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#64 究極の精神的拷問・セーラが叩くロッティーのお尻〜3回叩かないと恥ずかしい動画がロッティに〜
地下の仮眠室。
セーラは狭い二段ベッドの下段に横たわっていた。この身を隠すような狭苦しい空間だけが、今の自分にとって唯一の安息地となっていることが、なおさら惨めだった。
身ぐるみ剥がされて地下資料室に閉じ込められた次の日、ロックこそ解除されたものの、外の世界に逃げ込む宛てなどどこにもない。会社に留まっていれば、かろうじて雨風は凌げるし、社員食堂でタダのミールディールにありつくことだけはできた。
(俺は……このまま、飼い慣らされていくのか……)
反撃の糸口など、どこをどう探しても見当たらない。かつて「ダイヤモンド◇プリンス」として全社に君臨したプライドは、底なしの諦念と屈辱に塗り潰されかけていた。支給されていたスマートフォンをはじめ、すべての連絡手段は没収され、外部からも社内からも完全に孤立した、絶対的な孤独。
——ルルルルルッ!!
突如、壁際の内線電話がけたたましく鳴り響いた。
セーラは弾かれたように上体を起こした。長すぎた孤独を切り裂くように響いた受話器の音。
背筋を這い上がる嫌な予感に襲われながらも、脳のどこかが「もしかしたら希望の兆しかもしれない」と、無謀な期待を抱いてしまう。すがるような思いで、セーラは受話器を取った。
『起きた? セーラ。……今ね、私の目の前に、お前の可愛い可愛いロッティーがいるのよ』
ラビニアの愉しげで底意地の悪い声が、耳にねっとりと絡みついた。嫌な予感が、最悪の形で的中した。
「ロッティー……!? ロッティに何をする気だ!」
『解放してほしかったら、今すぐ最上階の支社長室に来ることね。待ちくたびれたら、この可愛い顔に傷がついちゃうかもしれないわよ』
プッ、という無機質な切断音が残り、通話は一方的に終わった。セーラは血の気が引くのを感じ、受話器を放り出すと、突き動かされるように仮眠室を飛び出した。
◇
息を切らせて最上階に駆け上がり、重厚なドアを押し開けた瞬間——
セーラの目に飛び込んできたのは、黒服の男に後ろ手に押さえつけられ、小刻みに震えているロッティーの姿だった。
「セーラさん……!」
ロッティーの瞳に、一瞬だけ安堵の光が灯る。しかし、その足の震えは止まらない。
「ロッティー!」
駆け寄ろうとしたセーラの前に、ラビニアが悠然と立ち塞がった。その手には一台のスマホが握られている。
ラビニアはセーラにだけ画面が見える角度で、例の動画を再生した。ラムダスと激しく絡み合う自分の淫らな姿が映し出され、セーラは息を呑んで硬直する。
「……もし、私の手にある『これ』を、誰かさんに見せたらどうなるかしらね?」
ラビニアはロッティーには画面を見せず、ねっとりと曖昧な言い回しで囁いた。
「信じていたセーラさんが、裏でコソコソとあんな真似をしてるなんて知ったら……誰かさん、どんな顔をするかしら?」
「なんの話ですか……? セーラさんが、何か……?」
状況が飲み込めず、不安げにセーラを見つめるロッティーの純粋な視線が、セーラの胸を深く抉った。
「汚いぞ、お前……ッ!!」
セーラは激昂し、ラビニアを強く睨みつけた。しかしラビニアはその怒りさえ愉しむように、唇を優雅に歪める。
「あら、もしかしてロッティ、あなたも興味あるんじゃない?」
「やめてくれ!!」
セーラは悲鳴を上げ、その場に膝をついた。
「お願いだ、ラビニア……! なんでも、なんでも言うことを聞くから……ッ! それだけは、それだけはやめてくれ!」
プライドも何もかも投げ捨て、地に伏して許しを乞うかつてのスパダリ。その無様な姿を見下ろし、ラビニアは背筋が震えるほどの愉悦に浸った。
「ほう……なんでもするって、今、言ったわね?」
ラビニアは足元に落ちていた来客用の薄っぺらいスリッパを拾い上げ、セーラの目の前に放り投げた。
「じゃあ、これでロッティーのお尻を3回叩きなさい。そうしたら許してあげる」
「なっ……!?」
セーラは絶句した。自分の手で、一番傷つけたくなかったロッティーに屈辱を与えるなど、到底受け入れられることではない。
「どうしたの? 叩けないなら、やっぱりこれは——」
「セーラさん!」
葛藤に震えるセーラの耳に、ロッティーの力強い声が届いた。
「事情はよく分かりませんが……僕がそんなペラペラのスリッパでお尻を叩かれるくらいで済むなら、どうぞ叩いてください! 僕はそんなの、痛くも痒くもありません!」
ロッティーは黒服の制止を振りほどき、自ら床に四つん這いになった。
「さあ、早く!」
その健気で無垢な姿に、セーラの目から大粒の涙が溢れ出した。震える手で薄いスリッパを握りしめる。
「どうしたの? 早くしないと、気が変わっちゃうかもしれないわよ?」
ラビニアの冷たい声に急かされ、セーラは目をきつく瞑った。
「……ごめんっ、ごめんね、ロッティー……っ!」
泣き叫びながら、セーラはスリッパを振り下ろした。
——パシーン!
乾いた音が、深夜の支社長室に鋭く響いた。
「うっ……!」
ロッティーが短く声を漏らしたが、態勢を崩さない。
「あと2回よ!!」
ラビニアは底意地の悪い笑みを浮かべ、無慈悲にカウントダウンする。
セーラは視界を涙で滲ませながら、心の中で何度も謝罪を繰り返し、腕を振り下ろした。
——パシーン! ——パシーン!
3回の音が終わると同時に、スリッパがセーラの手から滑り落ちた。セーラはその場に泣き崩れ、四つん這いのロッティーにすがりつくように強く抱きしめた。
「許してくれ……許してくれ、ロッティー……ッ!」
声を上げて泣きじゃくるセーラを、ロッティーは痛みを堪えながら優しく慰めようとする。その惨めで、痛ましく、それでもどこか美しい光景を、ラビニアは玉座のような椅子から見下ろし、心底満足げに喉の奥で低く笑った。
つづく
—
【次回予告】
ラビニアとアーメンガードの執念が生み出した、筆舌に尽くしがたい幾重もの罠。逃げ場を完全に塞がれ、抗うすべもなく絶体絶命の窮地へと追い詰められたセーラとロッティー。
次回
#65 絶望の果てに差し込む光!〜幾重もの罠に崩れ落ちる二人の前に現れた最後の希望〜
「……言ったでしょ、必ず助けに来るって」
お楽しみに!
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