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第4話

「……僕で良ければ、全然構わないんですけど」 泣き止んだ洸をそっと床に下ろし、俺の言葉を受け止めるように、新先生が意を決した様子で呟いた。 「僕のマンション、ここからすぐ近くですし。独り身なんで、早く帰ってもすることがないんです。なんなら、いつも家でやってる事務仕事、2人を見ながらここでやることもできますし……ね? 副園長先生」 振り返った新先生に、副園長先生は思わずうっとりとして、頷きそうになっていた。新先生にはめちゃくちゃ甘いんやな、というのが透けて見える。けれど、すぐに教師らしい顔に引き締めた。 「……鍵の管理がありますから、野中先生の提案でも園としては難しいです。担当は私か園長と決まっていますから。……ただ、勤務時間外のことでしたら、私が口出しすることではありません。お二人で直接お話しされてみてはいかがでしょうか?」 人差し指を軽く口元に当てた、副園長先生の真意が掴めなくて首を傾げる。すると新先生が「ありがとうございます!」と深々と頭を下げた。 え、俺だけ今だに意味がわかってへんのやけど。2人の間だけで何か解決したんやろか? 「……とりあえず、時間も過ぎていますし、出ましょうか」 新先生に促されて園の外に出る。洸は俺の手にぴったりくっついているし、弦は新先生のズボンの、お尻のあたりをぎゅっと握っている。 お尻好っきゃな、弦。 「……今から、洸くんと弦くんのお家に遊びに行ってもいいですか?」 突然、俺たちの前で屈んだ新先生が、二人の手を握って優しい声で聞いた。 あれ? 家の主、俺なんやけど。ていうか、なんで家に来る流れになってんの? 呆然と見守る俺を置き去りにして、二人は「「いいよ!」」と同時に返事をして新先生と手を繋いでしもた。 え、俺、一瞬でぼっちになったんやけど。 「……今後のこと、これからお家で話し合いましょか」 子供に向けるのと同じ、眩しい笑顔を俺にも向けてくれた新先生。そのあまりの美しさに見惚れてしもて、俺は素直に「はい」と頷くしかなかった。 ♢♢♢ 「……元宮さんが良ければ、お仕事が終わるまで僕のマンションか、あるいはご自宅で、二人をお預かりしますけど」 「……えぇっ!?」 「あれ? 副園長先生の言葉もそういう意味やと思ったんですけど。元宮さんは、違うお考えでした?」 「……あ、いや。全く、何にも思いついてませんでした」 あれから、子供たちが寝静まった後のリビング。 二人で向かい合って、改めて話し合いの席に着いた。 「……ふふっ、可愛い」 「え?」 「いや、正直すぎて。子供みたいに可愛いなぁと思ってしまいました」 「……あ、えー……あぁ! 子供、お好きですもんね」 「……まぁ、好きですね。この仕事、選んでますから」 新先生は、それからもずっと、クスクスと愉しそうに笑っていた。

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