「……は?」 青白い画面に映し出されていたのは、新入社員のロッティーが地下の仮眠室へと飛び込み、セーラと2人きりで部屋にいる姿だった。ベッキーからセーラの居場所を聞きつけ、心配してやってきたのだ。 狭い2段ベッドの下段に隠れる様に身を埋め、互いの唇を重ねて結ばれようとしているセーラとロッティー。そのあまりにも濃密な距離感に、ラビニアの視線が釘付けになる。 「何やってんだ、あいつら……ッ!」 ラビニアの顔は、猛烈な怒りと、激しい嫉妬で見る見るうちに醜く歪んでいった。かつて自分がいくら求めても得られなかったセーラの視線が、あの生意気な新入社員に注がれている。 ガタタッ! と派手な音を立てて椅子を蹴立て、ラビニアは立ち上がった。 「許さない……絶対に許さない!!」 手元にあったスマートフォンを狂ったように鷲掴みにすると、ラビニアはマネージャー・ブースを飛び出した。今すぐあの薄汚い地下へ降りて、現場をこの手で直接抑え、二人を地獄の底へ叩き落としてやる。 「あ、ラビニアさん!? ちょっと困りますよ、また外出ですか!?」 後ろからジェシーが慌てて呼び止める声を無視し、ラビニアは硬い革靴の足音を激しく響かせながらエレベーターへと飛び乗り、最下層のボタンを強く激しく連打した。 ◇ その頃、地下の暗い仮眠室では、ロッティーが溢れる涙を拭おうともせず、セーラの胸に強く飛び込んでいた。 「そんなの関係ないです! 僕は、セーラさんがリッチだから好きだったんじゃない! ポルシェに乗せてくれるから一緒にいたんじゃないんです……!」 富もステータスも剥ぎ取られた極限の地下室だからこそ、二人の間にあった歪んだ関係は消え去り、純粋な「本当の愛」が剥き出しになっていく。 「ロッティー……」 セーラは低く掠れた声で名前を呼び、愛おしそうにロッティーを抱きしめ返した。2段ベッドの下段という、天井の低い薄暗い隙間に、2人の身体はがしっぽりと収まる。外の冷酷な現実を拒絶するように互いの体温を確かめ合い、セーラがその潤んだ唇にゆっくりと顔を近づけていく。2人の吐息が重なり、いよいよ心が結ばれようとした、まさにその瞬間(とき)だった。 バンッ!!! と、静寂を切り裂くような凄まじい音を立てて、仮眠室のドアが乱暴に蹴り開けられた。 「へぇ、随分とお熱いことじゃないか。不純同性交遊の現場、バッチリ押さえたよ」 冷たい嘲笑と共に、そこにはスマホのカメラを構えたラビニアが立っていた。レンズが冷たく光を反射し、二人の密着した姿を容赦なく捉えている。 あまりの衝撃に、セーラとロッティーは息を呑み、絶望の表情でドアの前に立つ影を見つめることしかできなかった。 つづく — 【次回予告】 愛するロッティーを守るため、ついにラビニアの卑劣な命令に従わざるを得なくなったセーラ。業務用のペラペラな繋ぎ服に袖を通し、かつてトップとして君臨したオフィスフロアで掃除機をかける元プリンスに、社員たちの容赦ない嘲笑と冷ややかな罵声が浴びせられる。 #15「おい見ろよ、あれ元ダイヤモンド◇プリンスだぞw」〜日中のオフィスで浴びる屈辱の嘲笑〜 「お前は清掃員なんだからさ、仕事をするのが当たり前だろう?」 お楽しみに!

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