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#23 禁断の変貌!〜別人になりきって向かった応接室で待ち受ける残酷な運命〜

「……目を開けてごらん。これが、今のあなたよ」 背後からラビニアに肩を掴まれ、セーラは恐る恐る鏡へと視線を向けた。 そして、息を呑んだ。 そこに映っていたのは、かつての男らしく自信に満ちたエリートの面影を完全に消し去った、息を呑むほど妖艶で美しい「見知らぬ美女」だった。 巧みなメイクで骨格の男らしさが打ち消され、ウィッグの艶やかな黒髪が肩先で優しく揺れている。意志の強かった瞳は濡れたような色気を帯び、タイトスカートに包まれた腰とヒップのラインは、誰が見ても極上の女そのものだった。 (……これが、俺……?) 絶望的な屈辱を感じるはずだった。しかし、セーラの胸の奥には、予想だにしなかった甘く危険な感情がどろりと渦巻いていた。 鏡の中の自らの完璧な女性美に、思わずうっとりと見惚れてしまっていたのだ。今まで知らなかった甘い疼きが身体の奥底から広がり、自分の中の「女」が目覚めていくような、抗いがたい恍惚感に囚われていた。 ——カシャリ。 不意に、静寂を破る電子音が響いた。 ハッとして鏡越しに背後を見ると、ラビニアがスマートフォンを構え、歪んだ笑みを浮かべていた。セーラが己の美しさに蕩け、無防備で蕩けた表情を晒した、極上の瞬間を切り取ったのだ。 「何をする……! 消せ……!」 我に返ったセーラが裏返りそうな声で怒鳴るが、ラビニアは全く動じず、画面を指先で滑らせた。 「何をするって? ただ可愛いから撮っただけじゃない。……ほら、セーラに送ってあげるよ」 送信ボタンを押すふりをして、ラビニアはわざとらしく「あ」と声を上げた。 「……そっか。セーラはもうスマホ、持ってなかったんだっけ? 没収されちゃったんだもんねぇ」 白々しく同情するような声を出しながら、ラビニアは自身のスマホの画面をセーラの目の前に突きつけた。 そこに映し出されたのは、タイトスカート姿で頰を染め、恍惚とした表情を浮かべるあられもない「女の姿」。セーラは恥辱に顔を真っ赤にして言葉を失い、押し黙るしかなかった。 「せっかく可愛いのに、消して欲しいの?」 ラビニアが意地悪く囁きながら画面をタップすると、目の前で今撮影されたばかりの写真がゴミ箱へと消去された。セーラが一瞬ホッとしたのも束の間、ラビニアはすぐに冷酷な笑みを浮かべ、別の写真を開いてみせた。 それは以前、バスルームでロッティーがセーラの身体を洗っていた卑猥な密室の盗撮画像だった。(10話参照) 「あなたが大人しくこのまま『いい子』でいてくれるなら……この写真も、消してあげてもいいわよ?」 ——と、その時だった。 「……おい、いよいよ来客だ。控え室で準備して待ってろ。後で呼ぶからな」 ドアを開けてミンチンが冷酷な声で告げてきた。 セーラは震える手で、ティーカップが乗った銀のトレイを持ち上げる。 「いよいよデビューだね」 通り際、ラビニアが横からセーラの耳元で甘く囁いた。 「ヒール慣れないと、危ないからね。気をつけて?」 わざとらしく心配するような口調とともに、タイトスカートに包まれたセーラの腰のあたりを、ラビニアの指先がツンと突いた。 「っ……!」 慣れない女物の下着と極度の緊張で過敏になっていた身体が、ビクンと大きく跳ねた。セーラは必死に声を殺し、真っ赤になった顔を伏せながら、不慣れなハイヒールを踏み締めて応接室のドアへと向かった。 カツ、カツ、と不器用な足音が廊下に響く。 (やるしかない……。俺が完璧に化け切れば、アーメンガードは助かるんだ……) 覚悟を決め、声を極限まで押し殺し、別人になりきって応接室のドアノブを回す。 「……失礼、いたします……」 かすれたソプラノめいた声を作り、うやうやしく一礼して足を踏み入れたセーラ。 しかし、トレイを持ったまま顔を上げた瞬間、セーラは全身の血の気が引くのを感じた。 重厚なソファに座っていたのは、想定していた大物クライアントではなかった。そこに青ざめた顔で座り、入ってきた「女秘書」に虚ろな目を向けていたのは——。 自分のせいで謹慎となり、ムショ送りにされると脅されていたはずの、アーメンガードだった。 「え……?」 カチャリ、とトレイの上のティーカップが激しく鳴った。セーラの指先が止まらないほどに震え出す。 なぜ、彼がここにいるのか。 応接室の重苦しい静寂のなか、女装させられ変わり果てたセーラと、絶望の淵にいるアーメンガードの視線が、真っ向から激しく交錯した。 つづく — 【次回予告】 幾重にも張り巡らされた卑劣で非情な罠。約束を裏切られた怒りに震えながらも、声を上げれば即座に正体がバレてしまう極限の状況下、セーラは抗うことも許されぬまま最悪の恥辱を突きつけられる。 次回 #24 悪趣味な口移しチョコレートゲーム!〜罠に嵌められた女装セーラの正体暴露〜 「いい加減にしろ、ラビニア……ッ!!」 お楽しみに!

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