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#48 親友の距離を壊す決死の肉体取引!〜残酷なマジレスとセーラに完敗するラムダスの絶望〜

翌日の土曜日。 チュン、チュン……。 窓の外からは心地よい雀のさえずりが響き、カーテンの隙間から爽やかな光が差し込んでいた。 そんなのどかな朝——いや、すでに時計の針は昼過ぎを回っており、ようやくラムダスのベッドで目を覚ましたアーメンガードは、光の眩しさに顔をしかめながら、ひどい二日酔いに頭を抱えていた。 「うぅ……頭が割れる……」 「あら、やっと起きたの?」 ベッドサイドに腰掛けたラムダスは、淹れたての温かいコーヒーをマグカップに注ぎ、アーメンガードの前にそっと差し出した。 「……ねえ、今日リリースされるNetflixの新作の続き、うちで見ない?」 ラムダスは少し期待を込めて誘った。しかしアーメンガードはスマホの時計を見るなり慌てて立ち上がり、そそくさと身支度を始めてしまう。 「あ……悪い、また今度な!」 ろくに目も合わせず、そっけなく断って足早に部屋を出て行くアーメンガード。 パタンと冷たく閉ざされたドアを見つめ、ラムダスはコーヒーカップを持ったまま、ポツンと立ち尽くした。 ◇ あまりにも素っ気ない態度で帰られたショックと、言い知れぬ胸のざわめきに居ても立ってもいられなくなったラムダスは、衝動的にパソコンを開き、かつてアーメンガードのスマホに密かに仕掛けておいたスパイウェア(20&48話参照)を起動させた。 画面に表示されたGPSの光点は、彼の自宅とは別の場所で止まっていた。 ロンドン中心部の一等地、高級マンションが立ち並ぶエリア。ラムダスはコートを羽織り、タクシーに飛び乗ってその場所へ向かっていた。マンションから少し離れた街路樹の陰で、ラムダスは信じがたい光景を見た。それは、アーメンガードが、嬉しそうな足取りでそのエントランスへと吸い込まれてゆく姿だった。 「……あそこが、セーラの部屋……?」 ラムダスの胸の奥で、激しい嫉妬が狂い咲いた。 ◇ 自宅に戻ったラムダスは、暗い部屋で一人、モニターの光に照らされながら唇を噛みしめていた。 『俺のせいでUSBデータは失われた。セーラさんに合わせる顔がないんだ……っ』 昨夜、涙を流しながらそう言っていたアーメンガードの言葉が、頭の中で繰り返される。 ふと、ラムダスは以前USBのフォーマット変換をした際の作業用PCを漁り始めた。 「……あったわ」 変換前のバックアップデータが、手付かずのまま残っていた。画面に表示されたそのファイルを見つめ、ラムダスの瞳に暗い光が宿る。 (これさえあれば……) ◇ 後日。ラムダスはソーホー(Soho)の馴染みのゲイバーにアーメンガードを呼び出した。 「ラムダス? どうしたんだ、急に」 何も知らないアーメンガードが無邪気な顔で座る。ラムダスはグラスの縁を指でなぞりながら、まっすぐに彼を見据えた。 「……見つけたのよ。あんたが失くしたって泣いてた、あのUSBのデータ」 「えっ!? 本当!?」 アーメンガードは身を乗り出し、顔を輝かせた。 だがラムダスは冷たい声でそれを制した。 「ワタシがなんとかしてあげてもいいけど……その代わり、一度でいいから、ワタシを抱いてよ」 張り詰めた空気が、二人の間に落ちた。 予想だにしなかった言葉をぶつけられ、アーメンガードはどう答えてよいかわからず、その場で硬直した。 「ラムダス、君……それは……」 「……ワタシの気持ち、知ってたでしょ? 気が付かなかったなんて言わせない」 すがるような、それでいて挑発するような必死の想い。 それは、親友という安全な距離を壊す、最後の切り札だった。 しかしアーメンガードは困惑したように眉を下げ、残酷なほど真っ直ぐな瞳で告げた。 「……ごめん、ラムダス。僕の心には、セーラさんしかいないんだ」 「……っ」 一片の迷いもない、残酷なまでのマジレス。 親友の枠から一歩も踏み込ませないその拒絶の言葉に、ラムダスは息が詰まるような絶望とともに、彼を見つめ返すことしかできなかった。 「……そう。ここまでして頼んでも、ダメなのね……」 ぼろぼろと涙が溢れそうになる目元を隠すように、ラムダスは乱暴に立ち上がった。半分以上残ったカクテルグラスと、呆然とするアーメンガードをテーブルに置き去りにしたまま、振り返ることもせず、足早にゲイバーの闇へと消えていく。 アーメンガードは引き止めることもできず、ただ遠ざかるラムダスの背中を、苦い罪悪感とともに見送るしかなかった。 つづく — 【次回予告】 ラムダスの要求を拒否してしまった罪悪感に悩むアーメンガードが、セーラにUSBデータの手がかりをうっかり漏らしてしまう。それを聞いたセーラが、無意識のうちにその裏に隠されたドロドロした事情を冷徹に察してしまうという、今後の泥沼展開のための伏線全振り回! 次回 #49 【本編スキップ可】〜アーメンガード涙のポロリとセーラが裏の事情を冷徹に察するだけの説明回〜 「泣くな、お前のせいじゃない。話してくれてありがとう、アーメンガード」 お楽しみに!

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