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#22 「……目を開けてごらん。これが、今のあなたよ」〜鏡の中に映る艶やかで儚い『見知らぬ果実』〜
ミンチン支社長の専属秘書(付き人)として働くことになったセーラ。命じられた最初の仕事は、かつての自分のクライアントへの「お茶汲み」だった。正体がバレることを防ぐという口車に乗せられて「女装という名の仮面」を纏うこととなった。
その処置を、まさに今、女装の先輩——ラビニアが施そうとしていた。
「さあ、こちらへどうぞ。新米秘書さん」
秘書室の奥にひっそりと置かれた豪奢なドレッサーの前。
椅子に座らされたセーラの顔を、ラビニアはじっと舐めるように眺め回した。かつて自分を傲慢に抱き潰した「ダイヤモンド◇プリンス」を、自らの手で支配し、作り変えていくという歪んだ愉悦が、その瞳にギラギラと燃えていた。
「……まずは、この無精髭をなんとかしないとね」
ラビニアはポーチから電気カミソリを取り出し、スイッチを入れた。無機質な駆動音が響き、冷たい刃がセーラの顎から頬へと滑っていく。
ジョリ、ジョリと、男としての輪郭を形作っていた髭が容赦なく刈り取られていく。屈辱に唇を噛みしめるセーラをよそに、ラビニアは満足げに息を吐いた。
「うん、綺麗になった。……それから、パンストを履くんだから、そのすね毛も処理しないとね。これも落としてあげる」
「なっ……やめろ……!」
セーラが反射的に拒絶の手を伸ばす。だがラビニアはその手を軽く押し返し、慣れた手つきでいなした。
今度はT型シェーバーとシェービングクリームを取り出すと、「ちゃんとやらないと、男だってすぐにバレちゃうよ」と諭した。
やがてセーラはこれ以上の抵抗が無意味だと悟ると、徐々に身体の力を抜き、されるがままにその身を預けていった。
下準備が終わると、ラビニアは新品の柄ストッキングをいくつかセーラの前に並べた。
「ねえ、どれが好き?」
「……そんなの、どれでもいい」
セーラが屈辱を押し殺した声で吐き捨てると、ラビニアはフッと満足げに目を細めた。
「じゃあ、これにしようね」
ラビニアはそう言って、細かな幾何学模様の入った新品の柄ストッキングを台紙から引き抜くと、セーラの手元へ差し出した。
「ねぇ、セーラ、ストッキングは履いたことある?」
「……ないよ、そんなの」
「本当に? じゃあ、履き方を教えてあげる」
ラビニアはセーラの手からストッキングを奪い返すと、自らドレッサーの前に跪いた。
「履き方を教えてあげる。こうやって、まずは履き口からつま先までクシュクシュって丸めて……爪を立てないように、ゆっくりと引き上げていくの」
ラビニアの冷たい指先が、ストッキングの薄い生地越しに、剃り上げたばかりのセーラの滑らかな生脚をなぞり上げていく。その愛撫めいた手つきと、太ももの付け根までぴったりと吸い付く感触に、セーラはゾクッと背筋を震わせながらも、なされるがままになるしかなかった。
ストッキングが太ももに張り付き、艶めかしい脚のラインを強調すると、ラビニアは立ち上がり、一着の衣服を掲げてみせた。
「スーツはこれ、ワタシ の『お下がり』だけど、我慢してね」
ブラウスに袖を通し、身体のラインを容赦なく拾うタイトスカートを身に纏う。鏡の前でファスナーを上げると、ストッキングに包まれた艶やかな脚と、タイトスカートに強調された腰のラインが露わになった。
「よし、服はバッチリ。……じゃあ、仕上げにいこうか。目を閉じて」
再びドレッサーの前に座らされ、セーラは言われるがままにそっと瞼を閉じた。
視界が遮られた暗闇の中で、セーラはされるがままに耐え続けた。ラビニアの指先が頰を撫で、唇をなぞり、目元を丁寧に彩っていく感触が、男としての尊厳を少しずつ削り取っていく。
「はい、今度は目を開けて。上向いててね」
促されて薄目を開けると、目の前に金属製のビューラーが迫っていた。
「なっ……何だそれは」
「まつ毛を上げる器具だよ。動かないで」
こうして男としてのパーツが、得体の知れない手順によって一つずつ書き換えられていく。
最後に、頭部を締め付けるような圧迫感とともに、背中へと艶やかな細い毛束がサラサラと滑り落ちてきた。ラビニアの指先がその毛先を優しく整え、セーラの耳元で甘く満足げな吐息を漏らす。
「……目を開けてごらん。これが、今のあなたよ」
セーラはゆっくりと瞼を開けた。
鏡の中に映っていたのは、かつての自分とは全く別の——艶やかで、美しく、しかしどこか儚い「見知らぬ果実」だった。
つづく
—
【次回予告】
自分の中の「女」が目覚めていくような抗いがたい恍惚感に囚われるセーラ。しかし、その無防備な表情を晒した極上の瞬間を、ラビニアのカメラにカシャリと切り取られてしまい——。
次回
#23 禁断の変貌!〜別人になりきって向かった応接室で待ち受ける残酷な運命〜
「ただ可愛いから撮っただけじゃない……」
お楽しみに!
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