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#55 奈落へ突き落とす地獄のマウントコール〜のけ者の逆襲、受話器越しに聴かされるセーラの気怠い声〜
翌日のロンドン支社、最上階。
いつものように支社長室へお茶を運んだセーラは、事もなげにミンチンの分厚い膝の上へと引き寄せられた。
タイトスカートの裾から伸びてきたゴツゴツとした太い手が、ストッキング越しの股間をねっとりと探ってくる。だが——
今日のセーラのそれは、ぴくりとも反応せず静まり返っていた。
「ほう……?」
ミンチンは下卑た笑みを浮かべ、さらに指を這わせた。
「おいおい、今日のお前は妙にすっきりした顔をしてるな。触っても全く|反応《ボッキ》♂しないじゃないか。いよいよ本気で『目詰まり』が解消されたらしいな。どこの誰に抜いてもらったんだ?」
いやらしい詮索に、セーラは表情一つ変えずに立ち上がった。
「……プライベートの詮索は無用です、支社長」
冷徹にそれだけを言い残し、セーラは支社長室を後にした。
◇
自席のある秘書室に戻ると、そこには冷ややかな笑みを浮かべたラビニアが待ち構えていた。
「すっかり支社長のお気に入りね、セーラ。あんな素敵なマンションまで買ってもらっちゃって。おめでとう、立派な『愛人』様」
セーラは一瞬ハッと動揺したが、すぐに毅然とした態度でムキになって否定した。
「愛人なんかじゃない。これは、正当な交渉の結果だ」
「交渉?」
ラビニアは鼻で笑うと、蔑むような視線を投げかけた。
「ガラにもなく男を武器にして、股間を吸わせて手に入れた部屋が? やってることはただの安っぽい男娼よ」
「っ……!」
自らの尊厳を切り売りした、何より人に見られたくないはずの醜態を暴かれ、セーラの顔から血の気が引く。
「ふふっ、図星だからってそんなに必死にならないでよ。見苦しいわね」
否定すればするほど惨めになるセーラを見て、ラビニアは勝ち誇ったように冷笑し、圧倒的なマウントをとった。
セーラはそれ以上は何も言い返すことができず、たまらずその場から逃げ出した。
◇
仕事を終え、すっかり陽が落ちたロンドンの街。 セーラが新居のマンションのエントランスに近づくと、街灯の陰に一人の男が立っていた。ラムダスだ。
アーメンガードへの未練などとうに消え失せ、ただの憎悪と復讐心だけを瞳に宿したラムダスは、感情を押し殺した冷たい声で切り出した。
「……あのUSBのパスワード、知りたいんじゃない?」
その言葉に、セーラは足を止めた。
「知ってるのか!?」
「でも、条件があるわ」
「……なんだ? 言ってみろ?」
ラムダスは一歩近づき、上目遣いにセーラを見上げる。
「前金として……今すぐ、ワタシを抱きなさい」
◇
セーラの部屋に招き入れられたラムダスは、ベッドの上で衣服を剥ぎ取られていた。
そこに愛や情熱など微塵もない。セーラにとってはパスワードを剥ぎ取るための、ラムダスにとっては復讐のための、ただの渇いた肉体取引だった。
「あっ……んっ……っ////」
冷徹な眼差しのまま淡々と突き上げてくるセーラに蹂躙されながら、ラムダスはシーツを強く握りしめた。
◇
チュン、チュン……。
やがて窓の外から心地よい雀のさえずりが聞こえ始め、カーテンの隙間から白み始めた朝の光が差し込み始めた頃。
隣で寝静まっているセーラを確認し、ラムダスはそっと起き上がった。そして自分のスマホを手に取り、アーメンガードへと発信した。
数回のコールの後、ガチャリと電話が繋がる。
『……ラムダス……?』
ラムダスは甘く、残酷に微笑みながら囁いた。
「今、ワタシが誰と一緒にいると思う?」
『……え?』
「今ね、ワタシの横で、すやすやと寝てる人がいるの。誰だと思う?」
電話の向こうで、アーメンガードが息を呑む気配がした。
「……代わってあげるわ」
ラムダスはそう言うと、眠っているセーラに顔を寄せ、肩を優しく揺り動かした。そして半分開いたセーラの手に、自らのスマホを直接握らせた。
「ん……?」
寝起きの低く掠れた、無防備なセーラの声。
相手が誰かも確認せず、セーラは電話口でぼんやりと呟いた。
「もしもし……」
『——っ!!? セーラ、さん……!?』
ラムダスは満足げに微笑み、スマホを奪い返すと、甘い声で追い打ちをかけた。
「誰だかわかった? ワタシ達、セックスしてたの」
「何を言ってるんだラムダス、嘘をつくな!!」
狂わんばかりのアーメンガードの叫び。
「嘘なんかじゃないわ。何度もしたんだから!!」
「嘘だ! オイ! セーラさんに代われ! オイ!」
ラムダスはアーメンガードの心が砕け散る音を聞き届けると、満足げに通話を切った。
「……誰からの電話だ」
目を覚ましたセーラが、気怠げに身を起こした。
「ふふっ、ちょっとした挨拶よ」
セーラは無造作にシーツを払い除けると、淡々と、しかし有無を言わせぬ冷たい声で言った。
「……前金は払ったぞ。パスワードを教えろ」
ラムダスは一瞬ビクッと肩を震わせ、気まずそうに視線を泳がせた。
「……ご、ごめんなさい」
「は?」
「実は……まだなの」
「嘘をついたのか」
セーラは静かにラムダスを見下ろした。
「か、解析はしてるのよ! でも、そう簡単に解けるものじゃなくて……生きてるうちには無理かもしれないくらいで……っ」
ラムダスは慌ててセーラの足元にすがりつき、必死に懇願した。
「でも必ずなんとかするから! あなたのお父さんが残したものなんでしょ? きっと何かヒントがあるはずよ。絶対に悪いようにはしないから……何でもするから……っ!」
そう言いながら、ラムダスはセーラの股間へと顔をうずめ、必死に奉仕を始めた。
「ん……」
セーラはラムダスの奉仕を受け入れながら、窓から差し込む爽やかな朝の光の中で、静かに思考を巡らせていた。
(親父の残した、ヒント……)
明るくなり始めた寝室に、ラムダスの卑猥な水音だけが虚しく響き続けていた。
つづく
—
【次回予告】
セーラとの関係を指摘されたアーメンガードは、ラビニアに社会的な破滅を警告される。だが、そこで返ってきたのは、自暴自棄になった意外な態度だった。
次回
#56 誕生・闇堕ちアーメンガードとラビニアの打倒セーラ同盟〜失うもののない二人の絆〜
「私たち、いい友達になれるんじゃないかしら?」
お楽しみに!
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