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#57 引き裂かれたパンスト〜セーラの恐怖と屈辱の反応♂〜
第五章 幾重にも仕掛けられた愛憎の罠! 〜絶体絶命の精神的拷問と解けないパスワードロック〜
ロンドン支社の最上階、秘書室。
朝の静寂の中、セーラはドレッサーの前に座り、静かにリップグロスを手に取った。鏡を見つめながら、下唇が少しぽってりとなるように、丁寧な手つきでブラシを滑らせていく。鏡の中に完成しつつある完璧な「女秘書」の仮面に、セーラは少し満足げに微笑んだ。
(よし、今日もばっちり……)
リップグロスをポーチにしまい、日課である支社長へのお茶の準備に取り掛かろうとした、その時だった。
——バンッ!!
無遠慮な音を立てて秘書室のドアが開き、屈強な二人の黒服の男たちがずかずかと踏み込んできた。
「支社長がお呼びだ。来てもらおうか」
有無を言わさず、男たちはセーラの腕を乱暴に掴み上げた。
「離してよ! 自分で歩けるぅ!」
抵抗する間もなく、セーラはそのまま重厚なマホガニーのドアの奥、支社長室へと引きずり込まれた。
◇
男たちに突き飛ばされるようにして、デスクの前に立たされたセーラ。乱れたタイトスカートを押さえながら顔を上げると、デスクの奥のミンチンは、見たこともないほど顔を赤黒く激昂させていた。
「お前……この俺を裏切って、タブロイド紙にネタを売ろうとしたな?」
地を這うような怒声。セーラは眉をひそめた。
「何のことですか、おっしゃることの意味がわかりません」
「とぼけるな! 証拠は上がってるんだ!」
ミンチンはデスクの上のクリアファイルから一枚のプリントを引き抜くと、セーラの足元へ向けて投げつけた。
それは、セーラのアカウントからタブロイド紙へ宛てられたメールだった。かつてセーラがマンションを勝ち取るために使った「ナフサ目詰まりの自作自演」の証拠を、約束を反故にしてマスコミに売り渡そうとする文面が綴られていた。
「あのタブロイド紙の編集長は私の友人でな、お前の会社の美人秘書がネタを売り込んできたと教えてくれたよ。とんだ恥をかかせてくれたな!」
「ちょっと待ってください、ナフサの価格吊り上げの件なら、秘密は守ってます。誰にも漏らしてません。本当です!」
セーラは必死に声を張り上げた。 業界全体を揺るがしている「ナフサの目詰まり(物資不足)」の真実——それは、ミンチンの自作自演の詐欺行為だった。ミンチンのスマホにスパイウェアを仕込んだセーラはこの不正の事実を掴み、それをネタに今の高級マンションを勝ち取っていたのだ。
「しらばくれる気か、他にも証拠はあるのだぞ」
今度はミンチンがスマートフォンの画面を突きつける。そこに映し出されていたのは、セーラの行動履歴が地図上にトレースされた、GPSの移動ログだった。——それは、セーラがタブロイド紙の編集部周辺を何度も訪れたという決定的な証拠として、システムに刻まれていた。
「知りません、私はそんな所へ行ったことはありませんし、だいいち、私の社員IDには、メールを送信する権限などないし、アカウントすら与えられていません!」
「黙れッ!!」
猛り狂ったその怒号が、室内の空気をびりびりと震わせた。
「……これは罠だ!オレじゃない!」
極限の窮地に、もはや女の仮面を保つ余裕などなかった。セーラは本来の男の低い声に戻り、渾身の力で叫んでいた。
「とんだ飼い犬に手を噛まれたものだなと! ……この泥棒猫が!!」
弁明の余地など一切なかった。最初から、セーラの言葉に耳を貸す気など微塵もないのだ。
「連れて行け。こいつからすべてを没収しろ。二度と俺の目の前にそのツラを見せるな!」
◇
「来い」
再び黒服の男たちに強引に両脇を固められ、セーラは最上階から引きずり出された。エレベーターが最下層へ到着し、乱暴に放り込まれたのは、陽の光すら入らない、あの地下の薄暗い資料室だった。
「支社長からの命令だ。お前に与えられたものはすべて没収する」
一人の黒服がニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら、セーラの肩を掴んで壁に押し付けた。完璧な美人秘書を合法的に身ぐるみ剥がせるという状況に、男たちの目は完全に淫らな色を帯びていた。
「触るな!」
セーラが必死に抵抗するが、男たちは鼻で笑いながら、ブラウスのボタンを容赦なく引きちぎる。
——露わになる白い肌。
もう一人の男が、タイトスカートのファスナーを乱暴に引き下げ、腰から下を一気に剥ぎ取る。
「あっ……っ/////」
幾何学模様のストッキングに無骨な手がかけられ、激しい音を立ててナイロンが引き裂かれた。衣装をすべて失い、下着姿になったセーラの身体を見た瞬間、男たちの動きがピタリと止まった。
「……あ? なんだこれ」
一人が、セーラの胸元と、その骨格を凝視して顔を顰めた。
「なんだ……男か……?」
隠し通してきた秘密が、最悪の形で暴かれた。セーラは屈辱に顔を真っ赤に染め、床に這いつくばったまま身を縮めた。しかし、男たちは一瞬の困惑の後、さらに下品な笑いを爆発させた。
「ゲハハ! 支社長の愛人ってのは、オカマ野郎だったってわけか!」
「男だろうが関係ねえよ。全部むしり取れってのが命令だ。ほら、その下着も脱げ!」
男たちはセーラの抵抗を力ずくでねじ伏せ、最後の布地まで剥ぎ取ろうとする。荒々しい手が肌を這い、薄暗い密室の恐怖と暴力がセーラの脳を激しく犯した。
「……おい、見ろよ、これ」
一人がセーラの股間に目を止め、腹を抱えて大笑いした。
「ゲハハハハ! おい、こいつ反応 してるぞ! パンツからはみ出してやがる!」
「本当だ、とんだ変態野郎だな! ほら、さっさとこれ着やがれ!」
ドッと沸き起こる下品な嘲笑の中、セーラの足元に投げつけられたのは、埃を被ったペラペラの清掃員用ツナギだけだった。
反応 ——それは、決して倒錯的な快感などではない。人間が命の危険や極限の暴力に直面した際、本能的に種を残そうと生体が作動してしまう悲痛な生存戦略——重大な事故で救急搬送されてくる瀕死の患者が、例外なくそうなっているという話を耳にしたことはないだろうか。それと全く同じように、セーラの肉体が示したのは、逃げ場のない圧倒的な恐怖の証 だった——
だが、男たちはその絶望的な生体反応さえも「変態」と呼び、容赦なく嘲笑う。 すべてを奪われ、ただ恐怖に震えるだけの身体で尊厳を踏みにじられた、完璧なるどん底への回帰だった。
◇
一方その頃。セーラを陥れた張本人たちが、奪い取った「戦利品」を見下ろしていた。
「……セーラが持っていたスマホのことなんですが。これ、位置情報を送ってますね」
その報告を聞いたラビニアが、つまらなそうに鼻で笑う。
「当たり前でしょ。それは支社長がセーラを四六時中監視するために持たせていた端末なんだから。今さら何を言ってるの?」
「ええ、それもそうなんですが……」
ガートルードは少し口ごもり、デスクに置かれたスマホへと視線を落とした。
「本来の監視システムとは別に、ログを外部の別サーバーにミラーリングして送っている形跡があるんです。かなり巧妙なバックドアが仕込まれてますね」
その言葉を聞いた瞬間、アーメンガードの瞳が、スッと細められた。
「……ラムダスだ」
「ラムダス? 誰それ?」
「セーラの、新しい男……」
ギリッ、と奥歯を強く噛み締める音が響く。アーメンガードはどす黒い憎悪に声を震わせて答えた。
「許せない。あいつだけは絶対に……ッ」
「ふふっ、ジェラシーって奴?」
ラビニアが面白がるようにからかうと、アーメンガードの口角が歪に吊り上がった。
「そうだ。……セーラをどん底に陥れる、いい考えがある」
「どうするの?」
「ラムダスを餌にするのさ」
アーメンガードは冷酷な光を宿した目で、デスクの上のスマホを見下ろした。
「今はまだ、電源を落としたままにしておいてくれ」
「……時を見計らって、スマホの電源を入れる。そうすれば絶望に飢えた魚が、勝手にここまで泳いでくるさ」
つづく
—
【次回予告】
黒服たちに拘束されてしまったラムダス、そしてセーラ。二人の前に現れたのは、嫉妬に狂い闇落ちしたアーメンガードだった。
次回
#58 嫉妬の極限尋問!涙と狂気のベッド事情〜夜の営みを問い詰めずにはいられないアーメンガード〜
「お前が『攻め』でラムダスが『受け』か? 何回掘ったんだ? 言えよ!」
お楽しみに!
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