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第19話

蜷川がシャワーを浴びに行った後、俺はとりあえず2階に上がり、弦と洸が眠るベッドへと転がり込んだ。 行儀よく綺麗に寝ている洸とは対照的に、弦はベッドの柵に両足を引っ掛け、アクロバティックな体勢で熟睡している。ほんま、寝相にまでそれぞれの性格が出てくるのがおもしろい。 「……一週間お疲れ様。よく頑張りました」 二人を両腕でそっと抱き寄せ、自分に言い聞かせるように呟く。 さっき蜷川に触れられていた時の緊張感とは違う、いつもの、深く安らかな安心感。 ふわふわで優しくて、小さな心臓の規則正しい音が俺の胸にじわじわと幸せを染み渡らせていく。 微睡の中、うとうとと意識が遠のいていく。明日は休みや。このまま少し寝て、夜中に起きたらシャワーでも浴びればええか……。 「……宮さん、元宮さん」 「ん? ……蜷川?」 耳元で名前を呼ばれて、薄く目を開ける。 そこにはお風呂上がりでシャンプーのいい匂いをさせた蜷川が、俺を覗き込んでいた。 「……シャワー浴びないですか? このまま寝ちゃいます?」 「ん……あぁ、目覚めたし、シャワーいこかな」 大きく伸びをしてベッドから立ち上がる。 俺にホールドされていたからか、弦の体勢もいつの間にかちゃんと綺麗に戻って眠っていた。 「……俺、下のソファで寝ますね?」 申し訳なさそうに言う蜷川に、俺は首を振った。 「いや、蜷川大きいから、うちのソファやとはみ出してしまうわ。俺のベッド使ってええから」 「……いいんですか?」 「あ、気持ち悪いよな?ごめん、ちゃんとシーツ変えるからちょっと待っといて」 急いで自分の寝室に戻ると、後ろから蜷川が静かについてくる。 うわ、静まり返った部屋で二人きりは流石に予想外やった。はよシーツを変えて、ここから逃げな俺の心臓がもたん。 「いいですよ、そのままで。俺、元宮さんの匂い好きですから」 「え!?」 あまりの言葉に、シーツに伸ばした手がピタリと止まる。 「ふふっ、元宮さんタバコ吸わないですし。俺、人間の自然な匂いって結構好きなんですよね」 あー……そういう意味か。人間として、大きいくくりでの話な。 でも良かった。「おっさん臭無理!」とか露骨に嫌な顔をされたら、明日からどんな顔をして蜷川と話せばいいかわからんくなるところやった。 「……じゃあ、とりあえず枕カバーだけ変えとくわ。あとはゆっくり休んでな」 「はい、ありがとうございます」 手早く枕を整え、俺は逃げるようにシャワーへと向かった。 さて、お風呂から上がったら俺はどうしようか。さっきみたいに、もう一度弦と洸の間に挟まれて寝るのも悪くない。

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