16 / 65

#16 「もっとしっかり洗えよ。腹も、もっとその下もだ」〜必死に反応♂を抑え込む元スパダリ課長〜

ロンドン本社の高層階に位置する人事部オフィスは、日中の業務に追われる社員たちのキーボード音が忙しなく響いていた。その喧騒から切り離されたかのように、窓際のデスクに座るアーメンガードは、焦燥感を隠せずにいた。 社内から突如として姿を消したセーラを心配し、彼は職権乱用と知りながら、セーラの社員証|(カードキー)の行動履歴ログを追跡していた。 画面に表示されたログによれば、セーラは連日、地下の資料室や仮眠室のあたりに留まっている。 「セーラさんは、地下エリアにいる……!?」 すぐにでも地下へ向こうとしたその時、タイミング悪く上司から山のような急ぎの仕事を振られてしまい、どうしても席を外せなくなる。アーメンガードは舌打ちを噛み殺しながら、PC画面の片隅に社内の防犯カメラ映像をリアルタイムで表示させ、仕事をこなす傍らで執念深く内偵を続けていた。 ◇ 一方、地下の薄暗い資料室に、ラビニアが再び姿を現していた。 「言われた通りオフィスフロアの掃除機がけはした。あの写真は消せ」 セーラが冷酷に迫るが、ラビニアは鼻で笑ってあしらった。 「ハァ? 何言ってんの? 1回掃除したくらいで終わるわけないだろ。お前は我が社の『清掃員』なんだから、毎日働くのが当たり前なんだよ。今日はお前、便所掃除をしてこい」 ラビニアはそう言うと、手にしていたデッキブラシをセーラの足元へ「バーン!」と乱暴に投げ捨てた。セーラはデッキブラシを睨みつけ、低く確認する。 「……便所を掃除したら、今度こそあの写真を消すんだな?」 「分かったよ。ピカピカにしたら消してやる。約束するよ」 ラビニアは嘘くさい笑みを浮かべて請け負った。 セーラはその言葉を信じ、デッキブラシを拾ってトイレのあるフロアへと向かった。しかし、デッキブラシを手に黙々と床を磨いていると、エレベーターホールの物陰から、極限状態のロッティーが涙を流しながら姿を現した。 「セーラさん……ごめんなさい……っ!」 ロッティーは悲痛な声で叫ぶと、持っていた黒く濁った清掃用のバケツの水を、セーラの頭からバシャーッ!とぶちまけた。 全身から汚水を滴らせ、ずぶ濡れになるセーラ。その後ろから、ラビニアがゆっくりと姿を現し、手を叩いて高笑いした。 「あははは! おいおい、掃除するどころか、お前自身が汚れてどうすんだよ!」 セーラはガタガタと震えながらオドオドしているロッティーの異変、そしてその背後に潜むラビニアの気配に即座に気づいた。 「汚いぞ、ラビニア。ロッティーには手を出すなと言ったはずだ」 ラビニアはすっとぼけて肩をすくめる。 「何もオレ(・・)はしてないよ? なぁ、ロッティー?」 その言葉に込められた圧力に、ロッティーは涙をボロボロと流しながら、震える声で答えた。 「……ごめんなさい……手が滑っちゃったんです……っ」 ◇ 「汚いから綺麗にしてやるよ」 ラビニアはセーラを、逃げ場のない役員用バスルームへと強引に引きずり込んだ。弱みを握られたロッティーも、怯えながら付いてくる。 冷たいタイルの床にセーラを突き飛ばすと、ラビニアはロッティーに床に落ちていた束子(ブラシ)を無理やり握らせた。 「おいロッティー。さっさとこいつの汚い服を脱がせて、その束子(ブラシ)で汚れをこすってやれよ」 ロッティーは怯えながら、濡れて肌に張り付いたセーラの服を脱がせていく。 しかし、冷たいシャワーが降り注ぐなか、硬い毛先をセーラの肌に擦り当てようとした瞬間、ロッティーの手がガタガタと激しく震えだした。ほんの少し触れただけで、セーラの白い肌がみるみる赤く傷ついていくのが分かったからだ。 「む、無理です……僕には……こんなこと、できません……っ!」 ロッティーは耐えきれずに束子を床に取り落とし、涙を溢れさせた。ラビニアはチッと忌々しげに舌打ちをすると、ロッティーの耳元へ顔を近づけ、低く冷酷な声で囁いた。 「お前、言う通りにするって話、忘れちゃったのかな? ……わかってるよな、ロッティー」 スマホに残された、セーラと抱き合っている写真(14話参照)。そればかりか、火傷の手当の際に、下半身丸出しフル反応(ボッキ)♂の写真(10話参照)まで弱みに握られていた。それらをバラ撒かれる恐怖に、ロッティーの目から大粒の涙が止まらなくなった。 セーラはすべてを察した。 ラビニアの狙いは、自分を甚ぶることだけでなく、ロッティーの手でそれをやらせることで、二人の絆と心を同時に破壊することなのだと。 セーラは冷たい床の上で、傷だらけの身体を起こし、ロッティーを見上げて優しく微笑んだ。 「……いいんだ、ロッティー。束子(ブラシ)を拾え。お前がやってくれ」 「でも…… セーラさん……っ」 「大丈夫だ、ロッティー。泣くな」 セーラはかつての王者のような毅然とした声で言った。 「こんなもの、少しも痛くない。お前の手で洗ってくれるならな。だから……気にするな」 ロッティーを安心させるための、切なすぎる強がりだった。その底知れない包容力とプライドに触れ、ロッティーは声を押し殺して泣きながら、再び束子(ブラシ)を握りしめた。 「でも出来ません……っ! 許してラビニアさん、束子(ブラシ)だなんて!」 「じゃあ、束子(ブラシ)の代わりに、お前が優しく洗ってやれよ。ほら、たっぷり泡立ててさ」 ラビニアに命令され、ロッティーは後ずさりながら首を横に振った。 「もうやめようよ、こんなの……っ」 その反抗に、ラビニアはねっとりと目を細めた。 「いいんだよロッティ、俺のことなら気にするな」 「でも、セーラさん……」 必死に食い下がるロッティーに、ラビニアは底意地の悪い笑みを浮かべて顔を近づけた。 「じゃあ、今日はお開きにしてあげてもいいけれど。その後、お前はどうするの? セーラとここで、やらしいことするんだろう? いつもしてるみたいに」 「何を言ってるんだラビニア、俺たちはそんな関係じゃない……っ」 「うるさい、セーラ! お前は黙ってろ」 すると、ロッティーはボロボロと泣きながら、震える声で確認した。 「……洗えば、いいんですね? 束子(ブラシ)じゃなくて、石鹸(ソープ)で洗うだけでいいんですよね……っ」 「ああ、たっぷり泡立てて、優しくな」 ラビニアに睨まれ、ロッティーは泣きながら渋々、石鹸(ソープ)をたっぷりと泡立てると、セーラの肌に、恐る恐るその泡ソープまみれの手を這わせた。 「もっとしっかり洗えよ。腹も、もっとその下もだ」 たっぷりの石鹸泡ソープが素肌を擦る甘く卑猥な水音が、タイル張りの密室に舐めるように響き渡る。 ——ぬちょっ…   ——ぬちょっ… ラビニアの執拗な指示に従い、ロッティーの手がセーラの敏感な場所へと滑っていく——滑らかな泡の感触とロッティーの生暖かい手が、セーラの股間にまで這い上がってゆく。セーラは歯を強く食いしばり、喉の奥で低く唸るような息を吐いた。全身を硬く強張らせながらも、必死に反応♂を抑え込んでいるのがはっきりとわかる。 「……あは! なんだよ、セーラ」 ラビニアがにやりと歪んだ笑みを浮かべ、目を細めた。 「なんともないのかい? 随分と強がってるじゃないか。……ロッティー、もっと激しく洗ってやれよ。そこ、かなり汚れてるみたいだからな」 ラビニアの意地悪な煽りに、ロッティーの手が戸惑いながらも少し早く(・・)なった。 セーラの眉がピクリと動き、顎の筋が浮き上がる。唇を強く噛みしめ、荒くなった息を必死に堪えている様子が痛いほど伝わってくる。 それでもセーラは絶対に声を上げず、みっともない姿を晒さないよう、プライドだけで耐え続けていた。 その頑なな抵抗が、ラビニアの嗜虐心をさらに刺激する。 ——と、その時だった。  ——バンッ!!! 静寂を切り裂くような凄まじい音を立てて、バスルームのドアが力任せに蹴り開けられた。 PCのモニターでセーラが連れ去られた不穏な動きを察知し、仕事を放り出してダッシュしてきた人事部のアーメンガードだった。 セーラが裸にされ、ラビニアに下劣になじられている凄惨な現場を見た瞬間、アーメンガードは怒りで脳の血管が切れそうになり、咆哮した。 「貴様、何をしているッ!!」 アーメンガードは突進すると、ラビニアの胸ぐらを掴んで思い切り拳を叩き込んだ。ラビニアも応戦しようとするが、アーメンガードの圧倒的な怒りと暴力の前にはまるで歯が立たない。激しい殴り合いの末、顔を腫らして床に倒れ込んだラビニアは、バスルームから逃げ出していった。 静まり返った浴室。アーメンガードは荒い息を吐きながら、冷たい床の上で真っ赤に腫れ上がったセーラの身体を、優しく、そして強く抱きしめるのだった。 つづく — 【次回予告】 束子(ブラシ)で擦られ痛々しく腫れ上がったセーラの白い肌に軟膏を塗るアーメンガード。 次回 #17 「今、薬を塗ってやる……」〜醜態を晒すまいと必死に耐え忍ぶ元スパダリ課長〜 「ま、待て。もういい。自分でやる」 お楽しみに!

ともだちにシェアしよう!