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第26話 運命は繰り返す

  ドォン!!!!     「なっ!?」  地下に激しい爆発音が響く。続いて瓦礫が崩れる音がした、地上側からの出入り口が塞がれたようだ。   「お隣さんは戦争が得意でね、魔術以外の武器もたくさんあるんだ。この爆弾は建物内あちこちに仕掛けてある。俺がスイッチを押せばドカンだ」 「お前、死ぬ気か……!」 「誰も死なないよ、……クロノスがいい子で俺のいうことを聞いてくれたらね」 「……俺?」  突然振られたクロノス、驚いた顔でシムを見る。   「お前が受け継いだ旧魔術、それで時を戻せ。キンド様の奥様とお嬢様が亡くなる前の時空まで」     (時空魔術……、それを受け継いだのがクロノスだって……?) (だとしたら、俺の死に戻りは…………?)  呆然とする兄弟たち、 「旧魔術ってなに?」 「聞いたことあるよ、なんか偉い魔術師のお家が伝承してる昔の魔術のことだって」 「確かに、シュバルツ家は名家だが」 「時空って時間を操作できるってこと?!」 「そんなチート可能なの?」  みんなの視線がクロノスに集中する。   「……確かに俺が受け継いだ魔術は時空魔術だ」 「なら……!」 「でも時を戻すなんて不可能だ」 「……………………え」 「旧魔術は何百年も前、人間が今の何十倍も多くの魔力を持っていた時代に開発された魔術だ。現代の魔術師には使えない」 「そ、そんなわけない!嘘をつくな!そんな使えない魔術をわざわざ伝承する意味がないじゃないか!」 「俺もそう思ったよ、でも途絶えさせないことが大切なんだって。使用目的じゃない」 「そ、そん、な」  シムが頭を抱えて、後ずさっていく。虚空を見つめて、ぶつぶつなにかを呟いている。  縋っていた唯一の希望が、初めから存在すらしていなかったことに気づいた、その瞬間の絶望は大きいだろう。それこそ二度と立ち上がれなくなるくらいには。  (これで、諦めてくれれば……)    様子が変わったシムを見て、異常事態にあっけに取られていた犯罪組織の男たちが喚き出した。   「おい!こんなの聞いてねぇぞ!俺らは誘拐しろと指示されただけだ!お前と心中なんて冗談じゃねぇ」 「スイッチよこせ!俺たちの爆弾、勝手に使いやがって」  仲間割れを始めた男たち、スイッチに手を伸ばした男を見てシムが我に帰る。 「近よるな!全員死にたいのか!」 (刺激すんじゃねぇよ、アホ!)   「ヒィッ!」  男たちが両手をあげて地面に伏せる。またしても膠着状態に戻った室内。シムがスイッチを構えてゆっくりこちらを見る。  その目は、暗く澱んで、絶望に満ちていた。   「……そうだよ、ネオチルドレン計画だ」 「何?」 「ここで魔力爆発を起こせ!そうしたら魔力が増えて魔術が使えるようになるだろ!」 「は!?バカか!?そんな単純なもんじゃねぇだろ!それにクロノスはもう成人してる!魔力爆発なんておこらない!」 「うるさい、うるさい!ほら、早くしろよ!!このままじゃ全員爆弾で死ぬぞ、いいのか!!」 「魔力爆発が何かは知らないけど、無理だ!現代魔術師に使える時空魔術なんて、ほんのひと欠片、時を戻すなんて絶対に不可能だ!」 「そ、そんなこと言って騙そうたって、そうはいかないぞ!」 (チッ、聞く耳もたねぇ……!)  俺とクロノスの説得にもまるで耳を貸さない、    このままじゃみんな死んじまう。  燃え盛る炎に包まれて……、全てをなくしたあの夜みたいに。  みんな燃えて、消えてしまう。  俺のせいだ……!俺がここに、こいつらを連れて来たから!    後悔が次から次へと押し寄せる、  なんで俺はいつもこうなんだ。いつだって俺は、何も救えない! 「キンド様は、本当に素晴らしい人だ。誰よりもたくさんの人間を救った英雄だった!それが事故で全てを失って闇に身を落とした!そんなの、そんなの許されるわけがないんだ!」  シムがスイッチを掲げた。    いやだ、やめろ!やめてくれ!  もう、なくしたくないんだ!  奪わないでくれ!   「やめろ!!!!!」  そう叫んだ瞬間、  キィン  聞いたことのある音、これは…… (結界が壊れた音だ!)    即座に魔術を纏わせ拘束を焼き切る、 「お前……!」 「よこせっ!!」  シムにつかみかかり、スイッチを奪い取る。 「クロノス!」  奪い取ったスイッチをクロノスに投げ渡し、その間にシムの足元を魔術で凍らせた。 「リヒト!キャッチしたよ!」 「チリ!土魔術で厳重に固めとけ!」 「オッケー!」  一瞬の出来事に呆然とするシム。 「な、なんで結界が?」  理由はわからないが、確かに聞こえた。結界が割れる音が。  一体誰が、       「悪い子だね。シム」        

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