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#24 悪趣味な口移しチョコレートゲーム!〜罠に嵌められた女装セーラの正体暴露〜
【第24話を読む前の事前解説】
●アーメンガードの罪と、ラビニアの歪んだ要求(第19話) 不測の事態が起きた時のためにとセーラの父親が残してくれたUSBメモリーを回収するため、アーメンガードは人事部の一時保管庫からそれを無断持ち出ししたことが発覚してしまいます。それを知ったラビニアは「セーラが自分の体を差し出せば、アーメンガードの罪を不問にしてやる」と持ちかけました。しかしセーラがこれをきっぱりと拒絶したため、アーメンガードは罪を免れられず、自宅謹慎の末に支社長室へと呼び出しを食らう事態に追い込まれています。
● USBメモリーを巡る動きとセーラの現在(第20話) アーメンガードからロッティーを介して渡る途中でラビニアたちに強奪されたそのUSBメモリーは、情報システム部所属のインターン・ガートルードによって中身を解析され、大切なデータはすべて抜かれてしまいました。その後、最初と同じ「読み込みのできない元の状態」に戻されたその「空のUSB」が、ラビニアからの「前金」という名の歪んだ取引材料としてセーラの手に渡り、セーラは現在それを所持しながら、ミンチン支社長の専属秘書(付き人)としてこき使われています。
●そして迎えた第24話の舞台裏 ラビニアとの取引と拒絶の結果、セーラはミンチン支社長の専属秘書(付き人)として、女装の仮面を被らされた上に応接室でお茶汲みをするよう命じられます。逃げ場のない屈辱の中、緊張しながら扉を開けたセーラの前に待ち受けていたのは、まさしく自分のために動いて罪に問われ、呼び出しを受けたアーメンガードその人だったのでした。
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ミンチン支社長の専属秘書(付き人)として働くことになったセーラ。命じられた最初の仕事は、OLパンスト姿での大物クライアントへの「お茶汲み」係だった。かつての恋人ラビニアにフルメイクされ準備の整ったセーラはトレイの上のティーカップを並べると、応接間のドアを開いた。だが、そこに待っていたのは謹慎中のアーメンガードだった。
「ふふっ……あははははッ!」
硬直するセーラの耳に、甲高く耳障りな笑い声が飛び込んでくる。
視線を向けると、革張りの一人掛けソファに深く腰掛けるミンチン支社長の背後から、ラビニアがぬっと姿を現した。ラビニアはミンチンの広い肩に親しげに顎を乗せ、クスクスと腹の底から嘲笑っている。
(……ハメられたッ!)
セーラは瞬時にすべてを悟った。
最初から大物クライアントなど来る予定はなかったのだ。アーメンガードの無惨な姿を見せつけ、絶望させるためだけに、自分はこの女装という屈辱の仮面を被らされた。
「さて、アーメンガード君。君の処遇が決まったよ」
ミンチンが葉巻の煙を吐き出しながら、氷のように冷たい声で告げる。
「証拠物件の隠蔽および横領未遂の罪で、君を警察に引き渡す。それだけじゃない。君には民事でも、我が社への巨額の損害賠償を一生背負ってもらうことになる」
(話が違う……ッ!! 俺がこの格好をすれば、アーメンガードの件はお咎めなしという約束だったはずだ!)
セーラは激しい怒りに駆られ、今すぐトレイを叩きつけて叫び出したかった。しかし——喉の奥まで出かかった怒鳴り声を、死に物狂いで飲み込む。ここで男の声を出せば、アーメンガードにこの無様な女装姿が完全にバレてしまう。
声を出せないセーラは、ただ強い眼差しでミンチンを睨みつけることしかできない。
「そ、それだけは、どうか……!」
アーメンガードは、大粒の涙をポロポロと流しながら、床に這いつくばるようにしてミンチンに許しを乞うた。
「父にだけは……家族にだけは迷惑をかけられないんです……っ! お願いします、何でもしますから……っ!」
泣き叫ぶアーメンガードを見下ろし、ミンチンはサディスティックな笑みを深めた。
「何でもする、と言ったね? ……まあ、私も鬼ではない。ここで1つゲームをしようじゃないか。君が勝てば、全てを水に流してやろう」
ミンチンはそう言うと、応接室のローテーブルの上に、お茶受け用の小皿をことりと置いた。そこには、一口サイズの丸いトリュフチョコレートが一つだけ載っている。
「ルールは簡単だ。一切『手』を使わずに、そこの『お茶汲み』係の女に、そのチョコレートを食べさせろ。成功したら、君の罪はすべて帳消しだ」
「……えっ?」
アーメンガードが顔を上げ、セーラの目が見開かれる。
手を使わずに相手の口に固形物を運ぶということは、すなわち「アーメンガードが口でチョコを咥え、女秘書(セーラ)の口へ直接押し込む(口移し)」しか方法がない。
(なんて、悪趣味な……)
ミンチンの言葉に、アーメンガードは震える足で立ち上がり、セーラの前に立った。
彼は、目の前にいる「見知らぬ絶世の美女」が、自分が愛してやまないセーラであるとは夢にも思っていない。
「……すまない、君を巻き込んでしまって……。でも、俺には……俺にはこれしかないんだ!」
大粒の涙を流しながら、アーメンガードは必死の形相でテーブルの上のチョコを唇で咥え、セーラの顔へと迫ってきた。
(来ないでくれ、アーメンガード……!)
セーラの脳内は、激しい羞恥とパニックで狂いそうだった。唇を強く結んで拒絶したい。突き飛ばして逃げ出したい。だが、ここで自分が拒めば、アーメンガードは本当に刑務所行きになってしまう。
タイトスカートの裾を震わせ、セーラは目をきつく閉じると、ゆっくりと自らの唇を開いた。
「ん……っ」
——重なる二人の唇。
アーメンガードの必死で不器用な舌の動きにより、甘くほろ苦いトリュフチョコレートがセーラの口内へとぐちゅりと押し込まれる。生々しく淫らな接触。男同士でありながら、女装という薄い皮膜を隔てた歪んだ口移し。チョコレートが溶けるドロリとした甘さが、極限の屈辱となってセーラの舌にねっとりと絡みついた。
「……見事だ。ゲームはクリアだ」
——と、その時だった。
——カシャ
——カシャ
——カシャ
応接室に、無遠慮なスマートフォンの連写音が響き渡った。
「はい、不純同性交遊……じゃなくて、社内風紀乱れの決定的な証拠写真、いただき♡」
ラビニアが冷酷な笑みを浮かべ、画面を揺らしてみせる。
最初から、どちらを選んでもハメられる仕組みだったのだ。助かると安堵したアーメンガードの顔が、再び真っ青な絶望へと染まる。
それを見た瞬間——。セーラの中で張り詰めていた「理性の糸」が、プツン、と音を立てて千切れた。
自尊心を削り落とされ、無理やり女の仮面を被らされ、さらには口移しでチョコレートを受け入れる恥ずかしめを受けた果てに、待っていたのはさらなる裏切り。
これ以上の蹂躙は、セーラ・クルーの魂が絶対に許さなかった。
「いい加減にしろ、ラビニア……ッ!!」
応接室の空気を震わせたのは、無理に作ったソプラノの声ではない。低く、毅然とした、聞き覚えのある「男の、セーラ・クルーの声」だった。
口内に残るチョコレートの甘さを噛み殺し、タイトスカート姿で激昂する見知らぬ絶世の美女。
その「声」を聞いたアーメンガードは、まるで雷に打たれたように目を見開いた。震える指でセーラを指差し、呆然と呟く。
「え……せ、セーラ……さん……?」
応接室の凍りつくような静寂の中、剥がれ落ちた硝子の仮面。
最悪の形で己の正体を晒したセーラの瞳には、もはや隠しきれない修羅の炎が燃え盛っていた。
つづく
—
【次回予告】
最悪の形で正体を晒し、屈辱の衣服のまま地下へと逃げ延びたセーラ。すべてを失い「無敵」と化したラビニアの非情な脅迫が迫るなか、父の形見を胸に、泥沼からの決死の逆襲を誓う。
次回
#25 タイトスカートでの地下逃亡!〜無敵の脅迫に牙を研ぎ地獄の最上階へ戻る元プリンス〜
「……ほら、早く社長秘書として上へ行けよ。お仕事の時間が始まるぞ?」
お楽しみに!
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