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#56 誕生・闇堕ちアーメンガードとラビニアの打倒セーラ同盟〜失うもののない二人の絆〜

朝の光が差し込むセーラのマンション。 ベッドの上では、乱れたシーツに絡まるようにして、ラムダスがセーラの胸にすり寄り、甘い吐息を漏らしていた。 復讐のつもりで始まった関係だったが、肌の相性は悲しいほど良すぎた。夜通し何度も絶頂へと連れていかれ、ラムダスの心身は完全にセーラの虜となり、蕩けきっていた。 セーラはラムダスの乱れた髪を優しく撫でながら、ぽつりと尋ねた。 「……結局、オレたち何回したんだっけ?」 一睡もせずにむさぼり合った余韻の中、セーラが意地悪く問うと、ラムダスはシーツに顔をうずめて頬を赤く染めた。 「ええっ……? そ、そんなの……数えてないから、もうわかんないわよぉ……っ」 可愛らしく拗ねるラムダスを愛おしげに見下ろしたあと、セーラは壁の時計に目をやり、ため息をついた。 「……大幅な遅刻だ。シャワー浴びてくる」 セーラはそう言うと、ベッドから立ち上がりバスルームへと向かった。やがて、扉の向こうからシャァァァ……と水音が響き始める。 一人残されたラムダスは、ふと考え込んだ。初めてこの部屋に来たとき、セーラが盗聴を匂わせるようなことを言っていたのがずっと引っかかっていた。 (この部屋は盗聴……もしかしたら盗撮もされてるの? この男は何者……?) ふと、ベッドサイドに無防備に置かれているセーラのスマホに目がいく。手に取ると、ブラウザもアプリも一切入っていない、通話機能と位置情報アプリだけの異様な仕様だった。 (ネットに繋がらないわけじゃないのか……。この位置情報アプリにしか権限がないのね。なら、なんとかなるかも) ラムダスは自身のバッグからUSBメモリを取り出し、素早くセーラのスマホに挿し込んだ。瞬く間に裏口(バックドア)を仕込まれる。 スマホを元の位置に戻してしばらくすると、シャワーを終えたセーラが、濡れた髪をタオルで拭きながら出てきた。ラムダスがベッドからその姿を見つめていると、セーラはおもむろにドレッサーの前へと進み、慣れた手つきでメイクをし始めた。 (あれ……?) ラムダスが呆然と見つめる中、セーラはウィッグを被り、艶やかなパンストに脚を通し、女物のブラウスにタイトスカートを纏っていく。みるみるうちに「完璧な女秘書」へと変貌する一部始終を、ラムダスはただ言葉を失って見守ることしかできなかった。 「……セーラって、そっちの趣味があったの……?」 呆然とするラムダスに、セーラはパンプスに足を滑らせながら、表情一つ変えずに淡々と答えた。 「色々あってね」 そして、まだベッドの中から抜け出せないラムダスを振り返り、セーラは自身のキーホルダーから鍵を一本外すと、ぽいっと投げ渡した。 「私、もう行くけど。……それ、合鍵ね」 そのミステリアスすぎる姿と冷ややかな横顔、そして手のひらに残された合鍵の冷たい感触に、ラムダスはますます底知れぬ魅力を感じ、ただうっとりと見送ることしかできなかった。 ◇ ロンドン支社の最上階。 「おはようございます、支社長。……申し訳ありません、寝坊しまして」 遅れて出勤し、いつものようにお茶を差し出すセーラに対し、ミンチンは不快そうに鼻を鳴らした。 「ふん。今日のお前は妙にすっきりしているどころか、少しやつれたんじゃないか? どこの誰と朝までヤリまくってたか知らんが、仕事に穴を空けるのは感心せんな」 鋭い嫌味を言われながらも、セーラは表情を変えず「……失礼いたします」とだけ言い残して退室した。 ◇ 一方、その頃。 暗く静まり返った自室のベッドで、アーメンガードは一人、声を殺して泣き崩れていた。 『——ワタシ達、セックスしてたの……何度も』 何度も。何度も——。 その言葉が、今朝がた受話器の向こうから響いたラムダスの掠れた声と共に、脳内で呪いのようにリフレインして離れない。 (何度もって……一体、何回したんだ……? オレがあんなに焦がれて、やっと一度だけ許されたあの身体を……あいつらは、一晩で、何回……っ) 想像するだけで、どす黒い嫉妬が胃の腑からせり上がってくる。セーラへの絶望と、ラムダスの残酷な裏切り。心が完全に粉砕されたアーメンガードは、スマホを手に取ると、震える声で会社へ電話をかけた。 「……具合が悪いので、今日は休みます……」 ◇ 翌朝。どんよりとした灰色の雲が垂れ込める、ロンドンの街。 出勤する社員の雑踏に紛れながら、ようやく気を取り直して家を出たアーメンガードは、重い足取りで会社へと歩いていた。一度にすべてを失った彼の顔には、かつての人の良さそうな温もりは欠片もなく、感情の消え失せた冷徹な虚無だけが張り付いていた。 「……ちょっといいかしら?」 背後からヒールの音が近づき、一人の女性が並んで歩き始めた。 (この人は、ミンチン支社長の……。俺に何の用だ?) アーメンガードが警戒心を抱く中、彼女は構わず言葉を続けた。 「セーラの新しいマンションに、随分と足繁く通っているみたいじゃない。それ、どういうことかわかっているの?」 (なぜ知っている? あのマンションには監視カメラも盗聴器もないはずなのに。会社はまだ、裏でセーラを監視しているのか?) 突然の追及に心臓が跳ね上がる。アーメンガードは動揺を悟られまいと、必死に強がった。 「……仮にそうだとして、個人の自由だろ。プライベートで誰と会おうが勝手じゃないか」 「個人の自由?」 彼女は薄笑いを浮かべた。 「——本当に何もわかってないのね。あなたが通い詰めているあのマンション、一体『誰のお金』で買い与えられたものか」 「それは……」 「ほら、答えられない」 彼女は立ち止まると、「ちょっとこっちへ来なさい」とアーメンガードの腕を引き、人目のない薄暗い路地へと連れ込んだ。 「ミンチン支社長と愛人契約して手に入れたものなのよ」 「愛人契約?」 彼女は無言でスマホを取り出し、画面を突きつけた。 「嘘だと思うなら、これを見なさい」 そこに映っていたのは、支社長室のデスクの上で、セーラが自らミンチンの頭を股間に引き寄せ、自身のモノを吸わせている生々しい光景だった。 (愛人……。あのパンストOL姿はそういうことだったのか) ただでさえボロボロだった胸の奥で、セーラへの執着が一瞬にして反転した。ドス黒い憎悪が噴き出し、全身が激しく震える。 「どうしたの、アーメンガード? これがセーラの本当の姿よ。あなたは支社長の愛人に手を出したのだから、このことが知れれば、社会的に抹殺されるわよ」 「ふっ、好きにしろ。俺にはもう何も失うものなんかない。この会社にも、セーラにも未練はない。チクりたければチクれよ」 彼女は、思わず目を見張った。予想していた怯えや取り乱した様子ではなく、平然とした自暴自棄。 うつむいていたアーメンガードがゆっくり顔を上げた。その横顔に、かつての優しさは微塵もなく、光の消えた瞳の奥には深い絶望と、殺意に近いほどの生々しい憎悪が宿っていた。 (……なるほど。『可愛さ余って憎さ100倍』ってわけね) 彼女はそっと口角を吊り上げ、アーメンガードの反応をさらに試した。 「そういえば、こんなの映像(46話参照)もあるけど、見る?」 画面をスワイプすると、次に映ったのはセーラとロッティの姿だった。股間から我慢汁を垂れ流すロッティを、熱に浮かされたような目で見つめ、ほほ笑むセーラ。(42話参照) 「——っ」 アーメンガードはもはや怒りを通り越し、汚らわしいものを見るような冷たい目で画面を睨みつけた。 「……ねえ。私もセーラが憎いのよ」 彼女はスマホをポケットにしまい、一歩距離を詰めた。 「どう? お互い協力して、あの気取った元プリンスをどん底に引きずり落とすってのは」 アーメンガードは答えない。ただ、憎悪に染まった瞳で路地の暗がりをじっと見つめていた。彼女は彼の肩に優しく、しかし逃がさないようにそっと手を置いた。 「そういえば、まだ挨拶が済んでいなかったわね。私は——」 「知ってますよ、ラビニアさん」 アーメンガードが静かに言葉を遮った。 「セーラの後任の、ラビニア課長でしょ?」 ラビニアは少し驚いたように目を丸くした。 「あら。知っていたの?」 「俺は人事部ですからね。ラビニアなんて名前が二人もいれば、怪しいと思いますよ」 アーメンガードの淡々とした返答に、ラビニアは満足げに微笑んだ。 「話が早くて助かるわ。私たち、いい友達になれるんじゃないかしら?」 「……ふっ、面白そうじゃないか」 それは、新たな怪物が産声を上げた瞬間だった。 つづく — 【次回予告】 身に覚えのない罪で最上階から引きずり下ろされ、陽の光すら入らない地下の資料室へと乱暴に投げ込まれたセーラ。抵抗も虚しく、黒服の男たちによって身包みを剥がされる。 次回 第五章 #57 引き裂かれたパンスト〜セーラの恐怖と屈辱の反応(ボッキ)♂〜 「ゲハハハハ! おい、こいつ反応(ボッキ)してるぞ! パンツからはみ出してやがる!」 お楽しみに!

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